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『江戸の町は骨だらけ』鈴木理生 「骨」から読み解く江戸の歴史

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江戸の歴史は「骨」からわかる

2002年刊行。筆者の鈴木理生(すずき まさお)は1926年生まれの歴史研究家。2015年に亡くなられている。『江戸の川・東京の川』『図説 江戸・東京の川と水辺の事典』『江戸はこうして造られた』など、「江戸」について数多くの著作を持つ。

ちくま学芸文庫版は2004年に登場。いずれも少し前の著作なので、Amazonでも新刊の取り扱いは無し。古本で探すしかないと思う。

江戸の町は骨だらけ (ちくま学芸文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

日本史の中では江戸時代が一番好きな方、家康国替え以前の江戸の歴史について知りたい方、民俗ネタが好きな方におススメ!

内容はこんな感じ

徳川家の移封により、地方の寒村から、にわかに発展を遂げ世界に冠たる大都市に躍進した江戸。幕府による差配によってかつての寺社の領域も大きく変貌を遂げることとなる。寺社が移転を繰り返す中、うち捨てられた墓地の上に、新たなる生活の基盤が築かれていく。現代に至り、都内各地で頻出する白骨出土の真相に迫るエッセイ集。

「骨」から読み解く江戸の歴史

某雑誌の書評で見て面白そうだったので注文してみた一冊。江戸創世記から現代の東京までの寺社地の移り変わりを概観。特に太田道灌時代の江戸については細かく頁を割いている。今では無い原始江戸の地名もうかがい知ることが出来て面白い。この時代についてはなかなか知る機会が少ないので、とても興味深く読むことが出来た。

本書は二部構成になっていて、第一章では、タイトルにもなっている「骨」に纏わる歴史的な考察。今でも、かつての「江戸」地域では、工事のために少し地面を掘ると、けっこうな確率で人骨が出土するらしい。それはかつての墓所であったり、災害の後始末だったりと、歴史を積み重ねてきた大都市ならではの現象なのだろう。こうしたエピソード群は純粋に読んでいて楽しい。

第二章では江戸で信仰されたいくつかの神々についての考察。こちらは何故か相当オカルト入った内容になっていて面食らう。個人的にはどちらも好きなジャンルだから、これはこれで良いのだが、普通に歴史好きで手に取った人は戸惑うのではなかろうか。

思いついたことを次々とネタにしていくのはいいにしても、全体的にとりとめが無さ過ぎるのは残念。あくまでもエッセイ集なので、歴史の専門書としてとらえると肩透かしを食うことになるかもしれない。

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