職人との付き合い方、関係構築について
築古物件の大家をやる上で欠かせないのが職人さんとの繋がりだ。
いや築古に限らず新築ばかりでない限りは大なり小なりお世話になることだろう。
今はネットに情報が溢れているので、住宅の修繕については少し調べれば大体はどう直せば良いかが分かる。
とはいえネットの情報だけを頼りに素人が作業をするにも限界がある。
表層リフォーム程度ならある程度は何とかなるが、大工仕事や設備関係となると難易度は高い。
古い物件であればあるほど修繕の難易度は高くなるので、全てを自分で直せるなどとは考えないほうがよい。
私は不動産を始めて3年半になるが外注できる職人さん、業者さんの数も増えてきた。
大工、配管工、屋根屋、電気屋、ガス屋、塗装工など。
1 どうやって職人さんを探すか
1 電話帳から物件近くの業者を探す
物件に近い、という点は入居後のことを考えてもメリットは大きい。トラブルが起きた際も比較的すばやく対応してもらいやすい。
また職人側としても現場が近ければ暇な日・時間に作業ができるなら都合が良い。
一見の客からの電話であってもとりあえず現場を見てもらいやすいだろう。
実際に現場を見てもらった際に、人柄なども把握できるのでその上で判断しても良いだろう。
2 ジモティーで直接募集する
大家業を営む上でわりと有用なアプリがジモティーで、良く物件の客付けに使われているイメージがあると思う。
確かにその用途でも活用できるが、職人探しにも役に立つ。
各分野の職人さん募集の形で投稿すればそこそこの反響が得られる。
その人らの営業エリアや得意分野などを聞き出し、依頼したい手頃な案件があれば現地で会ってみる。
ジモティーを活用している職人さんなので、その年齢層的には電話帳で探すよりも若い世代が集まりやすい傾向になる。
また職人さん自ら仕事募集の投稿をしていることもあるので、そういったものに問い合わせるのも一つだろう。
3 知人からの紹介
信頼できる知人からの紹介であれば安心して仕事を任せられる、という点はある。
だがその知人がどういった背景で紹介しているかを考慮しないと、思わぬミスマッチが起こり得る。
例えば物件を買った不動産業者さんからの紹介などは大家側の資産背景や投資のステージを考えず、自社が普段依頼している業者を紹介することもあるだろう。
1軒目を購入したばかりの大家であれば、リフォームにかけられる金額に余裕がないことは多い。
そのため費用を抑えざるを得ないので、しっかりとした総合的な工務店に依頼するより、個人の職人に依頼するほうが良い。
一番良いのは、投資のステージや資産規模が同じくらいの大家仲間から紹介を受けることだろうか。
事前にかかる費用や人柄も聞けるので大きく外すことはないはずだ。
2 どんな職人さんがベストなのか
これは大家それぞれ求めるものが違うから一概には言えないだろう。
代金が高くなっても良いから丸投げしたい人もいれば、作業の質はそこまで求めずとにかく安くしたい人もいる。
お願いする仕事を全うできることは大前提だが、私が求めるのはその職人さんが信頼できるかどうかだ。
どういう点が信頼できるかは
・作業前に施工の工程や結果としてどういう形に仕上がるかを説明してくれるか
・事前に明瞭な見積りができるか、追加費用発生なども逐次報告があるか
・作業完了の見通しがある程度立てられるか
などから分かると思う。
しかしここで消費者的マインドで職人と接すると、これらの点を職人に対して一方的に求めてしまうことが起こり得る。
これらの点は施主自らが積極的に動いて職人さんに確認すべき事項だ。
施主としてやるべきは
事前の現地調査や用意する材料・見積りの確認
工事当日もできる限り現場に入り職人のサポートを行う
などである。
やっていることは工務店の現場監督のようなことで、施主自らの要望を齟齬なく職人に伝えることが目的だ。
もし職人に対して上記のような点で不満を覚えているなら、もっと職人とコミュニケーションを取らなければならない。
特にDIYを行う大家であれば職人が現場に入っているとき、その作業を脇で見ながら手伝うのは非常に勉強になる。
壁や床作りの動画は今であればYOUTUBEに溢れているが、それを観ているより実際に職人の作業を観て、疑問点を質問し、実際に自分もやってみる、といった行為に勝る学びはないと思う。
3 どうやって職人さんと関係を作るか
仕事を依頼した結果、こちらが満足できたのであれば今後も継続して関係を築いていきたいと思うだろう。
私が特に気をつけていることとしては
・代金は即日or次の日には振り込む
・職人さんに都合の良い形で仕事を依頼する
・継続して何度も仕事を依頼する
である。
(1) 代金は即振り込む
私が依頼しているのはほとんどが個人の職人さんだ。
個人事業主が最も恐れるであろうことは
行った仕事の代金が支払われない、支払いが遅くなること
だろう。
個人の職人さんに仕事を依頼する場合、大抵契約書などを交わさないことも多い。
簡単な仕事であれば施工完了後の後払いがほとんどだ。
そのような場合、職人側としては代金を踏み倒されるリスクがどうしても付きまとう。
それをこちらから早急に払拭してあげなければならない。
少しでも早く振り込み手続きを済ませ、その旨連絡をし確認してもらおう。
(2) 職人さんに都合の良い形での仕事依頼
職人さんにも繁忙期や閑散期がある。
入居中のトラブルであればすぐに動いてもらう必要があるが、空室中のリフォームであればできるだけ職人さんの暇な日に現場へ入ってもらえるよう調整すべきだ。
自分がその作業に立ち会えればベストだが、基本的には物件にキーボックスを備え付け「いつ作業に入ってもらっても大丈夫です」という形にしておくと職人もやりやすい。
(3) 何度も仕事を依頼する
一度仕事をしてどこか合わない、と感じればもう一度依頼する必要はないと思う。
人からの紹介であっても自分には合わないということは当然起こり得る。
こればかりはやってみないとわからないものだ。
一度目が問題なく取引でき、何度も同じ人に仕事をお願いしていれば、お互いの意思疎通も取りやすくなるし万事スムーズに流れていく。
お互いにWINWINの関係になれるだろう。
結局はこれに勝る関係構築方法はない。
私は1軒目の物件からほぼDIYでリフォームしてきた。
しかし当然その効率は悪かった。
購入当初から信頼できる職人さんを知っていたなら仕事を依頼していたと思うし、今ならそうアドバイスするだろう。
リフォームのための余剰資金を確保した上で、職人さんに依頼し共に現場に入り見取り稽古を行う。
一度間近で見た作業であれば次の物件からは自分ひとりでやってみてもいいかもしれない。
DIYを武器に戦うにしても手本をリアルで見ておく、という過程を経る方が効率できだと今なら思う。