ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

はぐらかし答弁

 7月30日に緊急事態宣言が4府県に拡大された。記者会見に臨んだスガ首相、最近「スガ節」なる語を目にしたが、これで独演会をするにはあまりに内容が貧相で惨い。「ご飯論法」ならぬ「ヤギさん答弁」というのもあるようだが…。

「やぎさん答弁」に見る菅首相の戦略は? 上西充子・法政大教授 | 毎日新聞

 まわりくどくて恐縮だが、30日の記者会見での菅首相と記者とのやりとりから「問題」をつくってみた。
 引用元は、【菅首相会見詳報】緊急事態宣言は「最後の覚悟」…感染対策、私はできる:東京新聞 TOKYO Web

【問】次の1)~ 3)のスガ首相の答弁に対応する実際の質問はA・Bのいずれか?

1)スガ:感染対策にしっかり対応することが私の責任で、私はできると思っている。

 A:総理大臣としてこのコロナ感染拡大にどのように責任を果たそうと考えるか?
 B:医療崩壊して救うべき命が救えなくなった時に首相を辞職する覚悟はあるか?

2)スガ:車の乗り入れ減やテレワークで、東京都と連携して対応している。(東京五輪も)無観客で首都圏の人流を少なくすることができている。

 A:人流を減らすための具体的な方法と成果は?
 B:人流を減らす具体的な目標と、実現するための方法は?

3)スガ:飲食店への協力金の早い支給や見回りも徹底する。ワクチン接種こそが決め手で、総力を挙げて進めていく。

 A:感染をどのように抑え込んでいくつもりか?
 B:感染の波をいつまでに収束させるのか。?


 実際に記者からなされた質問はすべてBである。
 1)首相の職を賭ける覚悟はあるのかと訊いているのに、感染にしっかり対応する…とはぐらかす。
 2)人流を減らす目標とは、いついつまでに何%という話だが、半年以上繰り返してきたことをまた述べる。
 3)ワクチン接種が行き渡った頃に感染は収束すると考えているらしい。ワクチン接種の「先進国」で感染が再拡大している事実は都合が悪いので無視!

意味不明のガースーはぐらかし首相会見を徹底検証 記者席からは大きなため息も〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

 WhenとかHowで相手が訊いているのに、YesやNoで答えたらダメよ、と確か中学生の頃に英語の先生が言っていたような記憶があるが、スガ答弁の場合は、Whenと訊かれているのにHowの答えをしたり、ちがうWhatの答えを繰り返すというトンチンカンなものが多い。これは日本語を解する力がない(と思うこともあるが…)というより、(記者とは)会話をしない、したくないという意思の産物なのだと思う。記者の後ろに国民がいるとすれば、これは国民とも対話をしない、したくないという意味になる。「丁寧な説明」とは、こっちが時間内で「説明」してやってんだから、すべて黙って聞いてろ(質問するな?)ということか。

 記者会見で「更問い」を認めないなどという、そんな恥ずかしいことを「ルール」とする首相や大統領が他国にいるだろうか。記者たちは、質問と答えのギャップを放置されたまま、どうにもならない無力感にさいなまれている。毎回こんなことを繰り返されて相当なストレスだと思う。された質問すべてにまともに答えられないのなら、能力の問題だが、そうでもなく、意図的に答えの核心を外してそれで流そうとしているわけで、これは記者に対する人格否定にも等しい。それは記者の背後にいる国民の人格をも認めていないことになる。

 イチロー選手が引退会見したときのように「お腹すいた。…いやあ、長い時間ありがとうございました。眠いでしょう、みなさんも。じゃあ、そろそろ帰りますか。」と、国政のトップだったら、1回でいいから、それくらいまで記者の質問を受けなさい。

イチロー引退【会見全文・後編】「大谷翔平は世界一の選手に」「外国人になって人の痛み想像した」 (9/9) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)




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