おまかせコース「晩酌や月」東京都武蔵野市 | そばにArt ~いつかの記憶~

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某日、夜空を見上げると
見事な満月が出ていました。
(正確には、0.3%欠けていた。)
私が、かぐや姫であったなら、
お迎えの者がきて、
月に登って帰ってしまうでしょう。。
もちろん、
かぐや姫であるはずなどないのですが
しかし、月に向けての
お迎えの者は、やって参りました。
その名は、ryuさんと申す者。
 
月は、
東京都武蔵野市吉祥寺にありました。
晩酌や 月
 
暖簾は、古代紫色の日除け暖簾。
このタイプの暖簾は珍しい。
このご時世なので予約でコースのみの営業。
飲み物は別となります。
 
まずは喉を潤すべく
埼玉県川越市の地ビール
コエドビール伽羅を。
アロマホップの香りと苦みが広がる味。

 

こちらはryuさん御用達の

ベルギーのビール、ヴェデット。

フルーティーな軽い味わいが特徴。

実は、ryuさんはベルギー人なんです。(嘘)

 

お待ちかねの

おまかせコース(5,500円)の始まりでs。

事前の料理説明によると

江戸時代の料理、つまり江戸料理

を供していただけるとのこと。

江戸料理というと、野菜や魚介の

さっぱりした味のイメージが

ありますが、楽しみです。

 

先付は、

蜆のそばの実雑炊。

出汁と蜆の風味がとても美味い。

蜆(しじみ)は茨城産。
その先は聞いていませんが、
涸沼で採れた蜆であれば高級品です。

 

お凌ぎは握り寿司。

寒鰤、太刀魚焼霜、やり烏賊の3種。

やり烏賊の上には、

水戸の干し納豆がのっており、

ねっとりとしたやり烏賊の水分に

干し納豆が合わさり美味い。

酢飯とガリは、赤酢で。

江戸時代、米酢は貴重だったことから、

酒粕から作られる赤酢が使われていました。

赤酢が広まったのは、江戸前寿司からだと

言われています。

 
向付
本鮪 きらずまぶし。
江戸時代、天保の大飢饉の後、
倹約令が出された後に生まれた料理で、
中落ちや刺身の切れ端に
おからをまぶして食したのが
始まりといわれている。
酢洗いした本鮪に、乾煎りしたおからを
まぶして、檜原産の山葵、木耳の酢漬け
を添えて。
まぶしたおからの下に赤身が見え隠れして
美しい一品。

 

酔酉与右衛門(よえもん) 特別純米

※“”酉与”で一文字。酔の古い字体。

(川村酒造 岩手県花巻市)

口当たりの酸味と旨みが程よい食中酒。

 
八寸
こおり豆腐は別の器で供され
素朴さと美しさを兼ね備えた品。
焼味噌、たたきごぼう伊達巻、
自家製かまぼこ、子持ち昆布味噌漬け、
筍と蕗の土佐煮。
たたきごぼう(右上)は、
あえてアク抜きをせず
焼いてから割いて酢漬けしている。
伊達巻(真ん中上)は、
芝海老と卵で作られていて、
芝海老のしっかりした味が感じられる。
かまぼこ(真ん中)は、帆立と塩で
造られた濃厚な味。
子持ち昆布(左真ん中)は味噌漬け。
焼味噌(下)は、くるみを混ぜてあり
風味がよい。
私が驚いたのは、蘇(真ん中の白いもの)。
蘇(そ)は、飛鳥~平安時代に
作られていた乳製品。
日本で最初に作られたチーズとも言われ
古代の菓子です。
数年前に私はこの菓子を知り
食してみたいと思っていたのですが、
この日頂けたのは貴重でした。
ほのかな甘みがあり、酒にも合う一品。

 

蘇に喜んでいたところ、

よろしければと供してくれたのが

醍醐(だいご)。

仏教の大乗経典、大般涅槃経に出てくる五味

五味は、順に

乳→酪→生酥→熟酥→醍醐と精製され

このなかで一番美味しいとされているのが

“醍醐”という食べ物。

現代では製法が失われていて、

どんな食べ物だったのか不明だが、

文献等を基に、再現したもの。

ほのかな甘みが引き立つよう

スリランカ産の胡椒を合わせて。

古代の食に思いを馳せながら頂きましたが

現代のフレッシュチーズのようでした。

ちなみに、醍醐味の語源は、

この醍醐です。

 
三好 無濾過生原酒おりがらみ
(阿武の鶴酒造 山口県阿武郡阿武町)
34年間休眠していた蔵を
2016年に復活させた阿武の鶴酒造の酒。
三好の“三”は
日本酒に大切な米、麹、水を表す。
口当たり軽めの飲みやすい酒。
 
温物
真鯛白子と舞茸かぶら蒸し
器が素敵でした。
 
ふわふわの真鯛白子に舞茸が香る。
 
風の森 露葉風807
(油長酒造 奈良県御所市)
“807”の80は精米歩合80%を意味し、
7は7号酵母を表している。
独特な酸味は、わかりやすく言うと
セメダイン臭のようだが、
これが旨みとなり味わい深い。
 
椀盛
合鴨と三浦大根、金時人参、菜花
少し甘のある汁に
焼いた合鴨が美味い。
菜花の苦みも汁に合う。

 
いろいろ食べつくし、〆の料理を待つ。

 

漆器の蕎麦猪口。

というか本来は酒器でしょうね。

 
お食事
手打十割そば
 
細打ちの蕎麦は、風味がいい。

 
最初は蕎麦を塩で頂いたが、
これが美味かった。
金継ぎの皿が素敵でした。
 
蕎麦湯までしっかりと頂きました。
ゆっくりと、いい夜を過ごしました。
お付き合いいただいたryuさん、
有難うございました。
また食しにきたい。
 
晩酌や 月
東京都武蔵野市吉祥寺東町1-12-3
17:30~ 木休
現在、予約コースのみで営業