下司トラの貧しい脳味噌は、人間のジェンダーは男と女しかないとしか理解できていないが、DNAの研究がこれを否定している。
人間には(おそらくそれ以外の動物にも)数えきれないほどのジェンダーが存在しており、あえて模式化すれば、
男性 まあまあ男性 うっすら男性 中間 うっすら女性 まあまあ女性 女性
という感じで、実際には虹の色のように無数の中間色が存在する。
わたし自身はどうなのだろう。メンタリティなどを考慮して、まあまあ男性 あたりに位置するんじゃないかと思っている。
また、性愛の対象という点では、たとえば うっすら女性 のひとが男性を愛することがあれば、女性を愛することもある。性自認とは、ひとの数だけ存在するといっていい。
だが科学に背を向けることの著しい下司は、米政府にとってジェンダーは男と女しかないと宣言し、過去の政権が進めてきたジェンダーの多様性に配慮する政策を叩き潰すこととなった。
大統領就任以前から宣言していたこの件に、震えあがるひとたちがいた。自らのジェンダーを「男」とも「女」ともすることができず、パスポートの性別欄で「X」を選んできたひとたちだ。
そのうち、今から数週間前にパスポートを申請したひとたちは、下司が就任直後に「X」という選択肢を踏みつぶすことを予測し、震えながら発行を待っていた。
パスポートを発行する国務省の職員も、同じことを考えていた。そして発行待ちの長い列の中から「X」希望者の申請書を取り出し、大統領就任式の前に発行できるよう大急ぎで処理していった。
夜遅くまで作業する日が続いた。
これによりどれだけの「X」希望者が救われたのか、わたしは知らない。だが、人間としてやるべきことをやったひとたちの存在は、真っ暗のアメリカに灯された小さなローソクだと思う。
まともなひとたちがコソコソと生きなければならないアメリカは、これから何年続くのだろう。
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