いやー、すごい記者会見だったね。ある意味ではフジテレビ、土壇場の大勝利といってもいいだろう。
「トラブルあったけど示談が済んだので芸能活動を続けられることになりましたー」な脳天気タレントと、「知りません。なんにも知りません」な危機管理能力ゼロ社長のせいで崖っぷちに立たされたフジテレビは、今回のやり直し会見では、記者の参加と開催時間に制限をもうけなかった。みずから素っ裸になり、両手を後ろで縛り、静かに跪いて首を差し出した。
これだけの好機を与えられた記者連中は、みずから大混乱をつくりだしていた。まともな質問が出たのは最初の数十分だけで、あとは質問の態をなしていない意味不明な演説がだらだら続いたり、経営陣が泣いて土下座する絵がほしいのか罵声怒号が投げつけられる修羅場となった。
ちなみに今回の会見に参加した「記者」は400人を超えたという。そのうち大手メディアの記者・カメラマンをかなり多めに見積もって50人としても、それ以外の350人の大半はフリージャーナリストと呼ばれるひとたちだろう。
わたし自身このギョーカイにいたから事情は理解しているが、フリージャーナリストの能力はピンからキリまである。冷静に粘り強く事実を掘り起こそうとする本物のジャーナリストもいれば、個人的な思い込みや政治志向に合わせて強引な絵図を描こうとする「活動家」や、スキャンダラスな記事でネットの注目を集めたいガーシーのような輩も少なくない。
大荒れの会見は10時間を超えて続き、ノイジーマイノリティがつくりだす阿鼻叫喚が収束のきざしをまったく見せないなかでも、司会者は一切これをさえぎることなく、(辞任した港社長がときどきキレそうな声を出したほかは)経営陣も必死に向き合う姿勢を見せていた。
どれだけ必死に向き合っても、フジテレビの大失敗がおいそれと帳消しになることはないし、へたをすれば今後もっとすごい事案が露見してリアル地獄に突き落とされる可能性なしとはしないが、昨夜、あれだけの嵐に身をさらして頑張った経営陣(なかには中居事件を知らされたのが年末だというひとも)を目にした国民の多くが、同社へのモヤモヤを胸にかかえながらも、まあとりあえずこれでいいじゃないかと体の力を抜いたかもしれない。「土壇場の大勝利」というのはきびしい皮肉だが、わたしはそう思った。
個人的にフジテレビには好みの番組がほとんどなくて滅多に見ないだけでなく、大谷選手の自宅曝露事件をはじめ、ひとの迷惑を省みない無責任なお祭り体質には辟易させられてきた。おそらく80~90年代のフジ絶頂期の空気を吸ってのぼせあがったひとたちが経営陣の中核をなしていることが、現在の問題の背景にあるのだろう。
これだけスポンサー企業が引いているのは、目先の風当たりを考えてのことだけではなく、もっとでかいネタの発覚 → フジの放送免許取り消しという最悪の展開を想定してのことかもしれない。昨夜の「土壇場の大勝利」は、一瞬の風圧低下にすぎず、本番はまだこれからなのだろう。
ちなみにペニーさんは強風による木々のざわつきが大の苦手で、外出したがらない。
完全装備でお出ましいただいたものの、この晩は鳴かず飛ばすのままご就寝。おしっこは部屋でできたけどねー。
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