スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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国立スポーツ科学センターサッカー場(味の素フィールド西が丘)WEリーグver.~日本唯一の国立サッカースタジアム~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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国立スポーツ科学センターサッカー場(味の素フィールド西が丘)は、1972年開場、東京都北区にある日テレ・東京ヴェルディベレーザの本拠地。

 

元々ここはGHQに接収された土地だったが、それが返還される際に国立競技場として整備されたうちの一つがこのスタジアム。

現状では唯一の国立サッカー場であり、また私の知る限りはJリーグが開催できる規模の東京23区内唯一のサッカー場である(多分)。

 

収容人数は7000人ちょっとしかないスタジアムであるが、そういった長い歴史を持つゆえいろいろな試合に活用されている。

 

なぜかこけら落としはサッカーではなくホッケーの日本vsスペインの試合だが、1989年にはFIFAワールドカップ予選の日本vsインドネシアの試合が組まれたり、2004年にはアテネオリンピックアジア最終予選のバーレーンvsレバノンが行われたりした。

 

ただ収容人数の少なさもあって、最近では代表戦は組まれていない。

ワールドカップやJリーグの影響で全国にいいスタジアムが増えたのでわざわざここを使う意味もないだろうし。

 

またJリーグで使用された例も数多く、東京をホームとする東京ヴェルディやFC東京の他、川崎フロンターレ、横浜FC、大宮アルディージャといった首都圏のクラブも使用したことがある。

 

とはいえ各クラブのスタジアムが確立された今では、よっぽどの事情がない限りJリーグでは使われなくなっている(それでもホームスタジアムの芝生の生育が間に合わないとかでたまに使われることもある)。

 

そんな中、WEリーグが開幕した2021年にこのスタジアムをホームとして使い始めたのが日テレ・東京ヴェルディベレーザである。

日テレ・東京ヴェルディベレーザはなでしこリーグで2015~2019年までの5連覇を含む17回の優勝を誇るなどリーグ屈指の強豪であるが、WEリーグ開幕まではホームスタジアムを設定していなかった。

 

そんな中でWEリーグが目標とする収容人数5000人を超える適度な大きさのスタジアムとしてこの味の素フィールド西が丘をホームに選んだのだと考えられる。

今回はWEリーグ開幕年の第3節、日テレ・東京ヴェルディベレーザvsサンフレッチェ広島レジーナの試合を観戦した。

【アクセス】

最寄まで★★★☆☆

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最寄は都営三田線の本蓮沼駅。

巣鴨駅や水道橋駅から来ることはできるものの、東京のかなり北の方(ほぼ埼玉)にあり、大ターミナル駅からはちょっと外れるのでそこまで利便性の高い駅ではない。

 

ちなみに隣の板橋本町駅は、スポーツの強豪校として名高い帝京高校の最寄り駅である。実際、本試合のボールガールは帝京高校の学生が務めていたようだ。

 

最寄から★★★★☆

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本蓮沼駅からは徒歩10分弱。蓮沼アスリート通りと名付けられた通りをまっすぐだ。

 

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スタジアムの横にはナショナルトレーニングセンターがある。オリンピック・パラリンピックの選手もここでトレーニングに励んでいるようだ。

 

【観戦環境】★★★★☆

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今回はメインスタンドの最上段の席だったが、それでもこの近さ。ピッチ全体を見渡すには高さが足りないが、この臨場感には代えがたい。

 

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目の前にボールが来た時には、それが顕著となる。選手の息遣いすら聞こえてきそうな距離感だ。

やはり餅は餅屋で、サッカーはサッカースタジアムで。

 

ただし、ビジョンにはちょっとした問題があって…

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サンフレッチェ広島レジー

 

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日テレ・東京ヴェルディベレ

惜しいなあ、あと2文字なのに…。

 

他にもスタメン発表を4名ずつ行わなければいけないなど、ビジョンが小さいことでほんのちょっとだけ制約が生じている。

ま、ちゃんとカラーのLEDだしそこまでは気にならないけど。

 

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こちらがバックスタンド側。

 

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こちらがメインスタンド側。

どちらにも屋根がなく、設備的にはほとんど差はないようだ。きっちり、記者席だけ屋根がついているが…。

この感じならスタンド全体を屋根で覆うのもそう難しくはないだろう。やる気とお金さえあれば。

 

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コンコースは少し狭く、試合終了時にはこの収容人数とはいえ少し混雑する。

 

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ベレーザサポーター側のサイドスタンド。

スタジアムとしては珍しくこのサイドスタンドの下に選手が使う施設が集まっている影響で、選手はコーナーから斜めに入場するというちょっと特殊なスタイルだ。

 

【雰囲気】★★★★☆

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試合前の挨拶。東京ヴェルディの試合を見た時と同じで、スポンサー紹介では全社に対して拍手が送られていた。

 

この文化を見るとやっぱりヴェルディとサポーターの層が被っているのかな?もしそうであれば、チーム名にわざわざヴェルディを入れた意味もあるというものだ。

実際WEリーグの初期11クラブのうち8クラブがJリーグのクラブと名前をともにしているので、まずはJリーグのサポーターも取り込みたいという思惑があるのだろう。

sportskansen.hatenablog.jp

東京ヴェルディの試合を観戦したときの記録はこちら。

 

そういった取り組みが垣間見えた部分としては、例えば試合前にはベレーザトークと題して女性と男性のMCが選手を紹介するコーナーを設けたり、ファンクラブの作成者をゲストに呼んでよりベレーザについて知るためのサイト紹介などが行われた点がある。

 

まずは選手やベレーザというクラブになじんでもらう必要があるということを考えると、初めて来場した人にとってはこういった取り組みはいいのではないだろうか。

 

また、私が見る限りでは観客の男女比は大体7:3といったところだった。

もちろん男性ファンも増やしていきたいだろうが、リーグの理念を考えるとそれを5:5、あるいはそれ以上に女性や子供の割合を増やす、というところを重点的に取り組んでいくつもりなのだろうか。

 

私からは狙いのファン層は把握できないが、もしそうであればWEリーグならではのファン層拡大に向けた取り組みは今後必要になるだろう。

とはいえ、現時点でもそれなりに女性や子供連れも来てはいた。

 

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16時キックオフの試合は、時間が経つにつれて徐々に暗くなり、照明塔に灯がともった。このぐらいの時間帯のスタジアムも乙なもんだ。

 

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この日はベレーザが2点を挙げ、WEリーグ3試合目にして初勝利を収めた。クラブの節目に立ち会えたようだ。

 

【グルメ】

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スタジアム前にはグッズ売り場やちょっとした食べ物の売店もあったが、どう見ても作ったものを持ってきたという風体だったので、がっかりする前に食べるのをやめておいた。

ヴェルディもグルメにはあんまやる気出してないしなあ…。期待するだけ無駄なのかな。

 

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その代わり、入り口でアスリート向け?のパンを配っていた。別に私はアスリートではないのだが…。

このパン配布が恒例行事なのかこの日だけだったのかは不明だが、おやつ代わりにいただくことにした。もし毎回やってるならたまにパン貰いに来ようかしら。

 

【街との一体感】★★★★☆

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板橋区とともに、ということで板橋区の町内の至る所にポスターが貼ってあった。

 

スタジアム自体は北区だが、実質的には板橋区をホームと考えているようだ(スタジアム目の前の交差点まではずっと板橋区だし)。

このように地道に地域に根付こうとする努力が垣間見えるし、初動としては満点に近いのではないだろうか。

あとはこういった運動を続けていって、地元のおばちゃんに顔と名前を覚えられたら勝ちだろう。

 

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スタジアム周りには選手ののぼりもはためいている。

 

【満足度】★★★★☆

ベレーザは実績から考えれば絶対女王の座に最も近いクラブではあるが、その座に胡坐をかくことなくスタジアムに初めて来た人や、地域の人たちに顔と名前を覚えてもらおうという心意気を強く感じることができた。

 

この謙虚さもまた女王たるゆえんだろうか。

他のWEリーグクラブの取り組みについてはまだあまり知らないが、少なくともベレーザはかなり参考になるクラブの一つではないだろうか。

 

もちろんこのままで満足せずよりすそ野を広げる活動は必要だが、このまま努力を積み重ねれば西が丘が満席になる日もそう遠くはないだろう。

5年、10年先の板橋に根差したベレーザの行く末を楽しみにしたい。

 

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