注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
エスコンフィールドHOKKAIDOは、2023年開場、北海道北広島市にある北海道日本ハムファイターズのホームスタジアム。
夢のボールパーク、北海道に誕生。
ファイターズファン、そしてすべての野球ファンにとって衝撃が走ったこのニュースは、2023年我々の目の前に現実となって表れた。
ここに至るまでのいきさつにはいろいろとあったわけだが、もう散々ネット上でも語りつくされているし、あまり暗い話でこの記事を汚したくないので、札幌ドームの記事でも参照していただきたい。
プロ野球の本拠地としては2009年に誕生したマツダスタジアム以来となる新球場で、建設費はおよそ600億円と言われている。
これはプロ野球の球場では福岡ドームに次ぐ規模であり、バブル時代のダイエーと同じレベルのお金をポンと出せる日本ハムの巨大企業ぶりを改めて感じさせる。
(そして日本ハムにケンカを売った札幌市の浅はかさも)
ちなみにエスコンフィールドHOKKAIDOという名称は日本エスコンの命名権によるものだが、それ以外の正式名称は今のところ決まっていない。
つまりこの球場の名前を呼ぶにはエスコンフィールドしか表現方法がなく、そのため莫大な広告効果が見込まれる。
更にただ名前を付けたわけではなく、不動産を手掛ける日本エスコンは球場一帯や北広島駅周辺の不動産開発も行っている。
すなわち日本ハムと日本エスコン、そして北広島市は単に球場を作ったというだけでなく、街を一つ作っているかのようなあまりに壮大なプロジェクトなのだ。
事実エスコンフィールドは宿泊施設や屋外アスレチック、スキー場を備えた北海道ボールパークFビレッジの一部に過ぎない。
そして住所の町名も、正式に「北海道北広島市Fビレッジ1番地」に変更された。
官民一体となった、北広島市を作り変えるほどの大規模プロジェクトであることがよく分かる。
(ちなみに2023年現在60人が住んでいるらしい)
一時期ファウルゾーンが規定よりも狭いことで問題となったが、球団がNPBに協力金を支払ったうえで永続的に使えることが正式に決定した。
野球規則も改正が行われ、ルール上の問題も無くなった。
球場の規定について調べてみた記事はこちら。
そして肝心の施設内容であるが、それをここに記すのはあまりにもったいない。
ぜひ記事の中で実体験とともに紹介していきたい。
なお建設途中のエスコンフィールドも訪れているので、その変化も楽しんでいただきたい。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄はJR千歳線北広島駅。
おおよそ新千歳空港駅と札幌駅の真ん中くらいにあり、飛行機で遠征する人にとっては札幌ドームよりもアクセスは良くなった。
一方で札幌市民にとっては少し行きにくくなった。
球場のある北広島市は人口およそ6万人で、名前の由来は広島からの入植者が暮らしていたため。
それからおよそ150年経って、またもこうやって開墾されることになるとは…。
北広島~札幌間の車内からもエスコンフィールドを眺めることができる。
2028年にはこのあたりに新駅ができる予定。ますます利便性が高まるだろう。
さすが北海道だけあって、まだまだ未開拓の土地はたくさん残っている。
今後もFビレッジのような再開発が行われる余地はありそうだ。
また新札幌駅からも直通のシャトルバスが運行されている。
大通りやすすきのからエスコンフィールドに行く場合はまず地下鉄で新札幌まで行き、シャトルバスに乗るのが最も楽なルートになるだろう(もちろん新札幌からJRに乗っても良い)。
最寄から★★★☆☆
北広島からエスコンフィールドまでは徒歩19分。このようにわざわざ書いてあるくらいだから間違いない。
シャトルバスも運行されている。
線路沿いに遊歩道が整備されている。信号もなく割と快適に歩ける。
途中地上を離れ川を渡る。多少なりとも北海道の自然を感じられるスポット。
のどかな光景だ。
ただ、途中で家畜っぽい強烈なにおいを感じる瞬間があった。これも北海道の宿命か…?
関東では見たことのない木が植えられていた。
こちらはエスコンフィールド開業記念に植えられたようだ。
球場とともに大きく成長していくのだろう。
やがて線路をくぐる。間違って直進すると全然球場に着かないので気を付けよう。
やがてマンション群とエスコンフィールドが見えてくる。
まさしく「街」が作られている途中だ。
こちらがFビレッジ入り口。新時代が作られていくワクワク感がたまらない。
再開発でありながら、ビレッジを名乗る通り「村」でもある。
プロ野球やスポーツ界どころか、不動産業界にも日本に革新を巻き起こしている。
帰りは大通り沿いに歩いてみた。
ここにはクボタが運営する農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」がある。
一貫性のある理念のもとには、企業もお金も自然に集まってくるのだ。
ビジネスの基本中の基本である。
Fビレッジの周りには様々な名前のついた通りがある。
歩道橋には新庄にちなんだ「ビッグボスブリッジ」なんて愛称も付けられている。
球場のすぐ横には北広島高校があり、野球部が練習を行っていた。
放課後ふらっとエスコンフィールドに行けるんだから、最高の高校生活になるだろう。うらやましい…。
そんな北広島高校には「BE AMBITIOUS」と描かれている。
Fビレッジはまさしくアンビシャス精神のたまものだ。
もちろん球場前の通りには「ボールパーク通り」の名前が付けられている。
シャトルバスは主にこの通りを使用するため、前述の遊歩道とは交差しない。徒歩と車の導線が分けられているのは快適。
坂を降りると地方の郊外によくある道路にたどり着く。起伏の多さは否めないところだ。
しかしここからちらっと見えるエスコンフィールドもなかなかいい。
ここから北広島駅までは少々坂のある普通の道。多少緑は多めか。
今のところ駅と球場までのアクセスは多少難があるので、やっぱり新駅は待たれるところではある。
エスコンフィールドとセイコーマートを往復した旅の記録はこちら。
【観戦環境】★★★★★
もう、何の文句もつけようがない。
キレイな天然芝、開放感バツグンのガラス張り、シックな色合いのスタンド、どんな天気でも快適に過ごせる屋根。
まさに夢の球場としか言いようがない。
そして芝を育てるのが大変な北海道で、屋内かつ天然芝という完璧な環境を作り上げた執念がすごい。
そして皮肉にも、アプローチは違えどこの環境はまさに札幌ドームと同じなのだ…。
ビジョンはライトとレフトに1枚ずつ、2面合わせたサイズは世界最大級で発色も鮮やかくっきり。
そしてこれもまた札幌ドームと同じ構造なのだが…もしかしてインスピレーションを受けているのか?
規定に足りないと話題になったファウルゾーンの距離。
近すぎるということで問題になったものの、うまく落としどころを作って難を逃れることができた。
おかげで日本一臨場感のある球場の出来上がり。
ビジョンをよく見ると成績だったり、プロフィールだったり、応援歌の歌詞だったり、今日の打席の結果だったり、様々な情報が随時映し出される。
いかにしてお客さんが野球を楽しむのに必要な情報を適切に届けるか、ということを考え抜いた結果なのだろう。
一方で札幌ドームの名物でもあった「選手の細かすぎる成績一覧」はなくなった。
あれは野球マニアしか喜ばないから致し方なしか…(結構好きだったけど…)。
ところでビジョンの下にJR西日本の広告があるのを発見した。
北海道なのになぜJR西日本…?と思ったが、屋根の開閉時の安全確保のためJR西日本の立ち入り検知システムを採用しているらしい。
世の中いろんな技術があるんだなあ…。
スタメン発表時にはガッツリ応援歌の歌詞が表示される。
ファイターズの応援は結構難しい単語を使うので「かいな」をひらがなで表示したりしている。
実はリボンビジョンにひっそり「細かすぎる成績」の名残があったりする。
これでもだいぶマイルドなデータ量にはなったが…。
選手のベンチは客席の前にせり出した形になっている。
他の球場ではスタンドの下にあって見えないことが多いのだが、エスコンフィールドではホーム側のお客さんからも見えるようになっている。
おかげでより選手とファンとの一体感も高められる。
本当に細かいところまでよく作りこまれている。
ブルペンはライトとレフトのスタンドにそれぞれ用意されている。
この構造もまた日本の球場では非常に珍しい(メジャーリーグではよくある)。
ちなみにポール際ってなかなかチケットが売れにくいらしいので、もしかしたらそれを考慮してブルペンの位置を決めたのかも。
一方で日本らしくリリーフカーもある。
ずいぶん質素な車だな?と思ったら、横に「kubota」と書いてあった。なるほどなあ、そういうことか…。
バックスクリーンと言えば大体黒か緑色の板が置いてあることが多いが、エスコンフィールドではこのスペースですら有効活用されている。
それについてはのちほど。
そしてバックスクリーンの下にある上に出っ張った部分がとても気になる。
日本の球場ではありえなかった、非対称のいびつな形状をしている。
さて、こちらは再びビジョンのある内野スタンド。実は…
応援団はビジョンの横に位置している。これまた日本の球場ではありえなかったポジションだ(そもそもメジャーには応援がないが)。
ちなみに札幌ドームとは違いホームは一塁側である。
ただスペースが限られている関係か、札幌ドームの頃より応援の迫力はおとなしくなった感じがある。
ポジティブにとらえれば、その分お客さんに応援以外の楽しみ方を提供できるようになった…と言えるのかもしれない。
これがポストシーズンのような鬼気迫る試合になったらどう雰囲気が変わるのか、はとても興味がある。
さすがに試合を楽しむ余裕はなくなるだろうから…。
スタンドはこれまた日本の球場では見ないような急傾斜になっており、高所恐怖症の人はちょっと怖いかもしれない。
おかげでグラウンドまでの距離は近いし視界の邪魔も入りにくいし、試合はとても見やすい。
そして上の方はVIP用のエリアなのだろう。
VIPやスポンサーがお金を落としてくれることによって、われわれ庶民は安く試合を見られるという仕組みだ。だからVIPはとても大事。
以下、楽しくなったのでいろんな角度から撮った写真展です。
エスコンフィールドは3階建てになっており、下から「FIELD LEVEL」「MAIN LEVEL」「STAR LEVEL」と呼ばれている。
こちらはFIELD LEVELから見たところ。いやぁ…いいねえ…。
続いてMAIN LEVEL。
通路から見ると少し天井の圧迫感がある。座席に座ったらまた違って感じられるかもしれない。
こちらはライト側の通称「TOWER 11」から見たところ。
外野だから距離があるのは仕方ないとしても、これはこれでまた違った楽しみ方ができる場所だ。
ここも少し天井が気になるが、その配慮としてかモニターが設置されている。
確かにここからだとビジョンも見えにくいだろうし、本当に細かいところまでよく考えられている。
続いてSTAR LEVEL。ちなみに今回筆者が試合を観戦したのもSTAR LEVELだ。
もうとにかく開放感が尋常ではない。中途半端にMAIN LEVELを選ぶより、STAR LEVELの方がオススメかもしれない。
個人的にお気に入りの角度がこれ。球場全体が見渡せてもう天国のような気分。
もしかしたら、ここは天国なのかも…(STAR LEVELってそういうことか…)。
続いてライト側へ。もう本当に高いしスゴイ。
あとこの球場ってカクカクしてるので、一瞬どっちがホームベースなのか分からなくなったりする。
あまりに既成概念と違う構造なので脳がクラクラしてしまうのかもしれない。
続いてコンコースを散歩。こちらはFIELD LEVEL。
提灯がたくさん連なっているし、屋台もたくさんあってまさにお祭りの雰囲気。
エスコンフィールドには5つのゲートがあり、360°どの角度からでも入場することができる。
こちらは3塁側のNEO BANK GATE。
こちらはでっかいコカコーラが目印の1塁側Coca-Cola GATE。5つのゲートで唯一MAIN LEVELのゲートだ。
このようにゲート一つ一つにまでスポンサーがついている。
それだけエスコンフィールドは宣伝効果が見込まれているということだ。
コンコースはコンクリート打ちっぱなしのような感じになっているが、これもまた味がある。
とかいうともう何でもかんでも褒めてしまっているような気がするが、それだけ人を楽しい気分にさせる場所なのだ。
上下の移動はエスカレーターがあるので楽ちん。
もはや球場ではなく立派な商業施設なのだ。
ライトポール際にあるやけに目立つこの場所、実は放送席。
放送席というとバックネット裏にあるイメージだが、
①ファンとの距離感が近い
②チケットの売れにくいポール際を有効活用
③実況や解説は試合そのものよりモニターを見ることが多く、場所はどこでもよい
という理由でこんなところに設置されている。
頭を柔らかくすることがいかに大切か、放送席の立地からも学ぶことができる。
社会人はみんなエスコンフィールドに行って勉強しよう。
続いてMAIN LEVEL。もちろんとても広いし開放感がある。
何よりどこからでもグラウンドが見えるのが最高だ。
最後にSTAR LEVEL。やっぱり個人的には開放感があってここが一番好き。
開放感を生み出しているのが何と言ってもこのガラス張り。
STAR LEVELだけは一周ぐるっと回れない構造になっている。
しっかしまあ…写真のような美しさだ。
ここにはテラスがついていて、Fビレッジを一望できる。
球場であることを忘れてしまう…。
エスカレーターですら画になるのだ。
球場内には至る所にファイターズグッズショップがある。
ここは少し小型のお店。
こちらはちょっと高級感の漂うお店。
こちらはガチャポンに力を入れているお店。
ただお店を並べているだけではなく、それぞれコンセプトに違いがあるのがとても面白い。
こちらのFulltech GATEは高級感が漂うVIPや関係者用のゲート。
球場の正面に位置している。
グルメのお店にもファイターズのユニフォームやバットがある。
「♯聞いてよFビレッジおじさん」をつけてつぶやくと、なんと困りごとを運営に直接伝えることができる。
Fビレッジおじさんは球場の代表者だが中身は複数いるらしい。
実際これでバス関係の問題が解決されたり、必要箇所に手すりがついたりしているようだ。
非常に画期的な試みだが、あんまり無理しないで欲しい(カスハラなんて言葉もあるし…)。
続いては外からエスコンフィールドを眺める。
まったくもって美しい球場だ…。
ここにはガーデンがあるらしい。季節によっては花が咲いているのだろう。
こちらはNEOBANK GATE。カッコいいなあ…。
こちらはCoca-Cola GATE。やっぱり美しい。
ここのレンガには、出資者の名前が一人ひとり刻まれているとのこと。
出資と言っても一口2万円くらいからなので、だれでも応募できた。自分も出しておけばよかったかな…。
ちなみにレンガは北海道江別産なんだとか。
シャウエッセン祭りも行われ、凄い数のキッチンカーが並んでいた。
これぞ日本ハムが最もやりたかったことだろう。
ここでのんびり過ごすのも夢だなあ…。
枯れ葉かと思ったらウッドチップだった。歩行者の足元まで気遣ってくれるなんて…。
まったくもっていい景色である。
もちろん駐車場も完備。
数が足りているかどうかは分からない。
ファイターズの栄光の歴史が刻まれたマンホールもある。
多分他にもあったはず。
更に順番は前後するが、この2日前の試合がない日にも訪れてみた。
すなわちこれがエスコンフィールドに初めて足を踏み入れた時の写真。
こちらはFIELD LEVEL。
至る所に立ち見できる場所が作られていて、飲食をしながらダラダラと試合を見ることもできる。
ここも席として販売されているかは不明。
ちなみにエスコンフィールドには試合日に「入場するだけ」のチケットもあり、本当にただ入ってぶらぶらすることも可能である。
しかも試合がない日はチケットすら不要で入り放題。こうなると、これまでの「観客動員」という概念すら意味をなさない可能性がある。
試合が無くても一部の座席は解放されていて、ぼーっとすることも可能。
開放されているのは外野の一部。
またゲートも一部のみ開放となっているのでその点は注意したい。
試合が無くてもこんな景色が見られたら十分だべ。
シャウエッセン膨らまし中など、試合開催に向けた準備が見られるのも楽しい。
いつの間にか屋根が少し開いていた。空気の入れ替えだろうか?
以下改めて様々な角度のエスコンフィールドをお楽しみください。
こちらはCoca-Cola GATEをくぐったところ。
いきなりグラウンドが見える演出もまた憎い。
一方、NEOBANK GATEは試合のない日は利用できない。
試合開催に向けて準備が進んでいるようだった。
やっぱりこの景色、日本の球場ではありえない。
コンコース散歩。やっぱり鉄骨むき出しも結構味を感じる。
ただし試合のない日は制限区域も結構ある。
このエリアにショッピングモールとかできたら試合がなくとも一日過ごせそうだが、あまり混みすぎると試合運営にも支障が出てしまうか…。
こちらはエスコンフィールドの名所の一つであるTOWER11。
名前の由来はダルビッシュ有と大谷翔平がともに背番号11だったことから。
もちろんエスコンフィールド屈指のフォトスポットとなっている。
TOWER11の入り口はこちら。他の建物とは独立しているため、ここから入らないと上れない。
こちらがバックスクリーンの場所にある「そらとしば by よなよなエール」。
なんとクラフトビールをこの場で醸造しており、出来立てのビールをそのまま楽しめる施設になっているのだ。
もちろんバックスクリーンでビールを醸造している球場は世界でここだけ。
どうやったらバックスクリーンのスペースを有効活用できるか、と考えた結果なのだろう。あな恐ろしや。
側面にはファイターズのレジェンドが描かれている。
ここに至るまでの50年、彼らが歴史を積み重ねてきたからこそこの球場があることを忘れてはいけない。
ここにもカウンターがあるが、さすがに試合は見にくそうか。
歩くだけで十分観光になる楽しさ。
ちなみにそらとしばの2階はビアガーデンになっている。
更にセンターフェンスの手前はVIP用のエリアにもなっている。まったくもって隙が無い。
ゲートをくぐってすぐの便利な場所にあるエスカレーターは3列もある。
絶対に客を歩かせないという強い意志を感じる。
続いてSTAR LEVELを散歩。
ここはFIELD LEVELやMAIN LEVELとはまた違った雰囲気で、楽しく散歩できるエリア。
ブランコがあったり…
本が置いてあったりもする。本当に一日過ごせるぞここ…。
そのうちネットカフェもできるかもしれない。
こちらにもテラスがある。
ここから見えるのは駐車場と山々、そしてマンション。
階段ですら、ほれぼれとする。
Coca-Cola GATEの下にあるのは展示コーナー。
ファイターズ栄光のペナントが堂々と並んでいる。
東京から歩んできたファイターズの50年。
ファイターズファンではないけど、なんだか感慨深いなあ…。
更にこっちは、エスコンフィールドを支える技術の展示コーナー。
人気はないかもしれないが、個人的にめちゃくちゃ好きな場所だ。
Fビレッジの精巧なモデルがある。
じっくり眺めて比較してみるのも楽しそうだ。
ここにはエスコンフィールドの屋根や、
屋根を開閉するための車輪やレールなどがある。
見た目は地味だが、これら最先端技術によってエスコンフィールドは支えられているのだ。
ちなみにエスコンフィールドの屋根を支える台車は、エスコンフィールドのすぐ横にある中山機械という会社で組み立てられたというウソの方なホントの話がある。
この会社は100年以上の歴史があるのだが、本当に偶然だったらしくエスコンフィールドが技術の宣伝になって注文が増えたようだ。
正しいことをしていると、いつの間にか運も向いてくるのである。
そしてこちらが最も大きいグッズショップ、その名も「FLAGSHIP STORE」。
中には多種多様なグッズが販売されていて、お土産等も充実。
ファイターズファンだけでなく、観光客みんながお買い物を楽しめる品ぞろえとなっている。
この中には天然芝や、
ビールくださいタオルなどユニークな商品も並んでいる。
確かに売り子さんからビールを頼むのって結構頑張らなきゃいけないので、こういうタオルがあると意外に便利かも。
こちらは子供の遊べるエリア。ちゃっかり有料なのだが、きっとその分遊び甲斐があるのだろう。
このあたりはファミリー用のエリアか。
グッズショップもファミリー向けだし、ミスタードーナツもある。
タイとコラボした作品も展示されている。
水槽まであるとは…。
TOWER11の2階にはスポーツと飲食を楽しめる施設がオープンした。
球場にいながらスポーツもできるとは…。
他にもこの日は使われていなかったがストリートパフォーマー用のエリアとか、
昆虫展までやっている。一体どこまでやれば気が済むんだ?
トイレの出口に、稲葉さんの熱いメッセージがあった。
何事も上達に近道はない、ということだ。
TOWER 11の目玉は、なんといっても3階にある世界初球場内天然温泉&サウナ。
本当に球場内に温泉やサウナがあるのか?嘘じゃないのか?
本当だった…。
内湯は男女別、サウナは水着で男女共用のシステム。
しかしまあ、サウナが最高なのはもちろん、水風呂も非常に気持ちいいしととのいエリアも充実。
そして北海道の温泉も楽しめるとあっては、あまりに最高すぎるのだ…。
もちろん値段こそ跳ね上がるものの試合中もサウナや温泉は営業している。
ここで試合を見るのも夢だなあ…。
サウナの手前はバーになっており、そのままビールを楽しむことだってできちゃう。
人の欲求をよく分かってらっしゃる…。
ここから見る球場もまた格別ってやつだ。
ちなみにサウナでととのっていたら屋根が開き始めた。
七つ星横丁については後述するが、試合のない平日は営業していなかった。残念。
逆に言うと試合が無くても土日は営業しているとのこと。
それだけエスコンフィールドは試合の有無にかかわらず人が集まるということだ。
そんな七つ星横丁の前にももちろんカウンター席がある。
ここで飲み食いするのも最高だなあ…。
こちらも営業していなかったが、路地裏ラーメンテラスなるエリアもある。
ここは日本全国からラーメンの名店が集まっていて、さしずめ新横浜ラーメン博物館のよう。
この日も外からエスコンフィールドを見てみた。
特に晴れていると画になる。
こちらはVIP用のFulltech GATE。
左右に宮殿のような柱があるが、実はこれ屋根を開ける時に引き出された屋根を支えるための柱なのだ。
この階段を上ると…
3塁側のNEOBANK GATEである。
ここに一番大きなグッズショップがある。
Fビレッジにはミニ球場がある。
ここで誰でも気軽に野球で遊べるという仕組みだ。小さいながら結構本格的なつくりになっている。
こちらのTHE LODGEはアウトドア系のお店やバーなどを備えている。
Fビレッジは球場外にも見どころがたくさん。
ここは本格的なアクティビティが楽しめる施設らしい。
Fビレッジには本当に何でもあるのだ。
夏なのでプールもばっちり。もはやこれくらいでは驚かない。
(でもスライダーまであるのはびっくり)
ちなみにバス乗り場はCoca-Cola GATEの前にある。
このバスのデザインがまたカッコいい…。
今流行りのEVというやつだ。
【雰囲気】★★★★★
対戦相手のスタメン発表にもそれなりに力を入れている。これぞおもてなしってやつだ。
外野にあるSHINJOボードに打球を当てると111万円がもらえるのだが、それにすらスポンサーがこれだけついている。
アイデア次第でなんでもできるんだなあ…と考えさせられる。
試合前の盛り上げ役は主にDJさんが担っている。
3万人を盛り上げるんだからとてもやりがいがあるだろう。
きつねダンスで社会現象となったファイターズガールの中心メンバー滝谷美夢さんは、北海道のローカルタレントとして活躍している。
所属事務所は大泉洋と同じOFFICE CUEである。
そして今もこうしてエスコンフィールドのイベントに出演している。
うまいことキャリアアップを果たしたもんだ。
個人的に面白かったのは「〇〇から来ました」タオルを掲げるイベント。
道内の市町村すべてと47都道府県、そしてファームがある鎌ヶ谷バージョンが用意されているらしい。
遠くから来た人が映ると盛り上がるし、一方で「北広島から来ました」というギャグみたいなタオルもある。
とんでもなくでかい北海道だからこそできるイベントだ。
そして選手紹介。
ポジションごとにライトで照らし出される演出がこれまた素敵。
指名打者のレイエス選手はバナナを食べていた。
もちろんプレーごとにビジョンで盛り上げ演出がされる。
また音響も最新鋭の設備を使っていてとても聞き心地がよい。ライブも快適にできそうだ。
もちろん名物のきつねダンスもあります。
でもきつねダンスに頼りすぎないというか、あくまでイベントの一つであり新しいことをどんどんやってみようという気概も見える。
開放感がありすぎる弊害で見えにくいが、光の演出もばっちり。
暗くなってからのエスコンフィールドもまたとっても楽しいだろうな。
ホームランが出るとそれはそれは大盛り上がりだ。
定番中の定番YMCA。みんな知ってる、みんな踊れる。
ラッキーセブンはファイターズ讃歌。歌詞がデカすぎて視力検査の一番上みたいになってる…。
そういえばファイターズはジェット風船を飛ばさないんですね。
回収するのも大変だからねえ…。
きつねダンスに続く定番を作るべくジンギスカンダンスも開発されている。
北海道になじんだ曲だから特に違和感もない。
そんなこんなでファイターズが見事勝利。
試合演出全体としては、札幌ドームから方向性が大きく変わっているというわけではなさそうだった。
それでもイベント量は倍くらいに増えている印象だし、なによりエスコンフィールドになって格段に雰囲気が変わった。
試合演出でも日本、いや世界屈指の球場だ。
なんと野球が一番面白いと言われるルーズヴェルトゲームでの決着だった。
最後は日本らしく一本締めで。
ヒーローインタビューも楽しさ満点。
試合後には屋根を開けてくれた。開ききるまではおよそ20分。
この開放感の中試合を見るのも最高だろうなあ…。
試合後には盆踊りイベントも行われていた。
試合が終わっても、エスコンフィールドの楽しみはまだまだ終わらない。
駆けつけ一杯…ならぬ帰り際一杯も可能。
なにせここでビールを作っているのだから…。
何時間でもいたくなる心地よさだ。
後ろ髪をひかれながらエスコンフィールドを去った。
滞在時間はなんと9時間。それでもまだまだ足りなかった。
帰りの車内から見たエスコンフィールド。ぽっかり屋根が空いている。
(電車の窓きれいにして…)
【グルメ】★★★★★
まずは朝食を調達。こちらのTruffleBAKERY BAKERYは文字通りパン屋さん。
球場にパン屋さんがあるのもおかしな話なのだが、もはやFビレッジでは当たり前の光景だ。
ちょっとお値段は張るけど、それに見合うだけのおいしいパンが食べられる。
オススメは白トリュフの塩パン。
こちらは試合がない日に訪れた「foodhall by Nipponham」。
その名の通り日本ハムの提供による3店舗が出店している。日本ハムが長年やりたかったことがついに実現した。
中もまたオシャレなつくり。人気なので席は常に埋まっている。
もちろんテイクアウトもできる。
目玉商品と言えば、日本ハムの看板商品シャウエッセンを使ったシャウエッセンホットドッグ。
きっとシャウエッセンに合うパンを研究に研究を重ねて作ったのだろう、その相性はバツグン。
エスコンフィールドに来たらとりあえず食べておいて間違いはない。
グラウンドを見ながら食べるのが最高だ。
続いて訪れたのがルスツ羊蹄ぶた。こちらも試合がない日にも営業している。
留寿都村にある農場で育てられた豚肉は脂っこくなく、こってりしたカツカレーにしても全く胃もたれしない。
とにかく、うまい。全部うまい。LOVE HOKKAIDO。
続いては小樽なると屋の名物半身揚げ。
もちろんおいしいんだけど、骨が多くてケンタッキーの5倍食べるのが難しい。
球場で食べるなら素直にザンギにしておいた方が良いかも…。
(持ち帰る場合はどちらでも)
もちろん北海道ゆえ海鮮も充実。
こちらの海味はちきょうはMAIN LEVELにもSTAR LEVELにも出店している人気店。本店はすすきのにある。
もちろん新鮮な海鮮やイクラがどっさり乗ったつっこ飯などもあるが、スタグルで食べやすいのはホッケフライ。
ワンカップで手軽に食べられるし、サクサクのホクホクでそりゃもうおいしい。
いやあ、最高だねえ…。
続いてはTOWER 11でひっそり営業している「北海道の餃子 天のびろく」。
わざわざTOWER 11を上らないといけないのだが、常に行列ができている人気店だ。
ニンニクたっぷりのオリジナルと、とかちマッシュという2種類に加えトッピングもいろいろあったが、今回は初めてなので1番人気のオリジナル。
肉汁がたっぷりあふれてきて、タレもいらないほどしっかり味がついている。ああ、うまい…。
横浜スタジアムのベイ餃子も美味しいけど、これはたぶん超えてるな…。スタグル餃子史上ナンバーワンで間違いない。
北海道と言えば乳製品も欠かせない。こちらは100年以上の歴史がある町村農場のミルクたっぷりロイヤルミルクティー。
さわやかなミルクティーが、スタジアムめぐりで疲れた体の隅々にまで染み渡る。う、うまい…。
もちろんソフトクリームなどのアイスもありそちらも大変人気だった。
ちなみに筆者はこの前日札幌競馬場で町村農場のソフトクリームを食べたが、もちろんおいしかった。
試合後には念願の七つ星横丁へ。
ここには日本全国から集まった選りすぐりの10店舗が軒を連ねている。
何せそれぞれのお店に席があるんだから、スタグルではなく軒を連ねるという表現の方が正しいのだ。
もはや野球はそっちのけである。
遠征民が食べたいのはやっぱり北海道の食。
ということで旭川の名店・寿司の天金へ。
せっかくだから、と思い一番高い特選握り寿司10貫をチョイス。
一番高いと言っても3000円だし、関東ならゆうに5000円は超える内容だろう。
球場でこんなおいしいお寿司が食べられるなんてなあ…。
すごい時代になったもんだ。
やっぱりそらとしばのビールも飲みたい!
ここで販売しているビールは6種類もあり、その中で球場で醸造しているのは2種類。
まずは試合のない日にいただいた「そらとしば Play Ball! Ale」から。
球場醸造のそらとしば定番商品。
キリっとしたさわやかさとほのかな苦みが絡み合い、定番になるのもうなずけるビール。
これを飲んでプレイボール!
帰り際寿司を食べた後に飲みたくなって選んだ「そらとしば シーズナル08」。
とってもスッキリしていて苦みも強くなく、さわやかな夏に最適の一杯。
これを飲みながら見る盆踊りは最高だったあ…。
エスコンフィールドはお土産も充実。
北海道中の名物をファイターズ仕様に染め上げたオリジナル商品がたくさん並んでいる。多すぎて迷っちゃう…。
こちらは元ファイターズの新垣勇人さんがやってるキッチンカー「KAKILAND」。
本人が働いておりファンにはたまらないサービスだ。
後は普通に銀だこやモスバーガーもあるし、大阪のたこ焼きの名店「わなか」や広島のお好み焼きの名店「電光石火」まである。
わなかに関しては関東にもないし、何なら関西の球場にもないから普通にうらやましい。
STAR LEVELにも牛タンの利久などもあり、北海道民が全国の食を楽しむという需要も満たしている。
もはやスタグルというか、食のテーマパークともいえる充実ぶりだ。
他の球場とはあまりに別次元すぎて比較することもできない。
【街との一体感】★★★★★
北海道の玄関口、新千歳空港駅はFビレッジの広告でいっぱい。
そりゃもう、新千歳空港から一番近い観光地と言っても過言ではないのですから。
車内にも注意書きがあるほど。
車内には至る所にファイターズの選手がいる。もはや北海道のマスコットのようだ。
北広島駅を降りると、もちろんファイターズの選手たち。
その反対側にある広告もオシャレ。
改札を出るとFビレッジ一色。興味を引くようなメッセージがたくさん書かれている。
「野球に興味がないからこそ、来て欲しい。」…まさにその通り。
こちらは北広島市役所。すべてはここから始まった。
もちろんファイターズエリアがある。試合結果まで置いてあるウキウキぶり。
Fビレッジのモデルもある。エスコンフィールドのものと見比べるのも面白いかも。
北広島市役所のテラスからエスコンフィールドが見える。
北海道の新しいシンボルの誕生だ。
北広島市のスローガンは「The Ambitious City~大志をいだくまち~」。
エスコンフィールドを呼び込んだ北広島にぴったりのフレーズ。
そんな北広島市役所の前にあるのがFビレッジポスト。オシャレな色合いだ。
そしてFビレッジ。
街との一体感というか、街そのものを作ってしまっている。世界でも類を見ない試みだ。
球場前の体育館には「頑張ってファイターズ」というメッセージ。
最新鋭の球場にアナログな張り紙のメッセージというアンバランスさがなんともいい。
北広島駅までの道中にあるセイコーマート。
以前訪れた時は休業していたが、ファイターズ仕様になって復活していた。
もちろんファイターズグッズを販売しているし、店内もファイターズ一色だ。
別の店舗でもファイターズのキャンペーンを行っている。
更にはファイターズガールも消防局のCMに起用されている。
官民一体となってファイターズの選手、そしてファイターズガールたちが推されている状態だ。
交番にもファイターズのポスターが…選手たちも悪いことはできない。
北広島駅前の商業施設はFビレッジでウキウキだ。
お店自体はちょっと老朽化していたから、ファイターズマネーが入ってそのうちキレイになるかもしれない。
一方、こちらはファイターズに「捨てられた」札幌市。
それでも札幌駅前にはファイターズグッズショップが営業しており、多くの人でにぎわっていた。
札幌の百貨店丸井今井には北海道の3チームのグッズショップ。
多くの人が行きかうJR札幌駅構内にもFビレッジの広告があった。
ファイターズと札幌市はいい関係を築くことができなかったが、札幌市民とは良好な関係が続いている。
もちろん多くの企業でファイターズの選手たちが広告に起用されている。
大通の地下街にはエスコンの大きな広告があった。
これはFビレッジやエスコンフィールドではなく、不動産としての宣伝のようだ。
それだけ北広島は土地としても注目されている場所になっている。
今後ますます目覚ましい発展を遂げるかもしれない。立地も悪くないし。
北洋銀行はファイターズの選手だらけ。
手前にある工事用の柵ですらファイターズ仕様になっている徹底ぶりだ。
すすきのの正面にも、エスコンフィールドが映し出されている。
札幌で最も有名な場所の一つでもでかでかと宣伝されている。
札幌ドームの最寄り福住駅を抱える札幌市営地下鉄ですら、ファイターズの存在は無視できない。
福住駅にもファイターズのポスターが貼ってあるのが何とも皮肉だ…。
エスコンフィールドまでのシャトルバスが出ている新札幌駅の喫茶店「駅馬車」は、ファイターズを猛プッシュ。
北海道移転から20年の時が経ち、ファイターズはすっかり北海道のアイコンとして機能しているようだ。
それはエスコンフィールドに移転しても変わりなく、それどころかより勢いを増している。
【満足度】★★★★★
ここ最近日本で流行っていた球場のボールパーク化であるが、エスコンフィールドはそのレベルを一段も二段も押し上げたまさに夢のボールパークである。
今後エスコンフィールドにインスピレーションを受けてさらなる進化を遂げるボールパークが日本に現れてくるだろう。
それほどのインパクトを野球界、のみならず日本全体に与えている。
エスコンフィールド、そしてFビレッジもまだまだ完成したわけではない。
今後新しくホテルが開業したり、北海道医療大学が移転したり、その勢いはとどまることを知らない。
果たして北の大地に生まれたボールパークは、今後どんな景色を見せてくれるのか…。
ファイターズの大航海はまだまだ始まったばかりだ。
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