息抜きと生物学

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顕微鏡シリーズ~蛍光顕微鏡 2 ~

こんにちは。うちPです。

 

今回は、本当に蛍光顕微鏡についてです(笑)

 

・目次

 

早速内容へ 

 

蛍光顕微鏡

蛍光顕微鏡の観察では、蛍光を発する色素(蛍光色素)や

タンパク質(蛍光タンパク質)を用いて見たいものを標識、

特定の波長の励起光を当て

蛍光を観察します。


蛍光は励起光よりも波長が長い(エネルギーが低い)ものになります。


よく使われる励起光と蛍光の組み合わせは表のようになっています。

表の()内は、励起光の色です。

f:id:Uchi_P:20210826222513p:plain

例えば緑色の蛍光を発する蛍光色素は、

488 nmの波長の励起光で励起されます。

 

f:id:Uchi_P:20210826222608p:plain

 

緑を見たいから、488 nmの青色の光を当てる。

という感じですね。

 

 


ただ、一つ問題があります。


それは、「励起光に比べて、蛍光がめちゃくちゃ暗いこと」です。


例えば、下図の左のようにサンプルの下から励起光を当てた場合、

 

サンプルから発せられた蛍光と

サンプルに当たった励起光は右のようになります。

 

f:id:Uchi_P:20210826222957p:plain

蛍光も目に届くのですが、

サンプルを透過した、蛍光以上に明るい励起光も目に届いてしまい、


何も見えなくなってしまいます。

 


そこで用いられているのが「ダイクロイックミラー」です。

大雑把に書くと、下の図のように配置されています。

 

f:id:Uchi_P:20210826223018p:plain

 

ダイクロイックミラーは、特定の波長の光を反射し、

それ以外の波長の光を透過するものです。


ここでは、短波長の光は反射して、長波長の光は通します。


そうすることで、波長の短い励起光は反射され、

波長の長い蛍光だけがダイクロイックミラーを通過し、

観察できるという仕組みになっています。

 

ちなみに、光源は水銀ランプを用いるものや、特定の色のレーザーを用いるものがあります。 

 

フィルター

蛍光顕微鏡を語るうえで、非常に重要なのがダイクロイックミラーを含めた、

 

フィルター

 

です。

 

実際の蛍光顕微鏡では、ダイクロイックミラーのほかに

 

励起フィルターバリアフィルターという2種類のフィルターが存在します。

 

2種類とも、ダイクロイックミラーと同じように、特定の波長の光を反射し、

それ以外の波長の光を透過します。

 

実際には、特定の波長以上の光を透過するロングパスフィルターや

本当に特定の領域の波長のみを透過する(短いものも長いものも反射する)バンドパスフィルターが用いられています。

 

縦軸に透過率、横軸に波長を取るとこんなグラフになりますね。

 

f:id:Uchi_P:20210829005008p:plain

 

 

それぞれ下のような位置に配置されています。

 

f:id:Uchi_P:20210829005840p:plain

 

 励起フィルターは光源からでた光から、励起光を取り出すものです。

 

バリアフィルターは検出器や接眼レンズの前にあり、

特定の蛍光のみを取り出すためのフィルターです。

 

励起フィルターとバリアフィルターの組み合わせを変えることで、

1つのサンプルで、複数の色の蛍光を観察することができます。

 

また、バリアフィルターの位置を工夫することで、2色同時撮影なども可能になります。

 

 

ということで、今回は蛍光顕微鏡について簡単に書いてみました。

 

書きたいことがいろいろあって更新頻度が減ってしまっています(笑)

 

予定では蛍光顕微鏡は2回で終わりでしたが、

 

やはり蛍光色素、蛍光タンパク質に触れないわけにはいかないので、

 

次回は「蛍光色素、蛍光タンパク質」特に「GFP」について書くつもりです。

 

 

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