多職種介入心不全管理プラグラムにおける退院後臨床転帰の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25134951/  

タイトル:Multidisciplinary intensive education in the hospital improves outcomes for hospitalized heart failure patients in a Japanese rural setting

<概要(意訳)>

背景:

地方に住む心不全患者は、医療アクセスが限られている為、心不全に関する知識が不足しており、セルフケア(自己管理)が不十分である。

そのような患者には、セルフケア行動を改善する学際的な教育が不可欠である。

 

方法:

学際的なチーム介入に基づく入院患者の心不全管理プログラムは、日本の地方で入院している入院患者に適用された。

2009年5月から2011年4月まで心不全管理プログラムの中で治療を受けた患者を介入群 (n=144)、2006年5月から2009年4月まで通常治療を受けた患者を通常治療群 (n=133) と定義した。

 

この心不全管理プログラムは、入院中に心不全チームによって指示された包括的な医学的および非医学的介入に焦点を当てた。

心不全チームは、経験豊富な循環器専門医(心不全)、循環器専門看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、超音波検査技師、ソーシャルワーカーで構成されていた。

 

(1) 循環器専門医による心不全治療の最適化

循環器専門医がカルテをチェックし、エビデンスに基づいた薬理学的/非薬理学的治療法を主治医に推奨した。

 

(2)理学療法士による心臓リハビリ

入院中の安定状態の悪化を防ぐ為に、禁忌のない全ての患者に心臓リハビリテーションが適用された。

また、理学療法士は退院後の過労を避ける為に、最適な日常活動について患者を教育した。

 

(3)看護師、薬剤師、栄養士による多職種チーム教育

多職種チーム教育は、「看護師による患者教育」、「薬剤師による服薬指導」、「栄養士による栄養指導」の3つの教育で構成されていた。

循環器専門看護師が、患者指導用資材を使用して、症状のモニタリングとセルフケア管理について患者とその介護者を教育した。

全ての患者に毎日体重を記録し、予想外に体重が増加している場合は、主治医に相談することが勧められた。

薬剤師は、各薬剤の効果と副作用について患者を教育した。

また、入院前に服薬遵守状況をチェックし、服薬遵守を改善する策を検討した。

栄養士は各患者の栄養状態を評価し、適切な毎日のエネルギー摂取量と、過剰な塩分と水分の摂取を避けることを推奨した。

 

(4)心不全チームによるカンファレンス

毎週チーム会議が予定され、心不全の悪化に関連する各患者の問題について議論した。

 

(5)うっ血の退院前評価

超音波検査師が退院前の心エコー検査を実施し、退院の1週間前に血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値を測定した。

BNPレベルおよび/または心エコー検査でうっ血が完全に解除されていない場合、退院は延期され、更なる治療が追加された。

 

(6)退院時のケアプランニング

社会環境問題を抱えた患者では、ソーシャルワーカーがケアプランニングを促進し、ソーシャルケアサービスを提供した。

退院後の循環器医専門医によるフォローアップは、重症の心不全患者および心不全入院の既往患者にも推奨された。

 

結果:

コホート全体の平均年齢は74±13 歳で、59.6% が男性であった。

虚血性心疾患の有病率は36.5%、心不全入院の既往患者は22.4% 、平均LVEFは45.4± 16.0%であった。

 

心不全管理プログラムを受けた介入群は、通常治療群よりも、「退院時のβ遮断薬使用、入院中の心臓リハビリテーション、入院中の冠動脈血行再建術」などの最適な治療を受けた (全p<0.05、図4A)。

 

また、「入院中における看護師による患者教育、薬剤師による薬学教育、栄養士による栄養士指導の教育的介入」と「心エコー検査またはBNPレベルの退院時評価」も、通常治療群と比較して、介入群の方が多かった(全p<0.01、図4B)。

BMC Health Serv Res. 2014 Aug 19;14:351.

さらに、介入群の患者は、通常治療群の患者と比較して、複数 (2 つまたは3 つ)の教育を受けることが多かった (全p<0.05、図5)。

BMC Health Serv Res. 2014 Aug 19;14:351.

介入群の入院期間の中央値 (四分位範囲)は、通常治療群よりも有意に長かった[27 (19–38) 日 vs 22 (16–38)日(p=0.023)]。

 

集学的心不全管理プログラムが臨床転帰に及ぼす影響

主要評価項目の「全死亡と心不全入院の複合エンドポイント」は、介入群の患者40例(27.8%)と比較して、通常治療群の患者61例(45.9%)で発生した。

個々のエンドポイントの内訳をそれぞれ下記に示す。

全死亡は、通常治療群の患者12例(9.0%)、介入群の患者17例(11.8%)で発生した。

心不全入院は、通常治療群の患者49例(36.8%)、介入群の患者23 例(16.0%)で発生した。

Cox比例ハザード分析では、介入群の患者は、通常治療群の患者と比較して、複合エンドポイントのリスクが約50%減少したことが示された[HR0.506(95%CI 0.339-0.754); p<0.001(図1)]。

BMC Health Serv Res. 2014 Aug 19;14:351.

臨床転帰に対する患者教育の効果

主要転帰に対する患者教育の効果を評価する為に、研究対象者は、患者が受けた教育種類の数に応じて3つのグループ[グループA:教育を受けなかった、グループ B:1種類または2種類の教育を受けなかった、グループ C:3種類の教育 (学際的集中教育)を受けた]に分類された。

グループA(教育を受けなかった)をreferenceとした場合の「全死亡と心不全入院の複合エンドポイント」におけるハザード比は、それぞれ、

グループB vsグループA:HR 0.630(95%CI 0.398-0.999); p=0.049

グループC vsグループA:HR 0.272(95%CI 0.130-0.570); p<0.001

となり、37%と73%の相対リスク減少が示された(図2)。

 

Cox比例ハザード分析により、学際的集中教育(3種類の教育)が、全ての医学的および非医学的介入の中で主要転帰のリスクを軽減するための最も効果的な介入であることが示された[HR 0.387(95%CI 0.200-0.738); p<0.001(図3)]。

BMC Health Serv Res. 2014 Aug 19;14:351.

結論:

多職種介入による3種類の患者教育(学際的集中教育:「看護師による患者教育」、「薬剤師による服薬指導」、「栄養士による栄養指導」の3つの教育)は、日本の地方における心不全患者の退院後臨床転帰を改善するための重要な戦略である。

本研究の結果は、日本の医療制度の改善に好影響を与える可能性がある。

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