坂本龍一【ゲーム音楽作曲家列伝番外編08】

ゲーム音楽作曲家列伝「番外編」第8回は「教授」「世界のサカモト」の愛称で親しまれ、日本を代表する作曲家の一人である坂本龍一さんを、ゲーム音楽視点からご紹介いたします。

坂本さんが作曲したゲーム音楽は数少ないのですが、YMOの活動を通じて初期のゲーム音楽に与えた影響は計り知れません。

(2023年4月2日追記)
先ほどネットニュースで知ったのですが、坂本龍一さんが2023年3月28日に死去していたことが報じられました。享年71歳。ご冥福をお祈りします。

坂本龍一さんプロフィール・略歴

本名:坂本龍一(さかもと りゅういち)
通称:教授、世界のサカモト
生年月日:1952年1月17日~2023年3月28日
ゲーム音楽作曲家デビュー:1989年6月(天外魔境 ZIRIA)

坂本龍一さんの作曲家・演奏家としてのキャリアは非常に多彩であり、普通に紹介していくとそれだけで凄い文章量になってしまいますし、詳しく紹介しているサイトも沢山ありますので、ここでは最重要な部分に絞って紹介させていただきます。

坂本さんは3歳からピアノを、10歳から作曲を始めて、東京芸術大学に進学。大学院在籍中にスタジオミュージシャンとしてプロ活動を始めました。

大学院卒業後、1978年に高橋幸宏さん(ドラムス、ボーカル)、細野晴臣さん(ベース)と共にYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成。坂本さんは作曲と鍵盤楽器を担当しました。

YMOではニューウェーブ・テクノポップを中心とした先進的な音楽をやっていましたが、商業的にも大きな成功おさめ、以降は日本のトップミュージシャンの一人として認識されるようになります。

1983年にYMOが解散してからはソロ活動を中心に音楽活動をしていますが、『戦場のメリークリスマス』(1983年)『ラストエンペラー』(1987年)をはじめとした映画音楽の分野で大成功し、作曲家として世界的に認知されるようになりました。

それから現在に至るまで、映画・CM・TV番組・アーティストへの楽曲提供と自身のソロ活動を中心とした活動をされています。

2022年6月にステージ4の癌を患っていることを公表し、闘病しながらも、同年12月にはピアノソロコンサートを配信したりなど、最後まで創作活動・演奏活動への意欲を見せていましたが、2023年3月28日に永眠しました。

坂本龍一さんの音楽

坂本龍一さんの音楽性ですが、ベースにあるのは幼少時から学んだクラシック音楽で、その上にYMOでやっていたようなテクノミュージックやポップス、1980年代に入ってから傾倒を深めていった民族音楽(日本の古典音楽も含む)といった要素がプラスされている。自分はそんなイメージです。

そして、YMOの語源でもありますが、「イエロー=黄色人種としてのアイデンティティー・独自性」というものにかなりのこだわりがある方だと思います。

具体的にはクラシック、テクノ、ポップスといった欧米で生まれた音楽フォーマットに、アジアの伝統音楽や民謡のフレーズを組み合わせたものが、坂本龍一さんの音楽性の中心にあるのではないでしょうか。

クラシック+東洋音楽+シンセサイザーというフォーマットは、坂本さんの少し後に(1980年代半ばから)頭角をあらわしてきた久石譲さんとも共通するものがありますよね。

そして、坂本さんは「教授」の通称通り音楽理論にも精通しています。

なんというか、シンプルに聴こえる曲でも一定の捻りがあったりして、複雑で繊細な音の変化が持ち味であり、そのあたりも久石譲さんと共通しているところかと。

以上が自分の「作曲家・坂本龍一」のイメージですが、近年ではエレクトロニカ系の作品も発表されていたり、坂本さんの音楽性は一か所に留まることなく常に時代の先端を反映させているのは驚異的です。

坂本龍一さんとゲーム音楽

坂本龍一さんが直接作曲したゲーム音楽は数少ないのですが、YMOを通じて初期のゲーム音楽に与えた影響は計り知れないと思います。

ゲーム音楽論01「ゲーム音楽のルーツ」でも書きましたが、YMOの活動期間である1978年から1983年というのは、ゲーム音楽の黎明期とドンピシャであり、シンセサイザーやコンピューターを駆使するYMOの制作スタイルは、「ゲーム機の音源にプログラムで演奏させる」という当時のゲーム音楽の特性と親和性が高いものでした。

実際に、東野美紀さん・河本圭代さんなど、初期のゲーム音楽発展の中核を担った人達がYMOからの影響に言及していますし、初期ゲーム音楽への間接的影響は非常に大きかったのではないでしょうか。

また、YMOはゲーム機で使われる音源を駆使して音楽に採り入れる「チップチューン」の元祖的な事もやっていたりして、常にゲーム音楽と近しい位置にいたという事を感じます。

坂本さんが直接手掛けたゲーム作品としては、『天外魔境 ZIRIA』(1989年、PCエンジン)や『聖剣伝説4』(2006年、PS2)への曲提供(メインテーマ作曲)が有名ですが、2000年にドリームキャストで発売された『L.O.L. Lack of Love』には全面的に参画していて、音楽のみならずゲーム本体のプロデュースにも携わるという力の入れようでした。

なお、YMOの盟友である細野晴臣さんは1984年に発売された日本初のゲーム音楽サウンドトラック『ナムコ・ビデオ・ゲーム・ミュージック』のプロデュースを担当し、『ゼビウス』などナムコ作品の音楽を編曲しています。

ただ、細野さんに関しては、自分が知る限りゲーム作品への曲提供は無いようです。

坂本龍一さんのゲーム音楽作曲作品

1989年

天外魔境 ZIRIA(PCE、ハドソン、3曲)

1998年

ドリームキャスト サウンドロゴ(DC、セガ、システム起動音)

2000年

L.O.L. Lack of Love(DC、ラブデリック、全曲)

2004年

SEVEN SAMURAI 20XX(PS2、サミースタジオ、全曲)

2006年

聖剣伝説4(PS2、スクウェア・エニックス、メインテーマ)

※略号
PCE=PCエンジン
DC=ドリームキャスト
PS2=プレイステーション2

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