レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観(イタリア・スイス)

Iso TuorによるPixabayからの画像 レーティッシュ鉄道

※アイキャッチ画像は「Iso TuorによるPixabayからの画像」

Rhaetian Railway in the Albula / Bernina Landscapes ( Italy / Switzerland ) OUV(ii)(iv)

2008年世界遺産登録

■JRよりも古い歴史をもつスイス鉄道が創る、サステナブルな旅

スイスアルプスを横断し、スイスからイタリアに至るまでのレーティッシュ鉄道アルブラ線、およびベルニナ線は、その景観とともに世界遺産に登録されています。

具体的には、スイスのトゥジス駅からサンモリッツ駅までのアルブラ線と、サンモリッツ駅からイタリアのティラーノ駅までのベルニナ線をコアエリアとし、その周辺を3種類のバッファーゾーンに区分して登録されています。

スイス国内の北西部を走る「アルブラ線」は1904年の開通で、約120年の歴史がありますが、スイス鉄道は今年(2022年)でなんと175年!JRが同じく今年150周年ですから、非常に歴史を感じますね。アルブラ線は全長67kmの中に42のトンネルと144の高架橋があります。

それには起伏に富んだ山々を越えるために工夫されたレールづくりが必要です。スイス鉄道は今年、その技術をさらに進化させるべく、自由に列車を連結できる最新車両カプリコーン100両を連結し、全長が1910mとなり、ギネス公式記録に認定されました。それはこのアルブラ線で達成され、連結した高低差は約790mにもなったそうです。

一方、1910年に開通した全長61kmの「ベルニナ線」もトンネルが13で高架橋は52。

この2路線は、技術や建築が周辺の環境と調和して完成されたもので、その路線の周辺がバッファーゾーンとなっているものの、全体の景観も価値として評価されました。20世紀の山間部での生活を容易にするとともに社会経済に多大な影響を与え、さらに人間と大自然アルプスとの橋渡しとしての役割を果たしたとされています。

大自然に囲まれたスイスは、古くから水力発電エネルギーを山岳鉄道に利用するなど、自然と共存した開発をおこなってきたそうです。観光業界では、 スイス政府観光局が主導するサステナブルな取り組みを独自に「スイステナブル」とブランド化し、取り組む企業や団体に対して3段階の認証ラベルを設置しています。

スイステナブル参加施設・団体 | スイス政府観光局 (myswitzerland.com)

Booking.comの独自の認証システムのように、旅行者に向けて、各事業者の取り組み状況を可視化する狙いがあります。特に今や化石燃料を使わない環境に配慮した電車は重要な移動手段ですが、レーティッシュ鉄道においては、1910年代にルート最高地点にある湖で水力発電用のダム・貯水湖がつくられ、ベルニナ線は1910年の開通当時から電力で運行しているというので驚きです。2013年からは、鉄道と関連施設の運営を100%水力発電で実現しているそうです。

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