恋のはじまり

下着のワケ

あたしは朝比奈楓(あさひなかえで)は、先月で高校1年生になった。

12歳の頃に初めて会って、現在では桐生はじめ(きりゅうはじめ)さんが担任の先生になったのだ。

なぜ知り合っていたのかって?

実は昔にあたしの父兄とつながりがあった桐生さんと知り合い、教師生徒になる前に出会っていました。

その日からあたしは桐生さん以外の男性も男子も目に入らなくなりました。
………

………
気が付くと桐生さんとは定期的に会っていた。

勉強を見てもらうという名称で月に数回、自宅に来ていた。

それが嬉しくって毎日「次は会えるかな?」とか「もっと近くなりたいな」と考える日々が続いていました。
………

………

………
時は流れ、もう高校生のあたし。

桐生さんは担任という存在に変わってしまったが愛しい気持ちは変わらない。

一生変わらないだろう。

けど結ばれない。

甘んじてあたしは受け入れるから、お願いだから彼は…桐生さんには幸せが訪れるようにお祈りします。

それが例えあたしの運命を不利にしようとも―…
………

………
季節変わり、夏になった。

あたしは最近友達になった男女と海に行くことになる。

泳ぐことが大の苦手なあたしだが、ここで屈していてはだめだと思って参加することにした。

そして当日、あたしたちを引き連れてくれる保護者に彼はいた。

 

「うそ…」

そう、桐生さんが保護者だった。

友達に聞いたところ、海に行く話を聞いていた桐生さんは、自ら名乗り出てくれたみたい。

あぁ、夏の思い出に桐生さんが…

嬉しくってたまらない。

水着…可愛いの準備して正解!

 

「あれー?かえでちゃん泳がないの?」

新調した水着の上に白いTシャツで座り込んでいたところを呼ばれた。

桐生さんに見せたいけど恥ずかしくて、さらに泳げないことをさらしたくなかった。

「うんー。ちょっと様子見てるー」

ぎこちない笑顔であたしは友達たちに手を振る。

キャッキャッとする声が海の方からしてくる。

いいなぁ…。

「行かないのか?」

「へ?」

知っている声の方向を見ると、そこには桐生さんがいた。

「き……先生」

「今はいいぞ。桐生で。あいつらには聞こえないだろ」

「…泳いできます」

「待った」

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