conparu blog

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約束の地

2021-05-20 22:21:16 | 随想

アウシュビッツの虐殺はユダヤ人の恐怖の記憶として、大戦後は世界の同情を集める人類の悲劇として私達の心に焼きついている。記録映画を観ると、ガス室に入る前の裸になった男女、そしてガス室から出てきた沢山の亡骸が、無言の帰還者としてガス室の外に放出された。この対比は強烈だった。彼、彼女たちは、「これからシャワーを浴びるから」とナチスに誘導されて入ったものの、シャワー口から出てきたのは水ではなく、ガスであった。
これだけの惨劇を受けたユダヤ人が、詳しくはアシュケナージユダヤ人が、パレスチナのガザ地区に猛爆撃を繰り返している。過激派ハマスのロケット攻撃に対応しているらしいが、イスラエルの対応には些か納得がいかない点もある。もともとパレスチナ人を追いやり、パレスチナの地にイスラエルを建国したのが1948年5月だから、大戦後である。米国の後押しがあって成立した国であるから、結びつきは今でも強い。アメリカはユダヤロビーが大きな影響力を政界に及ぼしていることから、イスラエル建国の影の力になったのであろう。
イスラエルとはヘブライ語で『神の支配』と云う意味だそうだが、ヘブライ人に神が約束された地カナンがパレスチナであり、今のイスラエルと言うことになる。しかし、神が約束したというのは、古代ヘブライ人のアブラハムに対してであり、イサクに対してであるから、メソポタミアが源流のスファラディユダヤ人こそが正統な建国者となるではないか。そうなるとアブラハムの血脈を受け継いできたと言われるパレスチナ人が、正統な子孫として約束の地に居住する権利がある。歴史は時として皮肉である。「ユダヤ人を迫害している者は誰か」と言っても問題の解決にはならない。問題を解決するには一方を排除するので無く、共存の道を探るしかないだろう。


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