conparu blog

ささやかな身の回りの日常を書き綴ります。
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「白い濁流」

2021-10-15 17:42:57 | 随想

自尊心の強い研究者が研究成果を武器にして、企業の要職に這い上がっていく。
NHKで放映された「白い濁流」の、回を追うごとに人間のおぞましい欲望が展開されて、その成り行きに最後まで目が離せなかった。行くところまで行き着かないと、魔に取り憑かれた魂は目を覚まさないものだ。研究の成果によって究極の地位に上り詰めた途端、待っていたのは転落への兆候。研究データの中に潜む落とし穴が、自壊作用を始めたのである。

専門職域に於ける人間関係にも、実際に起こり得る「出し抜けの功名」があり、「自分さえ良ければ他者はどうなっても良い」という、自利の欲念に発して他者を利用(悪用)する行為、その姿勢、魂胆は醜い。他者を利用して己の立場を利する行為は、衆目の監視が行き届かない「閉鎖された領域」において、如何様にも取りなされて、結果だけが白昼に曝されるという事件性の暗部もあった。精神医療の入院病棟は代表的な閉鎖空間であり、医師の匙加減で患者を生かしも殺しも出来る。特に日本の精神医療は先進諸外国に比べて、患者への人権配慮に問題があり、医師都合、或いは病棟都合が優先されて、患者を拘束する事例が今でもある。研究のための研究に資する患者人材を確保するなどということはあってはならないし、巧妙な手立てで内部が組織化されるようなことも尚更あってはならないことだ。永久に閉ざされた独房のような空間に押し込められかねない、8050問題は既に現実の様相を呈している。これからの親は神経を研ぎ澄ませて、我が子と医療現場の成り行きに注視しなければなりません。国立だから大学病院だからと言って安心は出来ない。ニュージーランド人の身体拘束による心肺停止事件もありました。内容は違うけれど、相模原市のやまゆり園のような人命軽視の事件もありました。その背景にあるのは医療倫理が崩壊している現実であります。

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