フルータリアンの備忘録

フルータリアンとは、果物を主食にしているベジタリアンのことです。人間は果食動物? 果食動物で死ぬ?

鼻水・鼻クソが変わります――ミューカスレス・ダイエットとは?粘液を作らない食事とは?

2021-05-08 | 20 世紀に学ぶ
■ 鼻水の分泌が少なくなり、黄色くて粘性の強い鼻水が出なくなる

フルーツベースの食事を長年続けていると、鼻水・鼻クソの量・質が変わったことに気付きます。
まず、鼻水・鼻クソの分泌自体が少なくなります。
花粉のひどい時期を除けば、ティッシュで鼻をかむ必要性がほとんどなくなりました。

また、鼻水自体が出ることはあっても、無色透明で粘性の弱い鼻水であることがほとんどです。
黄色くて、粘性が強くて、臭いの伴う鼻水が出ることが本当に少なくなりました。
特に、痰で喉をつまらせるようなことが全くなくなりました。

さらに興味深いことは、会食や飲み会に参加して普段は食べない加熱食品を食べた日の翌日だけは、
鼻水・鼻クソの分泌が多くなり、黄色くて粘性の強い鼻水・鼻クソが出やすくなるということです。

白い鼻水と黄色い鼻水であれば、一般に黄色い鼻水の方が健康上"良くない"鼻水だとされています。
この黄色い鼻水は、身体の中の免疫が強く働いている証拠です。
細菌やウイルスが体内に侵入した場合、それらを攻撃するために白血球や免疫細胞が働きますが、
攻撃を終えて死滅した白血球や免疫細胞が鼻水に含まれることで、鼻水が黄色っぽく見えているのです。

しかし私は、この黄色い鼻水の大半は、細菌やウイルスを主な原因としているのではなく、日々の食生活に起因しているのだと気付くようになりました。
そして、私のこのような「鼻水・鼻クソ」に関する体験を裏付けてくれる、世界的に有名なダイエット理論が 20 世紀に存在しています。

ドイツの自然療法家アーノルド・エーレット博士 (1866~1922) によって提唱されたミューカスレス・ダイエットです。
エーレット博士は、デトックスおよびファスティングの研究家として、数千人の人々に食事指導を行いました。
博士自身、49 日間に及ぶファスティングを実施し、これは当時の世界記録だとされています。

ミューカスレス・ダイエットは、結局日本語には翻訳されず、日本で知られることはありませんでしたが、
世界的にはよく知られていて、デトックス・ファスティング分野の古典的存在です。
私自身はフルータリアンになってからこのダイエット理論を知ることになりましたが、
海外ではエーレット博士に影響を受けてフルータリアンになったという人が数多くいます。

エーレット博士は、不慮の事故により 56 歳という若さで亡くなったとされていますが、暗殺論もささやかれています。
博士が提唱するフルーツベースの食事が、医薬品業界や食肉・畜産業界の存在自体を根底から脅かすものであったためです。

■ ミューカスレス・ダイエットとは? 粘液を作らない食事とは?

ミューカスレス・ダイエット (Mucusless Diet) のミューカス (Mucus) とは英語で「粘液」を意味し、
ミューカスレス (Mucusless) はその否定形ですから、ミューカスレス・ダイエットを直訳すれば「粘液を作らない食事」ということになります。
以降、エーレット博士にならって、鼻水・鼻クソのことを「粘液」と表します。
ただし、この「粘液」という言葉が表す範囲は広く、耳垢、毛穴からの分泌物、体内で生じた老廃物なども含みます。

エーレット博士は、粘液を作らない食べ物が人間にとって最適であると考えました。
そして、粘液を作る食べ物と粘液を作らない食べ物を以下のように分類しました。

--------------------------------------------------------------
・粘液を作る食品
全ての肉類
魚介類
ラード、マーガリンなど動物性油脂

乳製品

穀物
芋類
豆類
ナッツ、種子類

・粘液を作らない食品
果物
葉物野菜(ジャガイモなど、澱粉質の多い野菜は除く)

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粘液を作らない食べ物、つまり果物と葉物野菜だけが食べてよいものということになります。
ミューカスレス・ダイエットは実質的にはフルータリアンの食事内容です。
ただし、ナッツ類も粘液を作ると考えられている (粘液を作る作用自体は弱い) ため、ナッツは食べ過ぎない方がよいとされています。
ほとんどの人はこの分類をすぐには信じることができないでしょう。
しかし、ローフードやフルーツファスティングを長期的に体験したことがある人は、この分類は真実に近いと感じるかもしれません。

ミューカスレス・ダイエットは 20 世紀に存在したダイエット理論の中でも、もっとも厳格なものといわれています。
そのため、数多くの激しい批判にさらされてきました。
よくあるのが「極端過ぎてバランスに欠く」「医学的エビデンスに乏しい」といった批判です。
しかし、これらの批判をしている人の大半が、フルーツファスティングを実践したことがない人たちだったというのも事実です。
ミューカスレス・ダイエットを支持していた人たちは、ミューカスレス・ダイエットを実践すると確かに粘液が少なくなる
ということを自身の経験・体感を通じて知っていたのです。
そして、粘液が少なくなることが自身の健康にとって良いことなのだということを、直感的にわかっていたのです。

■ 1~3 年の移行期間を設けることが望ましい

ミューカスレス・ダイエット自体はかなり厳格な食事スタイルですが、エーレット博士はフルーツダイエットへの
急激な移行を勧めているわけではありません。むしろ急激な移行は危険であり、1~3 年の移行期間を設けるべきだと言っています。
この移行期間は、それまでの食事が原因で体内の組織に溜め込まれていた毒素を、分解・排泄するために必要な期間です。
フルーツは、組織に溜め込まれていた毒素をかき立てる作用が強いため、フルーツダイエットへの急激な移行を行うと、
組織から分解されて血中に流れ出す毒素の量が多くなります。
このような状態は不快感が強いだけではなく、生命にとって危険な場合もあるため、緩やかな移行を心がけた方がよいのです。
よって、移行期間においては、生食に過度に固執する必要はなく、蒸した野菜や調理された植物性食品なども摂取して構わないとされています。
精神的にも、急激な移行に耐えられない人がほとんどでしょう。

この移行期間は不快感を感じることも多いかもしれませんが、フルーツが原因で不調に陥ったと決めつけないことが大切です。
これはヒーリングクライシスや好転反応とも呼ばれる現象で、体の解毒作用が働き出している証拠でもあります。
この不快感は人によって様々で、鼻水の量がむしろ多くなることもあるでしょう。
普通の食事をしていた人の大半は多かれ少なかれ便秘であるため、腸内の未消化物・老廃物とフルーツが反応して、大量のガスが発生して、
膨満感を感じることもあるでしょう。大量の便が排泄されて驚くこともあるでしょう。
しかし、便秘が解消されて、溜め込まれていた毒素の分解・排泄がある程度まで進むと、これらの不快感は少なくなっていきます。
そして、その頃には、肌がかなりキレイになっているはずです。

また、この移行期間に覚悟しておくべきもう一つの現象としては、昔好んで食べていた食品に対する強い渇望を感じることです。
つらいかもしれませんが、数十年に渡って続けてきた食生活を大きく変えていくわけですから、当然想定される事象でしょう。
この渇望は人によって個人差があるようで、なかなか興味深いところです。
ある特定の食品に対して強い渇望が起きたとき、
「自分は、この食べ物を本当にお腹が空いていたから食べていたのではなかったのだ」と気づく瞬間もあるはずです。
そのような気づきを少しずつ増やしていくのも面白いかもしれません。
私の場合、動物性食品に対する渇望よりも、意外と穀物に対する渇望が強く、穀物性食品の中毒性の高さを意識したことが何度もあります。

■ 現在、そして今後

現在、海外にはエーレット博士のダイエット理論にもとづいた食事を推進する組織もあります。
Mucus-free Life LLC という組織が提案するのは、「Mucus-Free Plant-Based Diet」、つまり「粘液の生じないプラントベースの食事」です。
食事内容は、果物と澱粉質の少ない葉物野菜であり、実質的にはフルータリアンの食事です。
彼らは、ナッツ類やアボカドも粘液を作ると考えているため、ナッツもアボカドも推奨していません。
そういう意味では、一般のフルータリアンよりもさらに厳格です。

ローフードが世の中に知られるようになったのは 1930 年代のことですが、スイスのポール・カウチャコフ博士が、
「加熱食品や加工食品を食べたあとは白血球が急激に増えるが、生の食べ物を食べたあとはこのような変化が起こらない」
という趣旨の研究発表をしたことがきっかけと言われています。

加熱・加工食品を食べたときにだけ起きる「白血球の急激な増加」と「黄色い鼻水」はおそらく関係があります。
黄色い鼻水は、死滅した白血球や免疫細胞が原因だからです。

生の果物や葉物野菜では、なぜか白血球の急増が起こらないこと、そしてその結果として、黄色い鼻水が生じなくなること。

この因果関係が将来、精緻なレベルで科学的に証明される日が来るのかもしれません。
しかし、既にローフードやフルータリアンの食生活を実践している人は、その日を待つまでもなく、
自身の体感を通じて、この秘密を知ることができるのかもしれないのです。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【参考文献】
1.Arnold Ehret, Mucusless Diet Healing System (Book Publishing Co, 2012)
2.Arnold Ehret, Rational Fasting (BN Publishing, 2019)
3.Prof. Spira, Spira Speaks: Dialogs and Essays on the Mucusless Diet Healing System Volume 1, 2, & 3 (Mucus-free Life LLC, 2014)
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4 コメント

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Unknown (フルータリアン修業中)
2021-06-04 02:00:20
やはり世渡りのために会食などで加工食品等を食べる機会は避けられないものですが、
急にそういったものを食べるとコンディションや体調が悪くなったり、体重が増えたりしますか?
Unknown (管理人)
2021-06-04 23:57:48
コメントありがとうございます。
体重に関してですが、一回や二回程度、加工食品を食べた程度では体重は変わらないです。4~5日続けると確実に太るとは思います。
体調が悪くなるほどひどい症状はないですが、食べてから数時間後に、「消化に負担がかかって重いな」と気付きますね。
会食でも、ある程度食べ物を選べる状況であれば、揚げ物系は避けるようになりました。
天ぷら、コロッケなどの加熱した油が特に気持ち悪く感じます。
でも、よく考えると、加熱した油を食べてるのって人間だけで、野生動物たちは食べてないんですよね。
そういう意味では、感覚が野生に近くなってるかもしれません。
Unknown (フルータリアン修行中)
2021-08-11 13:45:37
素煎りのナッツや落花生も食べないほうが良いでしょうか?

まだまだフルーツだけでは体力不足を感じてしまい、ナッツや落花生に手が出てしまいます。。
素煎りナッツなどを食べると、体力は確かに保てるのですが、やはり加熱食品だからなのか、体が渇く感じがするというか、老化する感じがするというか、、ベストなコンディションではない気がします。

管理人さんはタンパク質は何か摂っていますか?
Unknown (管理人)
2021-08-12 23:52:34
コメントありがとうございます。
ナッツや落花生を食べたあとの感覚、よくわかります。明らかにフルーツとは違って、少し重いですよね。
あるフルータリアン栄養学の本に書いてあったのですが、アスリートや活動量の多い人はタンパク質多め・エネルギー多めにするため、ナッツやアボカドを多めにすることが推奨されていました。
僕の場合は、アボカドから脂肪を摂り過ぎてしまう傾向があって、ナッツは控えるようにしていて、ほとんど食べません。正直、タンパク質の摂取量については普段の食生活では意識していません。ナッツは、素煎りでローフードではないものも多いし、生であっても浸水させてから食べた方が良いみたいなので、少し扱いが難しいと感じています。

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