Panasonicドラム洗濯機の分解清掃

家電製品

Panasonicのドラム式洗濯機は内部に汚れが溜まりやすい。
NA-VR5600(2009年頃)のモデルは、ロジックユニットや熱交換器が背面のドラム下部に設置されていた。
この時期のものはダクトの距離も長く詰まりやすかったのと、熱交換器に汚れが溜まった場合はアセンブリ交換対応となっていた。
その後熱交換器が上方に設置されるなどして整備性は良くなった。

今回分解するのはNA-VX7800で、5年ほど使用している。
ウチには猫がいるので、洗濯物には猫の毛の付着もあり条件的には厳しいと思われる。
分解してみようと思ったのは、送風ファンの異常を修理して貰った時に分解工程や内部を見ていたからで、意外に整備性は悪くないのかなと思った。
NA-VR5600時代の内部構造しか知らなかったので、分解にはもっと手間がかかると思っていたのだ。

送風ファンはベアリングから異音が出た。
ファンの異音はまず直らないので、サービスを呼ぶ事にした。
家電量販店の長期保証が付いていて、技術料(8,800円)は購入店の負担となった。
部品代は10,450円で品番はAXW851-8TV0、出張費は3,800円かかった。

サービスマンは音を聞いてファンの異常だと判断し、すぐに交換された。
ファンは上部に付いているので、比較的交換は簡単だ。
自分でも交換は可能だが、部品代と送料を合わせると11,930円かかる。

これでファンは静かになったのだが、その時にサービスマンに色々と話を聞いた。
内部の汚れに関しては、定期的にドラム洗浄モードを使う事でかなり軽減されるという。
これを行うか否かで中の汚れが全く違ってくるそうだ。
ちなみにウチではドラム洗浄モードは一度も実行した事がなかった。

ドラム洗浄モードなど効き目は少ないだろうと思っている人が多いが、メーカもそれなりに考えて機能を実装しているのだから使って欲しいと、サービスの人は言っていた。

ドラムそのものや前面部などには汚れが溜まりやすいのだが、洗浄モードを使う事で汚れが固着する前に落とす事が出来るという。
固着してしまうと洗浄剤を使ったとしてもなかなか落とす事は出来ず、悪臭がするなどで(サービスを)呼ばれる事が多いそうだ。

内部の汚れは繊維のカスだけではなく、石けんや柔軟剤の残留物も多い。
液体洗剤が良いのだが、粉末洗剤でも入れ過ぎなければさほど問題にはならない。
ウチでは粉末の部屋干しトップ 除菌EXを使っている。
ジェルボール的なものは、ドラム式では表面フィルムの溶解が遅いのでお勧め出来ないと言われた。
縦型洗濯機の場合は水流で被膜が壊れていくが、ドラム式の場合は被膜の残骸がドラムの裏側などに付着する事があるそうだ。

分解そのものに関してはYoutubeなどにいくつも動画が上がっている。
自分にとってわかりやすい動画を見ればバラし方はすぐに分かる。
カメラを手持ちで撮っている動画もあったが、ブレなどで見にくい。
この辺りは動画作成の技術と言う所だ。
それらを参考にすればバラしは難しい事はなく、ドラムカバーを外すまでに10分程度である。

簡単に書けば以下のようになる。

1.給水ホースを外す→ホースの残留水が出てくるので注意。
2.天板を留めている5本のビスを外す→2本はネジ隠しカバーの下にある。
3.天板を外す。

ドラムカバーまで分解する場合には、奥まったネジがあるので長いドライバ(先が磁石になっているものが好ましい)かエクステンションを付けたボックスレンチ、バネ付きワイヤーを外すのにラジオペンチ(大きく開くもの)が必要になる。

洗濯機を洗濯機置き場から引き出す必要はなく、天板のネジとフロント周りのネジを外すだけで分解が出来る。
天板を外すと熱交換器やダクトが見えるようになる。

ゴミが溜まりやすい熱交換器だが、これは天板を外してフィルタ周りのカバーを外すとアクセス出来る。

カバーを外すと冷却側(手前)と発熱側(奥の大きい方)両方の熱交換器が見える。
写真右上がコンプレッサだ。

上の写真は清掃前だが、この程度の埃の付着だった。
ウチでは余り乾燥モードを使っていないので、ここにエアが流れるのは脱水後期のジェットほぐしモードのときだけである。

埃は少ないが強固に着いているので掃除機だけでは吸い取れなかった。
毛先の柔らかい歯ブラシを使うか、エアコン洗浄剤を吹き付けた方が良い。
洗浄剤と汚れはドレンパイプを通って排水される。
ここが極度に汚れている場合、ドレンパイプの詰まりも発生する事がある。
ある程度の汚れであればパイプ洗浄剤で回復させられるはずだが、詰まっている場合は背面パネルを外さなければ作業が出来ない。
フィンは薄く柔らかく、簡単に変形してしまうので、清掃時に固いブラシを使ってはいけない。

汚れの付着が激しい場合は、熱交換器アセンブリを外して洗浄する。
熱交換器2つ(冷却側と加熱側)とコンプレッサは、コンプレッサの線を外せばアセンブリで外れてくる。
無理にブラシでこするよりは、エアコン洗浄剤や洗浄液につけた後シャワーで流した方が良い。

市販のスプレー式のエアコン洗浄剤は、家庭での利用を考えたものなので洗浄力に限界がある。
いわゆる業務用のものだと洗浄力が全く違うが、強アルカリなので洗浄後に中和が必要なものがあり、そのようなものは水洗後にクエン酸希釈液などで中和する。

これらの洗浄剤はドラム周辺の汚れや、パイプの汚れも取る事が出来る。
業務用は強力なので使用方法は指示に従う必要がある。
希釈率を指示通りにしないと、アルカリ度が高すぎて不具合が起きる場合がある。

ドラムからフィルタ部にエアを送るダクトには汚れが付いていた。

下の写真はドラムからダクトに接続される部分で、少しゴミが付着している。

これらは洗浄によって簡単に取る事が出来る。
ここは水を入れてしまって問題がないので、アルカリ洗剤などを吹き付けて水をかければ綺麗になる。
この部分だけの清掃であれば、分解は最小で済む。

ドラム周辺でゴミが溜まりやすいのは前面のゴムパッキン部分だ。
ここを外すには前面カバーを外して扉も外す必要がある。

ゴムパッキン周りには埃が溜まっている。
そこでゴムパッキンとそのカバーを外す事にする。
外したカバーの前面部、ゴムパッキンの裏側あたりには乾いたゴミが付着していた。

写真左上に見える部分がダクトにつながる所なので、そこから洗剤や水を吹き込めば汚れはある程度洗い流す事が出来る。

埃の付着は強固ではなく、シャワーで洗い流すと綺麗になった。
これも石けんカスや柔軟剤などが多く含まれたゴミだと、洗浄剤を使うとか、ブラシでこするなどしないと綺麗にならない。
ドラム洗浄モードを使えば、これらの汚れが排水されるのだと思う。
ドラム洗濯機用のアルカリ洗剤はこうした汚れを分離させやすいように、水酸化ナトリウムなどと界面活性剤が配合されている。

一つ気になったのはこのカバーの下のドレンホースだ。
ここに石けんカス的な汚れが溜まっていた。
(ピンボケで済みません。)

ホースは外して流水で洗浄した。
ホースの接続先のバルブはさほど汚れていなかった。

ドラムの表面は、カビや汚れは付いていなかった。

指でこすると若干汚れは感じるが、特に気になるようなものではない。

Panasonicでは月に1回の槽洗浄を推奨している。
洗濯槽クリーナは塩素系漂白剤で代用出来るとある。
塩素系漂白剤であれば(PBブランドなどなら)1リットル100円前後なので、それを1本入れて11時間待てばドラム洗浄が出来る。
ただし泡立ちが過剰だと途中で停止してしまう。

界面活性剤などが入り、余り泡の立たない専用クリーナは評判が良いようだ。
ただし価格もそれなりなので、年に1度程度の利用が良いのではないだろうか。

設定では自動槽洗浄と自動槽乾燥が選べるので、両方ともONにしておくと良い。
多少ではあるが洗濯中の槽洗浄(水2リットル分)と槽乾燥が行われる。

ドラムカバーの上に何やらセンサがあるのだが、そのセンサが付けられている所に未処理の鉄板が重ねて付けられている。
メッキも塗装もされていないので、少し錆びている。

写真左のファンはロジック部を冷やすための冷却ファンだ。
この鉄板はドラムカバー下部にも付いている。

一見意味のなさそうなこれ、重量バランスを取るためのウエイトだと思う。
ウエイトだから未処理鉄板でいいや、みたいなものか。

組み立てはばらしの逆手順で行う。
ドラムカバーのネジは奥まった所を締める必要があり、エクステンションを付けたボックスレンチの方がやりやすい。

全てが組み立て終わったら…
ん?
ネジが1本余っている。

ステンレス製のビスなので、見える所のネジだ。
見えない所のネジはユニクロメッキである。
見える所のネジはパネルを止めている部分だとか、ドア周りなので再チェック。
留め忘れは排水フィルタの所だった。

業者に清掃作業を依頼した場合、天板と前面パネルだけを外して大まかな汚れを取り、その後熱交換器やダクトに業務用アルカリ洗浄剤をかけ、汚れをホースの水でドラム内に押し流す方法が多い。
この方法の清掃で出張費を含む費用は2~3万円だそうだ。
業者によっては今回行ったように分解清掃してくれるが、手間の分だけコストが嵩み3~5万円の作業になるとの事だ。

自分で行う場合で、分解経験の少ない人が悩みそうな所はゴムパッキンを留めているステンレスワイヤー外しだ。
私はラジオペンチとドライバーで外したが、手元のラジオペンチでは開き方が足りなかったので、細いマイナスドライバーを引っかけてそれをラジオペンチで引っ張るようにした。
ペンチプライヤーとかロックリングプライヤーがあれば何と言う事はないが、テンションが必要なので手で引っ張って取れるようなものではない。
買って試した訳ではないのでこれで届くかどうか分からないが、形状的にはこんな感じのものがあればすぐに外せる。

手持ちの工具で長さ(開き方)が足りない場合は、針金でステンレスワイヤーの引っかけ部分を延長し、それをプライヤーやラジオペンチで引っ張れば良い。
針金で超小型のS字フックを作るような感じで。

他にはロングのドライバーかエクステンションを付けたボックスレンチが必要で、短いドライバーでも外せない事はないが、結構手が痛い事になる。

天板とフロントパネルだけを外して水で洗ってしまう方法なら、ラジオペンチもロングドライバーも不要で、難易度はぐっと下がる。

もちろん工具さえあれば分解→分解したものを洗浄→組み立てまで1時間もかからない。
汚れが過度に溜まると乾燥時間が増大(エアの流れが阻害される為)するが、それ以外にもドラム周辺のゴミがゴムパッキンやプラスチック部分と接触し、摩擦熱でパッキンやプラスチック部分を変形させてしまう事がある。
同様の事はルンバの回転ブラシでも起き、こうなると部品交換しか回復の手段がなくなる。

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