皆さんこんにちは!旅人サイファです。
今回もお城の話を続けましょう。
今回ご紹介するのは『旧国宝』の城郭。
ん?旧国宝?
あまり聞いたことのない言葉ですよね。
実は、現在でいう国宝・重要文化財は戦前と戦後でその意味合いが異なるのです。
現在、数ある城郭の中で、国宝に指定されているのは天守閣が5城と御殿(住宅扱い)が1城。
わずか6城に過ぎません。
しかし、あまり知られていませんが、戦前昭和20年ころには、国宝のお城がなんと24城あったのです!
戦前の国宝は、昭和4年に制定された『国宝保存法』という法律で規定されていました。
そのリストがこちらです!
【旧国宝24城】
- 名古屋城(なごや- 愛知県名古屋市)
- 姫路城(ひめじ- 兵庫県姫路市 現存天守閣・国宝)
- 仙台城(せんだい- 宮城県仙台市)
- 岡山城(おかやま- 岡山県岡山市)
- 福山城(ふくやま- 広島県福山市)
- 広島城(ひろしま- 広島県広島市)
- 熊本城(くまもと- 熊本県熊本市)
- 首里城(しゅり- 沖縄県那覇市)
- 丸岡城(まるおか- 福井県坂井市 現存天守閣・重要文化財)
- 宇和島城(うわじま- 愛媛県宇和島市 現存天守閣・重要文化財)
- 高知城(こうち- 高知県高知市 現存天守閣・重要文化財)
- 犬山城(いぬやま- 愛知県犬山市 現存天守閣・国宝)
- 金沢城(かなざわ- 石川県金沢市)
- 和歌山城(わかやま- 和歌山県和歌山市)
- 松江城(まつえ- 島根県松江市 現存天守閣・国宝)
- 松山城(まつやま- 愛媛県松山市 現存天守閣・重要文化財)
- 松本城(まつもと- 長野県松本市 現存天守閣・国宝)
- 大垣城(おおがき- 岐阜県大垣市)
- 弘前城(ひろさき- 青森県弘前市 現存天守閣・重要文化財)
- 二条城(にじょう- 京都府京都市 現存御殿・国宝)
- 備中松山城(びっちゅうまつやま- 岡山県高梁市 現存天守閣・重要文化財)
- 松前城(まつまえ- 北海道松前郡)
- 丸亀城(まるがめ- 香川県丸亀市 現存天守閣・重要文化財)
- 高松城(たかまつ- 香川県高松市)
※25. 彦根城(ひこね- 滋賀県彦根市 現存天守閣・国宝)
(彦根城、水戸城の天守閣も当時残っていましたが、国宝指定はされず)
城郭の旧国宝第一号は名古屋城!
天守閣はもちろん、御殿や櫓群もほぼそっくり残されていた、現在の姫路城クラスの城郭文化財でした。
戦後、昭和25年に国宝保護法が改定され、新しく『文化財保護法』が施行されます。
新しい文化財保護法では、旧法で国宝指定されていたもの全てが重要文化財として新たに指定されました。
そしてさらに、その重要文化財指定された内から、特に重要なものを選び直し、改めて『国宝(新国宝)』として指定したのです。
上記リストのうち、12城(改めて指定された彦根城含む)の天守閣が現存しており、現在も国宝もしくは重要文化財の指定を受けています。
また二条城の御殿も国宝です。
それでは元々の26城(彦根・水戸含む)のうち、現存13城を除いた残りの13城は…どうなったのでしょうか?
その運命は、以下の3通りに大別されます。
【戦災焼失 9城】
- 名古屋城 昭和20年空襲により国宝天守閣ほかを焼失
- 仙台城 昭和20年空襲により国宝大手門ほか焼失
- 岡山城 昭和20年空襲により国宝天守閣ほか焼失
- 福山城 昭和20年空襲により国宝天守閣ほか焼失
- 広島城 昭和20年原爆により国宝天守閣倒壊
- 首里城 昭和20年沖縄戦で国宝守礼門ほか焼失
- 和歌山城 昭和20年空襲により国宝天守閣ほか焼失
- 大垣城 昭和20年空襲により国宝天守閣ほか焼失
- (水戸城) 昭和20年空襲により天守閣ほか焼失
【戦後火災で焼失 1城】
- 松前城 昭和24年火災により焼失
【重要文化財指定 3城】
いやあ…惜しい。惜しすぎます。
せっかく明治維新後の混乱を生き延びた城郭なのに!
特に名古屋城は戦災焼失しなければ、世界遺産登録もされていたかと思います。
また、個人的に残念なのが大垣城。
関ヶ原の戦いの際、西軍の本拠地となった城です。
石田三成や大谷吉継、島津維新などの名将たちが揃って足を踏み入れた城。
現存していたら鳥肌モノだったでしょうね。
ちなみに、戦災焼失してしまった城のほとんどが、戦後になってコンクリートで復元され、新たな街のシンボルとしてなっています。
きっと…市民の心の拠り所だったのでしょうね。
前回はこちら
その①はこちらです!