子どもと関わるとつい注意や小言ばかりに
なってしまいませんか?

できればホメたりしたいのに、どうしても

マイナス面に目がいってしまう。

その子のことを考えて、面倒な注意も
イヤな小言もちゃんと伝えている。

それなのに、頑張るほどに子どもが
離れていき、自己嫌悪に陥る。

そんな状況に私もかなり長い間、陥って

いました。「この仕事に私は向いて

いないんじゃないか」と悩むレベルで。

今日は同じような状況のアタナの
視点をちょっとだけ変えるお話です。


夏の暑さがまだ残る9月。4時間授業で
早めに学童に来た一年生たち。
クラブ室の白いローテーブルの上に
宿題を広げた。


青ベースで縦長の計算ドリル。
緑ベースの漢字練習帳。
そしてカラフルな筆箱。
一瞬で机の白い部分が見えなくなる。

2学期から「学童に来たらまず宿題」を
定着させるべく、学童では遊び始める前に
宿題をしたかどうか声をかけることに。

さらに、宿題を広げているだけで、一行も
進まない「広げた族」を撲滅させるべく、
目を光らせ、宿題を促す注意を積極的に
行うようにミーテイングで指示があった。

私はこの指示がある前から、子どもへの
注意や小言は積極的に行うタイプ。

当然、子どもからは煙たがられるし
「センセ、うるさい。」「マジ、うざい」を
頻繁に言わる損な役回り。

それでも「子どもが宿題を忘れて怒られる」
「危ない遊びでケガをする」ことが無いように
心を鬼にして注意や小言を続けていた。

しかし、夏休みの一日保育で、朝から晩まで
注意を続けて、ほとほと自分が嫌になる。
「あ~も~ヤダ。なんで私だけクソ真面目に
注意して、子どもに嫌われなきゃいけないの?」

「そうだ。2学期からは積極的にホメるように
 してみよう!」

早速、宿題に取り組む1年生女子4人組の
テーブルに目を向けると様子がおかしい。

「ねえキコちゃん。ちょっと、私にも貸してよ」
このグループのリーダーのアイさんが
隣のキコさんから何かを奪い取ろうとしている。

児童支援員の直感が働く。
「あ、消しゴムのカスでねり消しをつくっているな」

近づいてみるとビンゴ!
二人から米粒大の黒いねり消しを没収して注意。
すると「センセーうざい」とアイさんが捨て台詞。

帰宅してから一人で反省。
「注意することが先に目についちゃうんだよな」
「明日は、宿題の進み具合とかを見て、
 字の丁寧さとかをホメよう!」

翌日、またアイさんとキコさんが昨日と同じ
白いテーブルにいた。計算ドリルも
漢字ノートも盛大に広げて、おしゃべりを
していた二人に私は注意をする。

「今は宿題タイムだから静かにしましょう」
アイさんは、大きな黒目で静かに私を睨んだ。

二人は静かになったけれど、ホメる作戦は失敗。
帰宅してまた凹む。
「おしゃべりしていたのは確かにNG。
 もしかした宿題を終わって話していたのかも。

 それをホメられたかも。あ~あ」

「明日は、注意する前にちょっと待ってみよう。
 本部のアンガーマネジメント研修でやった
【6秒ルール】を意識してみるか」
   

翌日も宿題をしているアイさんを見つけると
すぐに、注意するポイントを発見。
宿題そっちのけで白い机に鉛筆で落書き中。

心の中で、2人の私が対話する。
「ここですぐに注意したら、いつも通りだ」
「でも、机に落書きなんてホメることじゃない」
「ならこのまま見逃すのか。それはアイさんの
 ためにはならないよ。それでいいのかよ」
「えーでも。注意を最初に口にしたくない」
 ホメるところがないなら、この際なんでもいい」

そして私は注意するのではなく、
アイさんを見た、そのまんまを口にした。

「アイさん、今日は三つ編みなんだね」

「えっ」

思わずアイさんは顔を上げた。

私からの意外な言葉に目を丸くしたアイさん。
次の瞬間、すこし表情が柔らかなったのをみて
「机に落書きはしないでね。」と注意。

いつものように悪態をつかれるかと思ったら
アイさんは静かに落書きを消し始めた。

素直に注意を受け止めて行動する
アイさんをみて私は気づきました。

「ああ、そっか。今日は注意する前に
アイさんの髪型について触れたのが
クッションになったんだ」

これまでは「6秒待つ」や「ホメよう」など
背伸びをしようとしていた。
これって身につくまでに時間が必要。

でも【注意の前にクッションを挟む】なら
そこまで難しくない。

クッションがあると物事が円滑に進むのは
仕事でよく経験しますよね。

例えば、
頼みごとには「恐れ入りますが…」
断るときには「申し訳ありませんが…」
反論するときには「お言葉を返すようですが…」

子どもだって同じなんです。注意を素直に
受け止めてもらうにはクッションが大事。

クッションは「ホメる」ではなく
「見たまんま」を口にすればOK。

だって注意ができるほど子どもを
詳しく見ているのだから簡単です。

その視点を注意から見た目にむけ
それをそのまんま言葉にすればいいだけ。
それがクッションになります。

単に事実を並べるだけでもOK。
「レゴで遊んでいたんだね。」
「今日はスカートなんだね」
「おままごとをしていたんだね」

この後に、注意や小言を伝えるだけ。
それだけで受け止め方が違ってきます。

だから、注意の前にクッションを挟もう!

 

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