三国志に釣られクマー

三国志に釣られクマー

三国志好きの三国志好きによる三国志好きのための何か

董卓(とうたく) 字:仲穎(?~192)その2

さて、今回は董卓の紹介、2回目じゃな。今回は董卓のちょっと意外な側面を追いかけて行ってみようかのう。

 

さて、董卓の紹介2回目じゃな。

どうも、張郃だ。さて、董卓が意外と知略に優れた人物と言うのは分かった、と思うが董卓にはまだ少し考察しないといけない要素があるな。 

それは董卓の残虐性のことについてでしょうか?

そうじゃな、董卓の残虐さ、と言うのはもちろん実際にあったことではあるが、それは全て董卓に原因が帰結するのか?と言う問題があるんじゃよ。

??具体的な話を聞かないと、あまり良く分からないですね。

今回は柿沼陽平氏が執筆した【劉備諸葛亮 カネ勘定の『三国志』】を参考に董卓の幾つかのエピソードを解釈してみるとしようかのう。

人物紹介

若い頃の董卓

董卓は隴西郡の出身なんじゃが、若い頃の董卓はおとこだて気取りで、羌族の地方を放浪したことがあり、その地方の顔役たちすべてと交わりを結んだ、とあるんじゃ。

後に郷里に帰って農耕を営んでおったが、羌族の顔役達の内、隴西へ出てきて彼の下を訪れる者があると、董卓は家へ連れて帰り、耕牛を殺して、宴会を催し歓迎してやったんじゃ。

自分たちのためにわざわざ耕牛を潰す、と言う意気に顔役達は感動して、国へ帰ると家畜類を寄せ合い、千頭余り集め董卓に送ったんじゃ。

海老で鯛を釣る、と言う話ですね。計算してやってたのかは分かりませんが、普通に大器ですねぇ。

この辺りは侠の精神で動いていたと思うぞい。あまり見返りを考えていた、とは思えんのう。それは次のエピソードからも分かるぞい。

例の張奐に従い幷州征伐に従って功績を上げた時のこと、董卓は郎中に任命され、絹九千匹を恩賞として賜ったんじゃが、董卓は全て部下に分け与えているんじゃよ。

この辺りも、董卓の器の大きさを感じさせる話だな。 

部下をかわいがり、恩賞を分け与える、普通に良い上司にしか見えんのう。

少帝の廃立

董卓が悪とされる要因の一つとして、少帝を配して、後に何太后と共に殺害している件が挙げられるじゃろうな。

もちろん殺害は絶対ダメじゃが、何故少帝を廃する必要があったのか、と言う点じゃな。陳留王(後の献帝)と少帝を比べた時、諸々のエピソードを見る限り陳留王の方が優秀らしいことは確かじゃ。

もし董卓後漢王朝を傀儡政権とするつもりであるならば、暗愚な少帝の方が都合が良かった、と思うんじゃよ。

敢えて優秀な献帝に挿げ替えた、と言うのはそこに何らかの意図があったと思うんじゃな。例えば柿沼氏は何太后と少帝を排除することで外戚の影響力を消し、政局を安定させるためではないか、と言っておるんじゃよ。

もちろん、己の権勢を示すために敢えてそう言うことをやった可能性も、考えられなくはないが、己の手で何とか後漢王朝を立て直そうとした可能性はないかのう。

何皇后の横やりを嫌がった可能性もあるが、宦官に迎合する程度だから、そこまで強硬に董卓をけん制する人物でもないであろうからな。

春祭での虐殺

さて、次も有名な話じゃが、軍隊を派遣して陽城に赴いた時のことじゃ。

丁度二月の春祭に当たっており、住民はこぞって神社に集まっていた。そこにいる男子の首をことごとく斬り、住民の車や牛に乗り、女性や財宝を載せ、切断した頭を車の轅にぶら下げ、車を連ねて洛陽に戻り、賊を討伐して大量の捕獲品を得た、と言いふらし、万歳を唱えた、とあるんじゃ。

しかし柿沼氏は当時の法律では、勝手な民間祭祀は禁止であり、その祭りが合法であったのかは分からないし、故事の信憑性にも疑問が残る、と指摘しているんじゃ。

実際この祭祀にまつわる話は他にも見られ、例えば『武帝紀』を紐解くと、曹操黄巾の乱の功績で済南国の相になった時、衆を惑わす祭祀を禁止しておるんじゃ。

『魏書』によると、前漢の時代に功績を上げた城陽の景王劉章を祀る祠が、彼の領黒ではあちこちで建てられたんじゃ。特に済南ではそれが盛んで六百余の祠があるほどだったんじゃよ。

商人の中には二千石(郡太守、国相)の車・衣服・供揃いを真似、妓学をしつらえる者があり、日々に奢侈はつのっていき、人民はそのために困窮に陥ったが、誰も禁止根絶することができないでいたんじゃ。

曹操は着任すると神社を全て取り壊し、官吏・人民に祭祀を禁止して許さなかった、とあるんじゃ。

やっていることは荒っぽいが、曹丞相の話を聞いた後では考えさせられる部分もあるな。

しかも陳寿とは言え筆を曲げて書いている部分は間違いなくあるからのう。柿沼氏も信ぴょう性に疑問を投げかけているように、このまま事実として鵜呑みするのも危険な話ではあると思うぞい。

と言ったところで今回はここまでじゃな。次も少し董卓の意外な側面を見ていくとしようかのう。もし興味ある方は柿沼氏の本を手に取ってみても面白いかもしれんぞい。

今まで常識、と思っていたことがどんどん覆っていく、全てが正しいとはもちろん思ってはいかんが、こういう意見もあるのか、と新たな視点で三国志を見ることができるかもしれんのう。

 

 ↓ バナーをクリックしてくれるとうれしいぞい