2021年05月07日
【夜空に部屋を浮かべて】 06
「先生、幸せマシーンのほうはどうですか?」
僕は尋ねた。
幸せマシーンとは先生が作っている大きな機械で、これを使えば世界中の人が幸せになるという代物だ。
「うーん、あと少しといったところだな」
「だってさ」
そう言って僕はマモルを見た。
マモルは静かに微笑んでるだけだ。
「お菓子もあるぞ。そこのテーブルに座って待ってろ」
先生はまた台所へ行き、手作りのお菓子を持ってきてくれた。
先生の作るお菓子はどれも美味しい。
その中でもチョコレートクッキーが1番美味しいと思う。
僕たちはお菓子を食べながら学校でおきた出来事を話したり、先生が研究していることなんかを教えてもらったりした。
「それにしても今日は暑いですね」
僕がジュースを飲みながらそう言うと
「そうか? それじゃちょっと涼みに行くか」
と言って先生は手を大きく1回”パンッ”と叩いた。
急に先生が変なことをしたので意味が分からず、僕とマモルは思わず顔を見合わせた。
先生は手を叩いたっきり、何かを待つように動かない。
全然動かないんで、僕たちは可笑しくなってクスクスと笑った。
「どうだ、段々涼しくなってきたんじゃないか?」
1、2分して先生が喋った。
確かに涼しくなった気がする。
「ちょっと来てみぃ」
先生は立ち上がり、窓の所まで歩いて行く。
僕たちも窓の所へ行き、そして外を見て驚いた。
夜空に部屋が浮かんでいたんだ。
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