『カジノ・ロワイヤル』東京新公を見たんだ・2
宙組東京宝塚劇場公演『カジノ・ロワイヤル ～我が名はボンド～』新人公演の感想の続き。
ジェームズ・ボンド＝りせ（新公主演）
前回のハイロー新公（本役がずんちゃんのスモーキー）のときはそんなに歌がヤバいとは思わなかったんだけど、今回は「おおおおお、新公……！」という感じでしたね。
楽曲も多いし、やることも多いしで新公主演は大変だ。
歌が弱い、のだが、独特の魅力があるのが不思議でした。
1曲目だったか、声の高さや音程のあやうさがありつつも、最後のほうは甘さのある歌声に聞こえました。
男役トップオブトップ、大劇場9作を張る真風の最後の公演ゆえの大変さはあったと思います。
銃、時計、バッグ、帽子など小道具も多く、それらをこなすことに追われたのではないかと。
また、ジェームズ・ボンドという人物自体に書き込みが薄く、ただ「かっこいい」を担わされている。
ボンドの内面が薄くても「かっこいい」をできるのは真風のキャリアゆえで、まだ若く経験も浅いりせには大変だったんじゃないかな。
経験の浅さを特に感じたのは最後のパラシュートで歌うところ。
脚のかけ方がきれいじゃなくて内股気味で女子っぽく見えた。
こういうのも、これから少しずつ経験を積んで、「男役」としてのしぐさを身につけていくものなのでしょう。
よかったのはダンスや殺陣。
特にル・シッフルとの戦いでのスピード感、迫力は本公演以上に思えました。
デルフィーヌ＝ちっち（新公ヒロイン）
本役の大柄なじゅんはなちゃんに対し、小柄なちっちが新公ヒロイン。
本公演の衣装（白のミニスカドレス）をそのまま着ていて、通常なら「丈が余ってる」となるところ。
でも元々のデザイン（ミニすぎる）が功を奏してちょうどよいあんばいになっていた。
メイク顔はじゅんはなちゃんそっくり。
可愛いいいいいい。
じゅんはなちゃんがメイクを施したんだろうか？
元の顔、似てたっけ？ と軽く混乱しました。
セリフの声も可愛い。
じゅんはなちゃんデルフィーヌよりは幼く、より世間知らずな感じ。でもそれはそれでアリ。
歌は……苦手なんだろうな。
ソロもデュエットも手に汗握りました。うん、新公。
ミシェル＝なる（新公3番手）
ハイローのメイナンツーで一躍有名になった感のある（出番たいしてなかったのに！みんな好きねぇ）なるくん。
今回は本役がずんちゃん演じるミシェルですが、「可愛い」を超えて「女の子」に近かったような。
「可愛い」と「男役」をきちんと両立させているずんちゃんってすごいんだな、と改めて思った。
アナベル＝サラ
強い。
見た目も存在感もめちゃくちゃ強い、
アナベルはミシェルと組む役だけど、余裕でミシェルを食っちゃいそうだった。
サラちゃんは派手な美人でやりすぎ感があるのが楽しくもあり、バランス悪いかもと思うときもあり。路線娘役って難しいなぁ。
でも観ていて楽しいし、一定以上の安心感はある。
以上、すべて105期生。
ル・シッフル＝キョロ（新公2番手）
さほど舞台経験に恵まれていない105期生がセンター付近に居並ぶ中で、キョロちゃんの存在感と安定感は群を抜いていましたね。
とりたてて歌や芝居が得意という感じでもないけれど、新公の中では見ていてホッとする。
経験値ゆえか、舞台度胸があるのか。そういうのもきっと舞台人として大事な要素。
キキちゃん同様、キョロちゃんもなにげに暗い役似合うわぁ。
Ｍ長官／ツバイシュタイン＝真白
歌も芝居も、ものすごく安定感のある人。
特にツバイシュタインは本公演でもインパクトのある場面なだけに大変だろうと思われるけど、場をかっさらってましたね。
新公主演待望論がたまに聞こえてきたりします。
が、私としては新公主演してヘタに路線に乗らない方がここぞというときに面白い役を振られるなど舞台上でのいい扱いを受けられるんじゃないかなと。
言ってみりゃ、月組から専科に行ったまゆぽんみたいな感じで。
新公主演して路線に乗ると「下級生に抜かれた」だの「路線落ち」だのと悩ましい言葉も増える可能性も多いでしょうし。
路線男役だとどうしてもその序列に沿った役付きにならざるを得ない。
けれど、スター路線に乗っていなければ、劇団も序列を飛び越えた配役もしやすいでしょう。
ほか、気になった人
・グレゴリー（聖）・アナトリー（ナオレート）兄弟は出番や見せ場を減らされたもののきれいさはしっかりと出した。
聖くんの芝居、好きだわ。
・ジャン（エイティー）は大柄になって訓練隊長としてしっくりきました。
登場シーンでは、新人公演でしっかりと技を決めてきましたね。
特技があるのは強い。
・ディーラー志凪くん、ムラで初日近くに観たときとは違いずいぶんと化粧が上手くなった。
けっこうアップになって美味しかったな。
・ルネ役ののあんくんも安心して見られる人です。
