【澪つくし】感想ネタバレ第150話 戦争のあおりを受ける国民生活

『澪つくし』あらすじ(ネタバレ)第150話

昭和14年2月醤油業界は原料費の急上昇を理由に値上げ発表に踏み切った。
ところが商工省は物品販売価格取締規則を発動し値上げ禁止に。

日用品の中で値上げを据え置かれているのは醤油だけ。

梅木は醤油の品質を落とすしかないと言うが、神山は安物を作るなら辞めると言い出す始末。
そこでかをるが販売部門を大手に委ねるという経費節減策を思いつき、この場をしのぐことができた。

 

るいは、こういうときのために子供たちを同業者と結婚させたかったのだと話す。
3度もチャンスを逃したのだと愚痴。
最初は律子は山九と。
二度目はかをると佐原の大茂さん。
三度目が英一郎と深見さん。

そんなことを言っても仕方が無いというかをるに、
言いたいのは久兵衛に先見の明があったことだと言う。

ただ、かをるが佐原に行ってしまったら今のように一緒に暮らせなかった。
今の方が幸せだとるいは言った。

 

かをるは工場の仕込み桶に手を合わせる。

仕込み桶の中にはご先祖様が住み着いている。
仕込み桶にあるそれぞれのクセは微生物が独特の味や香りを出すから。
御先祖様が微生物に姿を変えてもろみの発酵を手伝ってくれていると言われている。

天然醸造は人間の力ではできないこと。

かをるは仕込み桶のご先祖様に、
天然醸造が続けられることを、出征した人の無事を、そして早く戦争が終わることを祈った。
戦争が早く終わるように。

 

しかし日中戦争は戦線拡大の一途をたどり、日本軍は膨大な兵員と物資を必要とする消耗戦に引きずり込まれていた。

 

吉武家でも戦争の影響は深刻。
原綿の輸入制限により網の価格が高騰し、網が手に入らない。

網だけではない。
重油の不足で、近々船が出せなくなってしまうという危機。
配給だけではとても間に合わない。

死活問題。

善吉たちが話し合っているところに陸軍の軍人が来た。

船を軍務に供出して欲しいと言いに来た。
網操の運搬船1隻を乗組員2名とともに供出を要求。

とねがそれは強制かと聞くと、国家総動員法に基づき軍が要請するもの、強制と考えて貰っても構わないという答え。

これは吉武家だけではなく、外川港では他に5隻の供出。
とねが使用用途を聞くが、「それは申し上げられない」と。

とねは、船を供出する代わりに、重油の配給量を上げて欲しいと頼むが
管轄が違うと突っぱねられてしまう。

 

入兆では、従業員たちがストライキの要求。
物価が高騰して、今の給料では生活が成り立たないと訴える。

梅木とかをるは、販売部門を合田醤油が引き受けてくれたから事態は好転するはず、もう少し待ってほしいと頭を下げる。
さらに広敷の食事に芋を混ぜないで欲しいとの声も上がるが、梅木が入兆では皆同じ釜の飯を食っている、不満はたくさんあるだろうが日本は戦争していること、仲間が命がけで戦っていることをを忘れないでほしいと訴えた。

 

英一郎からの手紙が届く。
英一郎は、原隊に復帰したことを伝える。
皇国とアジア民族のために一身を投げ打って戦うという決意がしたためられていた。

さらに律子からも手紙も。
律子はハルピンの小学校で音楽教師をしていると言う。
小浜は舞台は作戦移動した。
地平線に沈む真っ赤な夕日を見ていると人生観が変わっていしまうようだと書いてある。

手紙を読んだかをると梅木。
かをるは皆一生懸命生きていることを実感した。

 

かをるは、梅木に醤油業界に身を置いたことに後悔していないかと尋ねる。
醤油業界がこれほど追い詰められるとは思っていなかったのでは?
もっと華々しい人生があったと思わないかと。

「皮肉を言っているのか?」
梅木は、入兆に来たからこそ、かをると一緒になれたのだと言う。

かをると、子供たちと入兆醤油の伝統を守ることが生きがい。
それを守るための苦労ならいとわないと梅木は言う。

これから世の中がどうなるかは分からないが、かをるへの思いは変わらないと梅木は言った。

かをるは、梅木の言葉に真心がじわりとかをるの心を包んだ。
梅木との間にこれまでにない夫婦の絆を感じた。

 

昭和14年9月。
ドイツはポーランドに侵入。
翌年にはヨーロッパの大半を制圧。

日本は南進政策を取りアメリカ、イギリスと激しく対立。

そして昭和16年12月。
アメリカ、イギリスと戦闘状態に入った。
第二次世界大戦開戦。

 

 

 

 

戦時下の描写のきめ細かさは、さすが

日本経済も国民の生活も、日米開戦の前に既におかしくなっていたとは!
知りませんでしたー。

大豆価格の高騰で仕方なく値上げ発表すると、政府から値上げ停止というのもビックリ。
すっかり民主政治ではないですねえ。
自由経済破綻してるじゃん。

醤油業界、大変だったんですね。

さらに、吉武家の方も。
この時にすでに船と漁師の供出を求められていたとは!
物資の供出って日米開戦後、しかも第二次世界大戦中盤以降だと思ってたよ。

この時期からジワジワやってたんだ…。

そして一般庶民の生活も既にまずい状態。
入兆の従業員がストライキを主張していましたね。
家族経営、皆が仲良く風通しのいい職場だたはずの、入兆の従業員がイライラキイキイしてきた…!
それほど物価の高騰が激しく庶民の生活が急激に困窮していったってこと。

日米開戦前にすでに国内情勢既にこんなにキツイ状態だったなんて…!

もうすでにオワコンじゃん!
「もうこんな状態じゃあ戦争どころじゃなでしょっ!!」
って誰も思わなかったの?
声を上げる人はいなかた??
って、今だと既に疑問に思っちゃうけど。

言えなかったんでしょうねえ…。

空気を読む日本人は軍の圧に耐えられず。
「そんな後ろ向きなことを言ってると日本は負けてしまう!」
と常にポジティブシンキングでいることを強いられて。

集団心理って恐ろしい…。

その上、国同士も張り合ってるし、もう誰も一抜けできない状況だったか。
この時期、の空気の張り詰めようったら、すごかったんだろうなあとヒシヒシと感じます。

 

吉武家でも船を出せないと困っています。
網も無い、さらに重油の配給が不足しているから近々船を出せなくなると。
船と乗組員の供出を要請しに来た軍人に、代わりに重油を優遇してととねさんが交渉しますが突っぱねる。

漁に行けなくなるってことは漁師の経営難どころか食糧難につながるのに…。
そんなことしたら国民の食生活がヤバイとは思わなかったのかねえ?
軍の人間は、何でもかんでも戦争に投入しか思ってないのかねえ?
頑張るも何も、全ては日々のご飯からとは思わない?
思わないか…。

軍のためって言って、人手を全て戦争に向けて、食料調達のことまで考えないって…汗
まるで火事場に全員がバケツ持って火消しにしか行かないのと一緒だよと…。
軍って頭悪かったんだなwww

あーそんなこと言っちゃう私は非国民www

高等教育が行き届いていないと恐ろしいことになるなあともつくづく思う。

 

こんなことをやってたから、配給制になるくらい食糧難になったってことね…。

物資の輸入もストップされてしまったんだから一層国内だけで生産供給できるように考えなきゃいけなかったのにさあ。
その点について全く手を打たなかったってことだもんね。

 

しかし、ジェームス、この戦争に突入するまでの描写が、細かくてリアルさすが!

年々、醤油業界が刻一刻とひっ迫していく様子が事細かに描かれていますね。

久兵衛さんが、醤油業界で縁組させたがっていたところから、ということは澪標スタート当初から細かく細かく、さりげなく醤油業界を取り巻く雰囲気を盛り込んで、時間をかけて細かく描いています。
まるで当時の醤油業界にいた人のように、時局と共にその時々業界を取り巻いていた空気感まで。
その緻密な取材力、リスペクト!

 

さらに、吉武家の様子から銚子の漁業が追い詰められていく様子、物資が不足している様子を実感。
さらに入兆の従業員のストライキ要求から世の中全体の殺伐とした雰囲気が伺える。
重層的な描き方で世の中に暗雲がたちこめてきているのが良く分かります…。

昭和の、戦争体験のある方だからこそ、描けるリアル感だなあ。
こういった空気感はドラマでないと知ることはできませんよね。
ドラマで再現すること自体なかなか難しいことですが、
それを見事に再現できているものとして、このドラマ貴重な歴史的資料にもなるなあと思います。

 

敏腕ビジネスマンのかをる

値上げしないとムリ!となっているところを政府から値上げを禁止され、いよいよ天然醸造を諦めねばならないか…というところ、かをるは販売部門を大手に委ねるというコスト削減案を思いつきます。

…ちょっとここ、はしょり過ぎ?
残りわずか13回で終戦まで描くから忙しいのは分かるけど…。
醤油のかをるが優秀な描写をしたいのは分かるけど、
それ、かをるに言わせて片付ける?

いくら久兵衛の血を引くかをるでも、
瞬時にそこまでの案をかをるが思いつくとは思わないよ…!
かをる、社長代理梅木よりも優秀だぞ!
梅木の頭上がらないよー。
また梅木、ひがんじゃうよ…笑

 

かをるは仕込み桶に祈る

かをるは仕込み桶に祈っていました。

栄二がやってきてかをるに聞くと言う形でその意図を説明します。
栄二、和彦ちゃんを肩車してやってきましたー。

栄二、よかった。
この前、神山さんに泣いてお礼言ってたけど、本当に入兆になじんでる…涙。
栄二、素直ないい子になってる。
人って愛を感じられると、居場所があると心が安定するのよね…。

 

かをるの説明によると、樽にはご先祖様が住み着いていると言います。
樽の独特のクセを作るのは樽に棲む微生物。
この微生物がもろみを発酵させて味や香りを作り上げるが、ご先祖様が姿を変えて手伝ってくれているからだと。

これは人間の力ではできないことだと。

ここは素直に美しいシーンだと思いました。

見えないものへの畏怖の念。
これを忘れてはいけないですよね…。

そしてかをるは、
天然醸造を続けられること、
出征した人の無事
早く戦争が終わることを祈ります。

それを聞いた栄二は、自分もと仕込み桶に祈りを捧げます。

…こういう人の真摯な思いをぶっ潰していったんだなあ、戦争は!怒

こんなに素直になった栄二も出征してしまうんでしょうねえ…涙

 

律子、英一郎からの手紙が届く

律子と英一郎から手紙が届きました。
律子と、英一郎は、外地に配置して外地の戦局を描いて行くのねー。

英一郎、軍隊に復帰しちゃいましたね…涙
無事に帰ってきてほしいわー。

 

律子さんは、学校で音楽教師をしていると。
よかった。
律子さん、やっと自分らしい生き方出来る様になった…。

ジェームス三木氏は満州の生まれだそうですね。
地平線に沈む夕日を見ていると価値観が変わるようだと言う律子さんのセリフ、情緒的。
ジェームス三木さんご自身の原体験から来るセリフですねえ。

満州のこと全然知らないので、当時の満州の様子も見られるのかしらとも期待。

しかし…その後の満州を知る者としては…終戦前にちゃっちゃと帰ってきてほしいんだけど!
わざわざ満州に配置しておきながら、そうはいかないよね…。

 

梅木とかをるはラブラブ

かをるが梅木に醤油業界にいて後悔はないかと聞くと、梅木はそんなわけないと答えます。

そうじゃなかったら、かをると結婚できなかったからと…。
かをるの子供のためだったら何の苦労をいとわないと梅木は言います。

梅木の言葉に真心を感じて梅木はじんわりと、かをるは幸せを噛みしめますが…。

ああ!しつこいけど、やっぱり梅木信用できないしー。
惣吉さんを排除しながら幸せ感じちゃうかをるも信じられないよー。

とにかく結婚が前提の昭和だったから当時の視聴者の皆さんは受け入れられたの?
どうしても2人がまがいもの夫婦に見えてしまうよ…。
入兆の醤油は天然醸造なのに…。

実は、梅木とかをる夫婦、もしやジェームスのアイロニー!?笑

 

来週は2話連続の一週間

3月29日から『あぐり』の放送開始のため澪つくしは、朝7時から2回分放送だそうです。

2回分!
しかも重い戦争パートを一気見って…辛っ!

私は書くのが遅いので、しかも家事や他の用事もあるのでキツイー。
不安だけど、でもどうにか頑張ろうと思います…。

ところで!
入兆のモデルとなった「入正」のお醤油見つけました!こちらです↓