COCOA'S BLOG

常夏シンガポールより発信中

日本人だと思われずに、日本人に好き勝手言われたって話をしようか。

ツイッターで何気なく投稿した、私のことを日本人だと気づかずに、日本人夫婦に好き勝手言われたという話が、思いもよらずに反響をよんだので、調子に乗って一部始終を書いてみる。

 

 

それでは、本編大公開、ノーカット版をどうぞ。

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シンガポールで家族でブランチをとりながら、いつもの週末を楽しんでいた時。

隣の席に、日本人家族(20代であろう夫婦に、2歳くらいの子供)が座った。

 

髪型や服装がおしゃれな若々しい夫婦。最近シンガポールに来たのではないかと私に予測されるくらい、家族は「日本」の雰囲気をかもしだしている。

 

私は自分の娘に、夫婦の子供に手を振らせたりして、「あとで、お子さん何歳ですかー」くらいの会話を交わしてみようかな、などと思っていた。

 

そんな私のことを、彼らはガン無視しながら、「ねえねえ、なんかシンガポールってやっぱり白人多いね。」と奥さんが旦那に言い、彼らの世界での会話がはじまったので、私はあきらめ、すぐ隣から聞こえてくる日本語をBGMにしながら、楽しくブランチをしていたその時。

 

「あのハーフ、まじかわいい。ハーフ産むためだけに外人と結婚するのもあり。」と奥さんが、うちの娘の方を見ながら言ったので、私は幾分か得意げになりながら、食事をとっていた。

 

すると旦那が、自分の妻をなぐさめるためか「でも、ハーフって子供の時はかわいいけど、大人になるとみんなかわいくなくなるよ。」と言った。

 

すると奥さんは、大笑いしながら「そうそう、顔はかわいくても太るんだよね。」と旦那に激しく賛同し、2人でうちの旦那をちらりと見てまた笑った。

 

それを聞いた瞬間、私は彼らを迎え撃つ準備を始める。

 

全神経を集中し、彼らの会話の聞き取り調査に。

 

一瞬、旦那に、この日本人カップルの会話を教えようかとも思ったけど、伝えてしまうとそこで黙ってる人じゃない。

すぐに割って入り、「なにこの太った白人~」というリアクションをとられるだけだ。

 

私は1人で、この状況をうけいれる決断をする。

 

その後、「アメリカ人は人口の90%が太ってる」とか、「アメリカの食生活ってやばいよね。」と、アメリカ人デブ説話に花を咲かせる夫婦。私の旦那はイタリア人だが、なぜかアメリカを連想されたらしい。

 

そうして、唐突に奥さんが「あの人何歳くらいなんだろうね。」と彼女の旦那に言った。

 

あの人、とはもちろん私の旦那のこと。

 

奥さんの旦那が「うーん、ごじゅう~」と40歳の誕生日を迎えたばかりのうちの旦那のことを、なんの疑問も抱かずに50代と予想。

 

結果、旦那さん52歳、奥さん50歳、という予想をされたうちの旦那に、このことを知らせたくてたまらなくなるけど、ぐっとこらえる。

 

その間にも、私の旦那は娘と遊びながら、楽しくおしゃべりをしているのが、気の毒でならない。

 

娘がぐずりはじめ、そろそろ帰ろうかとなった時。

私は平静を装い自分の旦那と会話をしながら、夫婦の会話は聞き逃さないように神経を集中させていたので、どっと疲れていたが、自分の中で覚悟を決めた。

 

ベビーカーを押して歩きはじめた私の旦那に、ちょっと待ってて、と手で合図をし、すぐ隣のテーブルに歩み寄る。

にっこりと微笑み、「こんにちは。暑いですね!」と夫婦に言った。

 

彼らは、日本人に見えない私に突然日本語で話しかけられ「ぎょっ」とする。

 

「ちなみに、うちの旦那の年齢は、50代じゃなくて40歳になったばかりですよ。」と言い、あはははと笑って見せた。

 

そして、「よい週末を!」と元気に言い放ち、くるりとうしろを向いた。隣でぽかんとしている私の旦那に、行くよ、と手で合図をして歩き出す私。

 

自分の中で、時はスローモーション、音楽はZARDの「負けないで」を流しながら、カフェを後にした。

 

帰りのタクシーで、旦那に何があったかを説明したところ、案の定彼は怒り狂い、「なんでもっと早く教えなかったんだー。引き返せ―。」と叫び、タクシーの運転手さえ怯えていたけど。それでいい。

 

あの日本人夫婦が、どんな顔をし、何を感じたかなんて、知ったこっちゃないけど。

 

世界には、色んな人がいるのは知ってるかい?

中国人にしか見えない私のような日本人が、どこにだって紛れているってこと。太った白人が、ハーフの子供が、当たり前のように存在する世界がこの世にあるってことを。

 

いつかわかればいいさ、若者よ。

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