カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
NG出しストーブの輪から遠ざかる 熱燗やさっきの長台詞ここでなら アドリブが出ずに下向くふきのとう 苦手な音寒さで噛んだということに 失敗に頬染めるさま寒椿 撮影所の門扉冷たし吾は未熟 カチンコは四度目太秦の寒夜 寒暁や袖握りしめテイク2
1月23日のプレバト俳句。 お題は「NGシーン」。 やはり難しい兼題で、 因果関係の説明になりがちです。 ![]() ◇ 梅沢富美男。 カチンコは四度目 太秦の寒夜 これはさすが。 永世名人らしい技量を見せました。 前段は「四度目のカチンコ」とも書けますが、 題目語的に《カチンコはこれが四度目》の意味なので、 助詞の「は」も容認できると思います。 ◇ 森口瑤子。 撮影所の門扉冷たし 吾は未熟 撮影所の門扉冷たし 吾に硬し(添削後) 助詞「は」を避けるとすれば、 下五が「未熟な吾」となりますが、 そもそも映像的じゃなく説明的だし、 《未熟だから門扉が冷たい》 との因果関係が見えるのも気になる。 添削句のほうはお見事。 前段の「冷たし」を純粋な写生とし、 後段の「硬し」だけに心情をのせている。 ◇ 篠原ゆき子。 熱燗や さっきの長台詞ここでなら 台本の台詞いまなら おでん酒(添削後) この添削はイマイチです。 中七の「いまなら」が、 前後どっちに掛かるか分からない。 かりに後ろに掛かると読んだら、 《いまならおでん酒》との誤読になるし、 前に掛かると読んだにしても、 《いまなら台詞を書ける》《いまなら台詞を練習できる》 など様々な誤読が生じてしまいます。 原句の字余り中9は避けるべきですが、 「長台詞」と書けば芝居の台詞なのは明瞭だから、 あえて「台本の」と説明する必要もありません。 なので、 熱燗や 今なら言える長台詞 のように添削すれば十分です。 まあ、季語は「おでん酒」のほうが上かもしれません。 ◇ 関水渚。 苦手な音 寒さで噛んだということに サ行また 寒さで噛んだことにする(添削後) この添削もイマイチ。 上五の「また」が、 前後どっちに掛かるか分からないので、 《また寒さのせいにする》と誤読できます。 これは「またサ行」と語順を替えれば解決します。 芝居の場面と明示するなら、 長台詞噛むを寒さの所為にする ようにも出来ます。 ただ、 この「噛む」という動詞は現代語なので、 文語の句には似つかわしくないかもしれません。 「噛む」とは、言葉に詰まったり、言い間違えたりすること。もともとは放送局や舞台などで使われる業界用語でしたが、バラエティ番組などでタレントさんが使い始め、いまでは一般にも広く浸透しています。 ◇ 本多力。 アドリブが出ずに下向く ふきのとう アドリブが出ず冬草に目を落とす(添削後) 原句の動詞「下向く」は、 終止形なのか連体形なのか分かりにくい。 そして「出ずに」は理由の説明です。 添削句の「出ず」も理由の説明なので、 《出ずに目を落とす》 という因果関係には変わりありません。 因果関係を排除すれば、 アドリブの出来ぬ役者や 蕗の薹 のようになります。 ◇ 藤岡真威人。 失敗に頬染めるさま 寒椿 台詞まちがえて寒椿のシーン(添削後) 俳句の形にはなってるものの、 「失敗に頬染める」が映像の具体性に欠ける。 そして「失敗に」はやはり原因の説明です。 さらに作者の説明によれば、 季語の「寒椿」は実景ではなく、 《頬染めるさまが寒椿のようだ》 という比喩らしい。 作者の意図に沿うなら、 長台詞噛む赤面や 寒椿 のようにも出来ますが、 《噛んだので赤面》という因果関係を除くなら、 長台詞噛む赤き頬 寒椿 のように写生句を装うべきかもしれません。 ◇ おいでやす小田。 NG出しストーブの輪から遠ざかる NG出しストーブの輪に遠く居る(添削後) 原句の「~から遠ざかる」は動作の説明なので、 添削句では「~に遠く居る」と写生にしてます。 字余りを解消するなら、 NGを出しストーブの輪に遠し のようにも出来ますが、 やはり「NG出し」は理由の説明なので、 添削しても因果関係が見えるのは否めない。 理由を読み手の想像に任せれば、 ストーブの輪に遠く居る端役かな のようになるかと思います。 ----Blo-katsu AD---- ----Blo-katsu AD---- ◇ 清水アナ。 寒暁かんぎょうや 袖握りしめテイク2 中七の「袖握りしめ」は、 映像としては分かるんだけど、 それは寒さゆえなのか、 緊張ゆえか、悔しさゆえか、ただの癖なのか、 そこらへんの共感性がちょっと乏しいですね。
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最終更新日
2025.01.27 07:20:09
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