日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

ハンコバッシングはよい?として それからどうするの??

2020年11月20日 07時33分22秒 | 政治
 さまざまなビジネスシーンは言うにおよばず日常生活でも気楽に使われて、それなりに役立っていた?「判子(ハンコ・はんこ)だが、政権が交代するや否や急に邪魔者扱いされるようになってきた。事の起こりは在宅勤務の際に組織内の稟議書などの処理や、顧客との間の契約の確認等々、押印や捺印する従来の組織内の処理ルールがあって、そのためにリモート勤務が事実上不可能になっているというような場面が発生したことが主因であったようだ。
 新しい内閣が始まって、何やらやってる感を出したいというのでもあろうが、「デジタル庁」だの「行政改革」だのと誰にも分かり易いところでポイントを挙げようとばかり、とりわけ目立ちたがりの二人の大臣殿がデジタル時代のビジネスの敵はハンコであり、押印や捺印による従来の認証方法について抜本的にこれを破壊したいと言い出した。
 内閣人事局をつかって霞が関総体の人事を手中に収めた総理官邸に生殺与奪の権を握られ、よろず上を見て働く癖の付いた霞が関官僚たちは一斉にハンコの不要性に雪崩を打って賛成し、目立ちたがりの大臣の一人河野行革大臣の一声に一斉になびいて、ついに霞が関ではハンコは鬼子の位置に格下げと相成ったようである。もはや、ハンコが必要なのは天皇の「御名御璽」ならぬ「天皇乃印」のみとなったようである。
 このはしゃぎ方に我慢がならなくなったのが「ハンコ生産日本一」を誇ってきた山梨県知事だ。足元の支持者へのやってる感を見せなくてはならず、彼が親分と決めている与党幹事長殿に直訴に及んだからたまらない。幹事長氏は内閣の生みの親、陰の総理だ。はしゃぎ過ぎた二人の大臣は恐れ入ってしまったようであるが本心ははたして・・・?
 何れにせよ押印(自署以外の何らかの方法〈印刷やゴム印など〉で、すでに氏名が代筆記載されているところに印鑑を押すこと)や、捺印(署名捺印のことで自分で署名してそこに印鑑を押す行為)がある以上ハンコを「押さ」なければならない。この「押す」という行為は、ハンコを所持しているという事実とそれを使って押したという動かぬ「事実」が認証性を保証する。いかにも頼りないのは、ここで使われているハンコが「実印」のように実存的物体と所有者の一体性を公的機関がある認証してくれる「実印」と違って、駅のキオスクで売っている一本300円のハンコであることの頼りなさがいまや問題でありかつそれでいてリモートでは物理的にハンコを押せず、出勤しないとできないためにその程度の行為はデジタル時代に合わないというデジタル大臣を励ますこととなる。
 ハンコに代替する認証方法と言ったら署名である。トランプアメリカ大統領はことのほか大統領令に署名するシーンがよく放映された大統領だったが、あの下手な字こそが認証性をたしかにしていたのである。欧米での署名の重要性はあの「太陽がいっぱい」の映画の中で金持ちの友人で恋敵を殺してかつその銀行預金を奪うために主人公(アラン=ドロン)が友人の筆跡を練習するシーンが印象的であった。こういう場合、字が上手・下手は無関係で筆跡の同一性のみが枢要であるが、書道文化のある日本では字の上手下手が問題になるので署名はなかなか認証に利用しにくいのではないか? それにしてもサインもまた在宅勤務の味方にはならないとなるとはたと困ってしまう。
 かくて政府が袖の下にかくす隠し玉は、国民背番号こと「マイナンバーカード」利用とその普及である。これによって何もかもお上に見られることの不愉快さと怖さ、それと在宅勤務中にわざわざ社に出勤するテマヒマを天秤にかけてどっちが息苦しくないか? 今こそじっくり考えるトキが来た。

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