日々是好日日記

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岸田首相のロンドン・シティ講演に異議あり!

2022年05月18日 07時21分24秒 | 政治
 わが岸田文雄首相は若い時は銀行マンだったそうだ。それゆえ資産形成についても「玄人はだし」だという。「・・という」というのは、今月5日わざわざ世界の金融のメッカ=イギリスロンドンのシティに行って泣く子も黙る投資のプロたちを前に「講演」して、「少額投資非課税制度(NISA)の拡充などで『貯蓄から投資へ』の動きを進め『資産所得倍増を実現する』と表明した」と聞いたからである。よほど元銀行員として「個人資産形成」について自信が有るというのだが、彼が勤めていた「長期信用銀行」は不動産バブル経済に全身丸焼けとなって、戦後まっ先に消滅した金融機関の一つ、それも政府系金融機関だったと聞けば、ついつい眉に唾をつけながら聞かないと危険だと、余命いくばくもない老人の身の、にわかに岸田さんの提案に賛同することには躊躇する。その危なっかしさに堪えてあえて「・・だそうだ」と書いたのである。
 メディアの説明によれば、岸田首相の論理は、日本の家計が保有する金融資産は2021年末で2023兆円の巨額に上るのだが、その54%は現金タンス預金で、株式や投資信託のシェアは15%と欧米に比べ極めて少ない。そこで個人資産をいま流行りの財テク「NISA」に振り向けさせようという「岸田長期信用銀行=金融庁」の「戦術」であるらしい。
 この国の個人資産は老人層に集中していて、彼らはタンスこそが最も安心な金庫(資産保管装置)と見ているらしく、連日新聞紙面をにぎわすオレオレ詐欺の被害記事を見るとタンスから数千万円のお金を出して「受け子」という共犯者に渡している。岸田氏が狙うのはここだろう。しかし、これはタンス預金を持っている豊かな老人を見つけ出す犯人グループの眼力こそを評価すべきで、筆者を含む多くの老人はささやかな「国民年金」で余命をつないでいるというのが超現実なのである。
 他方、そんな中でも巨額の資産を持つ財産家がいる。彼らはNISAなどとチマチマしたことは言わず、はるかに有利な株式投資を知っていて、彼らが納める税金はあの「金持ち優遇税制」によって政府には渡さないですむシステムの下で合法的に資産形成がなされ、しかもこの金は総理が言うように市場経済に大いに貢献しているのだから国税庁の公認優遇納税者としての地位に安定しておさまっているのである。
 岸田総理大臣には、元長銀マンとしてではなく「私はウソを申しません」と国民に誓った「宏池会(こうちかい)」大先輩の池田隼人元首相にあやかって貧者の所得倍増に注力してもらいたい。今この国の産業力は戦後最低のレベルにある。英国型の金融国家を目指すのではなく、額に汗して働く人が褒められかつ経済的にも評価される社会の創造に注力してもらいたい。
 
 

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