日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

「18歳から大人」の不徹底、これもまた日本国民病の一つでは?

2022年01月25日 08時01分12秒 | 政治
 民法改正に伴って、「少年法」が改正され、今年4月1日に施行される。ここで出てくるのが<18歳を本当に大人と遇してよいか否か?>という問題である。
 従来、いわゆる「少年法」によって、20歳未満の日本人に対しては、大人が有している多くの権利のうち少なからざる権利を与えないできた。しかし、「18歳は成人である」は、世界の常識だとし、だからこの国の18歳も成人であるとして、すでに18,19歳に選挙権などを先行して与えてきた。果たしてこの判断は正しかったのか?、今後さまざまな点で問題が惹起されるのではないだろうか??・・・
 18歳を成人としたのは、2016年安倍内閣であった。ここでの判断が熟慮の上の確信的決定だったとは筆者には思えない。当時、多くの世論調査、とくに若者の政治的関心と政党支持傾向が明確に保守政党に「安定して」傾斜していることを確認した政権が、これを強行したというのが実態だったのではなかったか?
 そもそも成年を20歳としたのはこの国では明治29年(1896年)、すでに125年を経ている。当時の平均寿命は男性42歳、女性44歳という時代。現代のそれのほぼ半分しか生きられなかった。ということは、大人になるのに現代人は2倍遅延すると考えても大きな間違いではない。動物的にも寿命と生殖行動の間には年齢関係の強い相関性がる。さしづめ明治29年に「20歳を成人とする」としたのなら、現代ではそれ以上にするかそのままにしておくかであって、早める根拠は無かったのではないだろうか?
 それにも拘わらず安倍内閣がこれを強行したのは若者の支持を取り込みたい一念で決したもので、それゆえにこれをいち早く先行して実施し、その矛盾の尻拭いの民法改正を今頃になってやっているというのが<噂>の真相ならぬ<政治>の真相といったところであろうと、筆者は悪意を持って確信している。
 かくて20歳以上の成人が有している「権利」が原則的に与えられる以上、同様に「少年(未成年)」ゆえに「成人」が失った国家による保護も失われることになる。この4月から晴れて親の同意なしに愛する恋人と手に手を取って役所に結婚届を提出することができる一方で、その帰り道で万引きをしたら翌日の新聞に二人の実名入りの記事が出る、などということになるかもしれぬ。その新聞記事のおかげで隣近所のおじさんやおばさんの目つきが悪くなったのは仕方ないとしても、応募していた会社の採用試験に不合格になってしまった、などという被害が生ずるやもしれぬ。
 「18歳は成人である」ことによって得られる権利はよいとして、失われる保護のうち深刻なのは刑事訴訟法に規定される特例としての部分、いわゆる「少年法」の撤廃問題である。「大人」の定義を「18歳以上」としたため、権利と義務が「対概念」である以上現行「20歳以上を大人とする」ことの法的権利義務関係の一切をそのまま適応させるとすべきだ。だが一方で「そうは言っても」という例によって「親心」が働いて、どうやら「18~19歳特例」が造られるという。何をやっても徹底しない。この国のいざとなると「論理」があいまいになるくせが始まっている。これは国民病だ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿