日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

残念ながら、サーローさんの願いは岸田さんには通じない?

2021年10月15日 07時26分36秒 | 政治
 カナダ在住のサーロー節子さんといえば、4年前、ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の指導者の一人。彼女はそのノーベル平和賞受賞講演の中で原爆によって4歳の甥を亡くした悲劇を語っていたが、その少年はなんと岸田文雄新首相の親戚に当たる「岸田英治」さんだったという。「彼の小さな体は、何者か判別もできない溶けた肉の塊に変わってしまいました。彼はかすれた声で水を求め続けていましたが、息を引き取って苦しみから解放されました。彼の死を、あるいは彼と同じように非業の死を遂げた幾多の人たちの死を、決して無駄にしてはなりません」。サーロー女史は、首相就任を祝福する岸田氏へ手紙の中で告げたという。「因果は巡る」、実に深き因縁である。
 さてこう言われた岸田首相、人々の輿望を担って日本政府の核廃絶政策に舵が切れるであろうか? 残念ながら筆者には、氏がそれに応えられる程の政治信条と指導力を持つ偉大な政治家であると思ってはいない。
 そもそも唯一の被爆国というレッテルが日本の戦後政治指導者たち、取り分け岸信介以来の、与野党を含むすべての政治指導者たちにとって重すぎたし、彼らは軽重の相違は有っても核廃絶を政治信条として持ってはいない。それは、核兵器を「傘」とする心情が既にそうであり、ましてその「傘」の持ち主が米国政府であり、生殺与奪の権をすべてそこにあずけている身の、その成否すら考えないことを良として今に至っているからである。そういう中で、心やさしい岸田文雄氏は他の政治家、わけても直近の安倍・菅氏などと比べて悩み苦しむことであろうが、しかしそれだけのことであろう。
 米国が世界に拡げた核の傘が日本列島を覆っているのは事実だが、その傘の使用目的は米国自身のためであって決して日本国と日本人民のために使用するためなのではない。ここでは「共同幻想」としての「核の傘」が、それを肯定も否定もしない形で確固として幻視されているだけである。この幻視を振り払わない限り、この国の独立もあり得ない。
 サーロー女史は、日本政府が核兵器禁止条約に参加しない姿勢を示していることを踏まえ、「唯一の戦争被爆国日本がこの条約に背を向けていることが許されるでしょうか。日本がこの条約に加われば、それは世界全体に大きな波及効果をもたらし、核保有国さえ動かします。広島選出の総理大臣がその決断をせずに、いったい他に誰がそれをするのでしょうか」と記し、核兵器廃絶は最優先事項であること、核兵器禁止条約への署名・批准を目指すことを公約とし、来年3月に予定されている条約の締約国会議にオブザーバーとして参加するよう求めました」(2021/10/09 NHK)という。
 衆議院は昨日解散した。サーロー女史の願いは日本政府・与党によって無視された。

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