日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

日大はキャンパスから悪を一掃しなければならない

2021年10月22日 07時25分40秒 | 政治
 「検事さん、私を最初から悪人と決めつけているんでしょう。たしかに見た目も評判もよくないことは分かっていますし、ヤクザみたいなもんです。しかし、私は相撲道に生きる男です。相撲取りがコメに困ることはないんです。だから、口利きのようなことはしませんし、知りません。頼まれてもアゴにする(角界用語で「断る」の意)。検事さんも相撲取りになれば分かります。・・・検事さん、東大出身ですか? 日大だと思ってバカにしていますよね。その通りバカです。私はマワシで学士になりました。検事さんは真面目に勉強されて学士になったはずです。でも、同じ学士です。大学で差別しないで下さい。マワシさえあればコメには困りませんし、コメは白いですよ。私はシロです」(2021/10/08文春オンライン)
 いま、メディアを賑わしている総予算1000億円といわれる日本大学医学部付属板橋病院の建て替え計画、その基本設計を請け負う企業選定のプロセスについてこう語ったとする理事長氏の発言だが、これがこの語句どおりであったかどうか真実は定かでない。ただ、ここ数年の同大学のキャンパスから聞こえてくる話題からすると、「週刊誌ネタ」とはいえしかるべきルートからの情報として記事化されたこの生々しい表現は、捜査当局がこの理事長氏を、衆院選の終了を待って追い詰めるというシグナルであることは容易に想像がつく。
 これほどあからさまに状況がメディアにつつぬけになっているということは、政権交代の政治空白期にあって、政治家が暗躍する機会を失っているために、捜査当局が何度も何度も家宅捜索や「任意」聴取が可能となったことで余裕ができたということなのであろう。
 この大学、今やや歴史の中に埋もれているとはいうものの、1968年、この国の大学史に残る破廉恥事件、絢爛豪華な経営者一族による富みの独占、20余億円の巨額脱税事件に端を発して学生たちの怒りを呼んだ学園騒動を起こしたことがあった。当時の学卒初任給が3万円という時代の20億円だ。この額がいかに巨額であったかが分かろう。大学本来の教育と研究に供さなければならない資金を、一族の栄耀栄華に浪費するという不道徳。日本中の罵詈と非難を受けて経営者一族は退場していった。
 そしてあれから半世紀ふたたび同大学はモラルハザードに逢着している。この予兆は今となってみれば、同大学アメリカンフットボール部の「危険タックル」問題においてすでに内包されていたのであったが、その犯罪性をしっかりと判断できなかった司法、事後の処理の不徹底をまねいた文部省、これら両国家行政組織の間で暗躍したことだろう政治家ども、その混然とした悪が再び輪をかけた犯罪を惹起してしまったのであろう。
 一も二もなく被害者はここで学ぶ学生たちであり、彼らの成長を期待して学費を投入している親や親族、加えて年間90余億円の私学助成金を支援している我ら納税者国民である。今度こそ捜査当局には、政治の容喙を許すことなくしっかりと悪の一掃を図ってもらいたい。冒頭のやりとりは大学のキャンパスで聞くべきものではない。

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