日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

横綱照ノ富士優勝から見えてくる人口政策の貧弱さ

2021年12月03日 07時35分14秒 | 政治
 横綱照ノ富士が九州場所を初の全勝で優勝した。通算年間勝利数77、勝率86%と立派な成績で一年を終えた。
 振り返ってみれば初場所は関脇だったのだからあれよあれよという間の鯉の滝登りのスピード出世。しかし、すでに30歳とお相撲さんとしては円熟、というより過熟の年齢だ。それなのにファンが寄せるこの力士への期待は高まる一方。ここにも判官びいきというか?、不運をかこった人への同情や自らの人生に置き換えた相撲ファンの共感が発揮されているのである。
 九州場所千秋楽の表彰式風景をテレビで見ていると、質問者(NHKアナウンサー)が繰り出す質問に照ノ富士が応えるたびに万雷の拍手が巻き起こる。コロナ感染防止のための入場制限と発声禁止のつよい抑制が課せられている中でのこの反応はそれ故に一層強い共感を会場の中にみなぎらせている証拠にも聞こえた。
 大相撲が、日本的イベントであるという特殊性はあるだろうが、照ノ富士は日本に帰化したとはいえ千秋楽優勝を賭けた大一番の相手は日本人大関貴景勝、本割では貴景勝が勝てば優勝決定戦となって優勝者が変わる可能性もあったのだが、TV桟敷で見ている限り照ノ富士に圧倒的な声援が寄せられていたように見えた。つまり、個人ヒストリーの前に人種問題とか国籍問題とかいうのは消え去るということ。この相撲の例でいえば照ノ富士のどん底からの艱難克服の復活劇というヒストリーこそが主題になっていたのであろう。
 日本では今帰化を含む在留外国人が人口の2.2%程度いる。というより歴史上経験の無いほどの少子化にもかかわらず2.2%しか外国に門戸を開いていない。日本で働きたい、学びたい、住みたいという人びとに対して鎖国を続けてる。難民への受け入れも世界で一番壁が厚くかつ冷たい。その象徴的事件がスリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさんの名古屋入管の扱いであった。
 久しぶりに大相撲千秋楽を見ていて教えられたのは、「悲運の横綱」照ノ富士に対する観客の歓迎ぶりから、大袈裟に言えば「人類皆兄弟姉妹」の「ヒューマニズム精神」であった。


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