日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

追い出され 受け入れられず 森の中

2021年11月29日 07時36分29秒 | 政治
 上のタイトルは、千葉県の姫野泰之さんの「朝日川柳」(2021/11/24)作品を借用した。北の国の厳寒の森の中、国境の有刺鉄線越しの放水に逃げ惑う難民の群、見るに堪えない映像が否応なしに目に入ってくる。
 「中東などから多くの移民がポーランドとの国境に押し寄せている問題をめぐり、ベラルーシのルカシェンコ大統領は当局が手助けした可能性について『全くあり得る』と関与を認めました」(2021/11/22 日テレNews24)。
 「寒い国」のベラルーシ、そこにシリア難民のほか中東・イラクなど各地から数千人規模の難民の波が押し寄せているという。誰が発したか、まず空路などでベラルーシに入国してそこからポーランド経由でドイツ・フランスなど豊かなEU各国に定住が可能になるというデマが流されたためだそうだ。なけなしの全財産をはたいてベラルーシに難民が集結してしまったというのである。ポーランドがこれを必死で阻止しているために野宿を強いられている難民たちは極寒という苛烈な環境に置かれ、すでに十数人の死者が出ているとメディアが報じる。上の記事は、この誘惑を実行したのがベラルーシ当局であることをルカシェンコ氏が自身が否定しなかったと言う。
 「ルカシェンコ大統領は19日、イギリス・BBCのインタビューに応じ、移民がポーランド側に入ることをベラルーシ当局が手助けしているとの指摘について、『全くあり得ることだ』と述べて、当局による関与の可能性を認めました」(同上)というからこの男は自らの最終的な政治的関与を認めているのである。虚偽の情報を流して難民を呼び寄せ、彼らをルカシェンコ氏にとって「敵」とする周辺国に送り出して嫌がらせをしようというのである。周辺国のヒューマニズムの品定めをしようというのでもあろうか?。
 悪質といえば実に悪質であるが、これを後ろ側から政治的・軍事的に支援・声援しているのがウラジミール=プーチンロシア大統領だ。まさに許し難き悪のシンジケートと言うべきであろう。あのカチンの森はすぐ傍だ。
冒頭の「朝日川柳」には、並んでもう一句「その割にゃ 移民難民 ペット以下」(福岡県 渡部茂光)も載っていた。選者の言葉、「仏で犬猫販売禁止」とあった。フランスでは動物保護のレベルを現行の数倍に厳しくするという。ベラルーシの森で凍えている難民たちが聞けばネコ以下だと、己の不幸をしみじみ感得することであろう。
 世界中に難民という流浪の民はいないという原則に立って、この問題に馬耳東風を決め込む政府をもつ日本人の一人として、何かを発言する権利を全く持たないと承知しながらも、何とかならないかと己の無力を悲しむ。年の瀬である。


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