日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

死ぬまで警察に握られ続ける結審後の個人データ

2022年01月24日 07時57分43秒 | 政治


 「暴行罪に問われ無罪判決が確定した男性が、逮捕時に採取されたDNA型などのデータ抹消を求めた訴訟の判決が18日、名古屋地裁であった。西村修裁判長はDNA型、指紋、顔写真のデータを抹消するよう国に命じた。(中略)弁護団によると、警察が保管しているDNA型などのデータ抹消請求が認められたのは全国初とみられる」(2022/01/19時事)
 この文末の「全国初とみられる」という記述には、なんと野蛮な!と大いに驚いた。この裁判長の判断の良いところは、DNAと指紋について、これがみだりに取得され、利用されない自由は、個人の尊重を定めた憲法13条にあると、その判断の根拠を明確に示していることである。
 恐るべきことに、警察庁が所有するデータベース(DB)には、2020年末現在、生存者についてだけでも、DNAで141万件、顔写真や指紋に至ってはそれぞれ1170万件および1135万件と大量、人口の1割を数えるという。これらは、逮捕時に採取されたものという根拠があるとはいうものの、そうでなく秘かに採取あるいは事件捜査における参照データとして合法的に採取されそのまま保管されたものが無いとも言えないから、コンピュータの中にはこれ以上のデータが格納されていると疑う余地は十分にあるのではないか?
 触法行為を起こさなければ使われることのないデータである以上問題ないという論理で今まで議論されてこなかったうらみがあるとはいえ、この判決を通して改めてこの国の個人データの扱いの非近代性に気づかされた不愉快さを多くの人が感じているのではないだろうか。欧米各国の扱いの丁寧さとくらべたときこの国の人権意識の低さに今更のようにあきれてしまうのである。
 上記名古屋地裁判決は、無罪が確定した場合、「余罪の存在や再犯のおそれ」など具体的な事情が示されなければ、保管の必要性はなくなったと考えるべきだと判決している(上記報道)。現状は、結審後もDNAや指紋などの扱いはなんとなく捜査当局に暗黙の裡に任されているらしい。そしてこれがコンピュータの中に格納された数値データとして目にもつかず邪魔にもならない以上、これをデリートする必要性を感じさせない。まして、これが捜査当局にとって苦労して手に入れたデータである以上、法によって命じられない限り進んで廃棄するとは思えない。
 この地裁判決を好機として、刑事裁判などでは捜査に使われたこの種のデータについて結審の折にかならず判決の中で、「保管か、廃棄か」を判断するような法改正を国会で論じ立法化ずべきだと思うがどうだ!

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