観たり読んだり備忘録

片端から忘れてしまう観たものや読んだものを、記憶にとどめておくためにちょいちょいと走り書きとして残してます。それ以外もちょこちょこと。

新空港占拠(2024)

日本テレビのドラマ。2023年に放映された「大病院占拠」の続編。Huluで観た。ネタバレ注意。

「大病院占拠」事件から1年。
武蔵三郎(櫻井翔)は刑事に復帰しており、暴行犯を追っていた。
しかし謎の注射を打たれて気を失い、気が付くと姉の二葉(奥貫薫)と共に拉致され、神奈川県初の国際空港としてまさに今日開業する予定の「かながわ新空港」に連れてこられて、謎の仮面をかぶった「獣」(けもの)と名乗る武装集団の空港占拠事件に巻き込まれていた。
獣の一人「蛇」が、以前の病院占拠事件で共に戦った駿河紗季(宮本茉由)であることを知らされ、三郎は驚愕する。
三郎はこの場所を何とか抜け出し、捜査本部へ参加し、再び交渉人の任につく。休職中だった和泉さくら(ソニン)も復帰して、空港占拠事件の管理官を務める。病院占拠事件に続き、志摩蓮司(春とヒコーキ ぐんぴい)も情報分析官として参加する。
獣たちは人質にとった人々の罪を暴くことを三郎に強制する。その謎解きのために三郎は横浜署の警部補・本庄杏(瀧内公美)とタッグを組み、捜査にあたる。

ここまでくると「模倣犯」というよりも「同じシチュエーションのコメディかな?」という気分になってくるのだが、そこはそれ、前作よりもパワーアップしている。こういう話の性として、同じ程度では驚いてもらえないので、より派手でびっくり度の高いネタが満載されている。その分無理が出るのは否めないが、そこはあえて目を瞑って楽しむのが心得というものであろう。
まずなにより、心臓外科医として自分の仕事に邁進していた三郎の妻・武蔵裕子(比嘉愛未)が冒頭からいきなり謎の男に拉致されて、何度も殺されかける。もう一般人なのに可哀想すぎるだろ。一応ストーリー上は関連性があるということになっているがほぼこじつけで、三郎へのイヤガラセ以外の何物でもない。悲しいかな、比嘉愛未の美しさがひどい目に遭うことによってさらに際立ち見とれてしまうほどなので、これはこれでいいか・・・と妙に納得してしまう。
「獣」たちもネタ満載。病院占拠事件で警察のSATを率いていた丹波一樹(平山浩行)とその息子・丹波直樹(岩瀬洋志)が獣として参加していたり、直樹はメンバーの一人と恋仲になって妊娠させていたり。
前作で捕まり収監中の青鬼・大和耕一(菊池風磨)も、実は獣から病院占拠計画の立案をしてもらったと言い出し、「獣はすごい」感を醸そうとしていた。
また、獣たちは最初から仲間割れしている。その亀裂も話のキーとなり、仲間割れした方は「ケダモノ」を名乗って別行動をとるのだが、どっちつかずな人もいたりして話が混迷していく。
もちろん権力者の巨悪もしっかり暴く。獣たちは政界の黒幕的な「山猫」を白日の下にさらすためにこのアナーキーな活動を行っており、その正体も二転三転する。最終的にはまあ誰もが最初に「この人が黒幕だよね」とうっすら思ってしまう人がやはり黒幕なので、意外性というよりは様式美として黒幕設定が存在している。
このような派手派手設定が目を引いたため、獣たち一人一人が背負っている悲しみやモチベーションがちょっと目立たなくなってしまったかなという気もする。
リーダー格の駿河悠月(高橋メアリージュン)と駿河紗季の動機はそれをカバーするためか、だいぶやりすぎだなという印象。そこまで盛り込まなくても。っていうか三郎がいろんな意味で可哀想すぎる。
全体的に獣たちの方が若くて感情的で生き生きしており、警察側は疲れてロジカルな感じは変わらずなのだが、一人櫻井くんは例のオーバーリアクション的演技が相変わらずなので、むしろ警察の異分子としてよく描かれており、計算されているなあと感心する。
前作に続きぐんぴぃ目的でこのドラマを観ているので期待していたが、前作では一番の活躍がトイレの中だったのに対して、今回はちゃんと捜査本部の外に見せ場が用意されていたよかった。頑張ったね~。
全体の中で人質たちが一番演技力を要求されるところだが、かながわ新空港社長・天童美香(黒沢あすか)や社長秘書・宇和島健介(濱津隆之)の悪者っぷりは堂に行っていて、うまいな~と感心した。
春とヒコーキの土岡さんもちょい役で出ていたのはよかった。

少々強引なところは随所に見受けられたが、それもすべて前作を越えるため、という気概が感じられて、疾走するストーリーの勢いが感じられてとてもよかった。
最後はまだ続きがありそうなショットで終わっていた。またやるなら観たい。