リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十九 天命開別天皇 十七



日本書紀 巻第二十九 
天命開別天皇 十七

・公卿、大夫、百寮らに爵を与える
・風神と大忌神を祀る
・村国連雄依が亡くなる
・星が天を渡る
・皇女らに食封を与える
・大解除の秡柱
・死刑、沒官、三流の詔
・放生する
・大三輪真上田子人君の死



秋七月二日、
卿大夫及び百寮の諸々の人等に、
爵を進めましたが、
各々差がありました。

八日、
耽羅(たむら)の客が国に帰りました。

十六日、
龍田の風神と廣瀬の大忌神を祭りました。

この月、
村国連雄依(むらくにのむらじおより)が、
卒わりました。

壬申の年の功をもって、
外小紫の位を贈りました。

星があり、
東に出ました

長さは、七、八尺ありました。

九月になり、天に渡りました。

八月二日、
親王以下、小錦以上の
大夫及び皇女(ひめみこ)、
姫王(おおきみ)、
内命婦(ひめまへつきみ)等に、

食封(じきふ)を給わりましたが、
各々差が有りました。

十六日、
詔して、
「四方に大解除(おおはらえ)をする。

用いる物は、
国別に国造が輸(おく)るように。

秡柱(はらえつもの)は、
馬一匹、布一常。

これ以外は郡司が、
各々刀一口、鹿皮一張、钁(くわ)一口、
刀子一口、鎌一口、矢一具、稻一束。

それと戸ごとに、麻一條」
といいました。

十七日、
詔して、
「死刑、沒官(もっかん)、
三流(さんる)は、

並びに一等、
降ろすように。

徒罪(ずさい)以下は、
すでに発覚しても、
発覚していなくても、

悉く、
赦すように。

ただ、
既に配流されたものは、
赦さなくてもよい」
といいました。

この日、
諸国に詔して、
放生(ほうじょう)しました。

この月、
大三輪真上田子人君
(おおみわのまかむだのこびとのきみ)が、
卒(お)わりました。

天皇は、
これを聞いて、
大いに哀しみました。

壬申年の功をもって、
內小紫位を贈りました。

なお、
大三輪真上田迎君
(おおみわのまかむだのむかえのきみ)を
謚(いみな)としました。



・耽羅(たむら)
済州島
・皇女(ひめみこ)
天皇の娘
・姫王(おおきみ)
天皇の孫以下五世までの女性
・内命婦(ひめまへつきみ)
令制で、五位以上の位をもつ女性の称
・食封(じきふ)
律令制で、皇族・高位高官者・社寺などに禄として封戸 (ふこ) を与えた制度
・大解除(おおはらえ)
国中の罪穢をはらい清める神事
・秡柱(はらえつもの)
一般に塵や埃を拭き払うように紙や麻の祓麻(はらいぬさ)で振り払う清めの所作をいうが,とくに罪や過ちに対する制裁として償い物
・沒官(もっかん)
犯罪者やその家族・土地・財産などを官に没収すること
・三流(さんる)
令制の刑罰で、3種類の流罪。遠流、中流、近流をさす
・徒罪(ずさい)
律令法の五刑の一つ。3番目に重い刑罰。受刑者を一定期間獄に拘禁して、強制的に労役に服させる刑
・放生(ほうじょう)
捕らえられている魚や鳥などを買いとって河・山に放す慈悲行をいう



(感想)

(天武天皇5年)

秋7月2日、
卿大夫および百寮の諸々の人らに、
爵を与えましたが、
各々差がありました。

8日、
耽羅の客が国に帰りました。

16日、
龍田の風神と廣瀬の大忌神を祭りました。

この月、
村国連雄依が、
亡くなりました。

壬申の年の功労をもって、
外小紫の位を贈りました。

彗星があり、
東の空に出ました。

長さは、
七、八尺ありました。

九月になり、
天に渡りました。

8月2日、
親王以下、小錦以上の大夫
および皇女、姫王、内命婦らに、

食封を与えましたが、
各々差が有りました。

16日、
詔して、
「四方に大解除を行う。
用いる物は、国別に国造が輸送するように。

償い物は、
馬一匹、布一常。

これ以外は郡司が、
各々刀一口、鹿皮一張、钁(くわ)一口、
刀子一口、鎌一口、矢一具、稻一束。

それと家ごとに、
麻一條」
といいました。

17日、
詔して、
「死刑、沒官、三流は、
並びに一段階、下げるように。 

徒罪以下は、
すでに発覚しても、
発覚していなくても、

ことごとく、赦すように。

ただ、
すでに配流されたものは、
赦さなくてもよい」
といいました。

この日、
諸国に詔して、
放生しました。

この月、
大三輪真上田子人君が、
亡くなりました。

天皇は、
これを聞いて、
大いに哀しみました。

壬申年の功労をもって、
内小紫位を贈りました。

なお、
謚(いみな)を
大三輪真上田迎君といいました。

明日に続きます。

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