作って遊ぼう&学校の応援

 小学校でオモチャを身近な材料で作っています。また、最近プログラミングで学校支援アプリを制作しています。

左手用ハサミ問題(最近、気になるようになりました)

2022-11-13 16:52:04 | 作って遊ぼう教室

 趣味人(シュミット)様からコメントをいただいて、この意見はマイノリティを差別する意見だという指摘を受けました。その通りと反省しています。
 削除したりはしませんが、こういう考え方が差別に繋がるんだと参考にしてください。
--------------付け加えました。

 作って遊ぼう教室を開催するときハサミを持っていきますが「左利きなんです。左手用のハサミはありませんか。」ということが頻繁にあります。
 そんな時「実はおじさんも左利きなんだよ。でも左手用ハサミはつかったことないんだ。〇〇〇こうやって使うと、切りたいところがちゃんと切れるようになるよ。」と説明して普通(右手用)のハサミを使ってもらいます。
 しかし「できない!」ときかない児童が増えてきたように思います。それで仕方なく一本だけ左手用ハサミを買いそろえました。
 これが左手用ハサミ問題です。この児童はこれから成長していずれは大人になります。ず~と左手用ハサミが無ければハサミが使えなくなってしまいます。”工夫”するのが人の本分ですからちょっと私の話を聞いてください。


 私も生まれつき左利きです。小さいときハサミの使い方には困ったことがありました。母は私の下着以外の着るものはほとんど作ってくれました。裁縫をしている姿がいつもありました。実はそういう母に育てられて私も裁縫が”好き”でした。学校で必要な雑巾、破れた靴下、服のほころびなども自分で針と糸、ハサミ、ゴム紐などで直していました。そのとき〝裁ちばさみ”を持つとき「おかしいな、持ちにくいな、親指の付け根が痛い」と思いながら使っていました。今思うと裁ちバサミはぜ~んぶ右手用だったんですね。

 こんな風に握っていたんです。裁ちバサミは左手で握ることは想定されていないんです。右手オンリーです。親指の入るところ、他の指を揃えていれるところと手に合わせて作られています。

 こんな感じです。それを左手で持つと親指には大きすぎるし、指を揃えては入らないという具合です。指の形に成形もされているので、切るときいろんなところが強い圧力で押し付けられ痛みます。

 こんな経験をして工夫したんでしょうね。痛くないように握り方を考えたり、きれいに切るためにこれから紹介するような使い方を考えました。
 それから工作用のハサミに出会いました。
 最初の写真の裁ちばさみ以外は全部工作用ハサミです。指を入れて握るところは両方とも同じ形ですから問題はなくなりました。
 もう一つの問題が発生したんです。

 これです。〝刃線”の問題です。これから刃線について、また右手用と左手用ハサミの違いも含めて解説します。


 ハサミは2つの刃が×の形に重なり合ってできています。その×が閉じることで紙や布を裁断します。写真は横に並べてありますが、右手用は右手で、左手用は左手で持つと〝上”にくるほうが〝静刃”、下にくるほうが〝動刃”です。ハサミは下の刃を動かして切るんですね。
 右手用ですが持ったところが次の写真です。〝刃線”ってわかりますか。静刃・動刃の両方にあります。互いの刃が交差して紙などを切っていくところです。次の写真にピンク色の線で示しています。

 右手用のハサミを右手と左手で持ったところです。

 このように持ってみると工作用のハサミは刃の幅があるので静刃の刃線が切るとき問題となります。動刃は切るものの下に隠れてしまうので問題ありません。静刃の刃線は〝切るところ”に合わせると正しく切ることができるガイドのようなものです。
 この問題は裁ちばさみではありませんでした。刃線が尖っていて包丁のようになっていましたから、どっちから見ても刃線が見えましたから、しかし工作用ハサミは刃に厚みがあって決まった方向からしか見えないので、見えるよう工夫しなければなりません。
 この写真(右手用ハサミ)の場合、右手で持つとハサミが頭(目)の右側にあり静刃の刃線は見えますが、左手で持つと左側となり静刃の刃線は見えません。切るところが確認できないんです。

 このように切るところの線に刃線を合わせることができません。こういう問題が左利きの人には起こります。
 参考に、左手用ハサミを左手で使うとこうなります。

 〝切るところの線”に静刃の〝刃線”を合わせることができますから、正確に切ることが可能です。
 やっぱり左手用ハサミができて良かったですね~となります。さすがに人類は便利なものを作ってくれます。いいことだと思います。

 さて、〝左手用ハサミ問題”です。私が問題だと思ったのは〝人間”のほうです。人間だって新しい進化をしてもいいんじゃないかということです。
 問題点は〝視点”です。「右手用ハサミを左手でもったら左手は頭の左側にありハサミも左側となるので静刃の刃線が見えなかったですよね。」
 「じゃ、ハサミを持つ手を45度右側に傾けたり、ハサミを持つ手を頭の右側に持っていくと静刃の刃線が見えるようになります。」
 「すると、静刃の刃線と切るところの線を合わせることができて、正確に切ることができます。」

 こういうことです。

 幼いときは〝左手用”ハサミもありませんでしたし「困った困った!」ということもありませんでした。知らず知らずのうちにちょっとした工夫で乗り越えてきたんだな~ということに気づかされました。

 ちょっと大きい話になりますが、ひとつ便利なものができてくると、ひとつ大事なものを失っていくこともあるんだなと思い至りました。

 ハサミやノリを使うことで作って遊ぼう教室を楽しんでいますが、”作って”の大切さを改めて感じました。ハサミやノリの使い方を熟練してほしいな~。後継者が育ってくれないかな~!

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

付け加えます。----------

 いかがでしたか。私自身の深層心理というかこんなところにマイノリティへの差別が潜んでいるんだな~と反省しました。そのことを次のように考えました。
 どうして間違った考えになってしまったのかなということです。裁ちばさみは指を入れるところが右手を想定した作りで間違いなく右手用ハサミですが、工作用ハサミは2つの指を入れるところに差異はないのでどちら用でもないのです。それを私が勝手に〔右手用〕と言ってしまったのが間違いの始まりです。左利きの私が何の意識もなく工作用ハサミを使っていたのもうなずけます。工作用ハサミは右利きの人はこういう風に使う、左利きの人はああいう風に使うという理解が正しいのだと思います。でも右利きの人のほうが容易ですから左利き用ハサミができたんですね。今は裁いばさみも左手用ができているそうです。
 工作用ハサミを「右手用ハサミ」と言ってしまったところが《問題》の本質だったんです。そこには左利きのマイノリティを軽視して何にも考えていませんでした。自分のことでもあり差別とは違うと思いますが、深層に潜む差別の種かもしれないとチョッと身震いがしました。
 以上、反省を含めて考えてみました。
 お騒がせして申し訳ありませんでした。



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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まったくおっしゃる通り (大ペケ)
2022-11-13 20:13:58
いえね、レフティー対応品がダメって
言ってる訳じゃないんです。
生まれた時から便利な物に囲まれて
育って来た世代には、もし何かあった
時に困るから、という想定自体が無い
みたいですよ。そういう層が既に社会
へ出て来ています。

私も結構いい歳なので、子供の頃には
二次大戦時の話をしてくれる先生とか
居ましたし、祖父母も戦前生まれ。
物がない時代を知っていた訳です。
事情があって祖父母に育てて貰ったに
近い事もあり、無ければ無い様に
対応して来ました。

そういう訳で、難しいんです本当に。
敢えて言うと、理解不能なのです。
Unknown (作って遊ぼう)
2022-11-13 20:55:22
大ペケさんへ
 ⚪⚪問題と大げさに意見を述べましたが、賛同ありがとうございました。
 どの児童も私の教室を楽しみにしてくれてこれを続けることで、私の周囲では解決していく問題とも考えています。
 しかし、世間としては「理解不能」でしょうね。戦前のことなど大正3年生まれの父母からも知らされていませんので、想像できません。
 こうやって時代が進んでいくんでしょう。ありがとうございました。
Unknown ( 趣味人( シュミット ))
2022-11-14 08:00:22
作って遊ぼう…様

初めてコメントさせて頂きます。
日本人の1割程度は左利きと言われています。ハサミをはじめ、専用の文房具、機器が開発され市場に出回っています。
手の筋肉の構成と右利き用のハサミの仕様か相反するもので、使いにくい事を訴えるのは子どもとして直感的に感じているのでしょう。工夫すれば使えるようになるという大人のわがままは、マイノリティヘノ配慮が欠けているのではないでしょうか。
ものづくり教室に参加する条件として、マイハサミを持参してもらう事で解決出来るものと思われます。失礼致しました。
Unknown (作って遊ぼう)
2022-11-14 08:18:47
趣味人(シュミット)様へ
 ほんとですね。ピッシャと言われて良くわかりました。2割ほどはハサミを買い足すのが最善策ですね。了解です。

 こんな意見が少数派を差別しているんですね。ありがとうございました。
Unknown (作って遊ぼう)
2022-11-14 08:21:53
訂正
 アッすいません。1割程度でした。
Unknown ( 趣味人( シュミット ))
2022-11-15 00:01:33
作って遊ぼう…様

本文への加筆並びに追加コメント拝読しました。
実は私も日本人の1割に属する者です。
知り合いの子供さんが幼稚園のお弁当におにぎりをせがむのでよくよく訊ねると、箸を左手に持つ事でイジメにあっていると。箸で食べることのないおにぎりならと自分なりの防衛策を考えたのでしょう。そのご両親も園の引率者も、理性的認識の乏しい子供の残虐性には頭を痛められたことでしょう。

野球ではバッターボックスは左右に設けられています。どちらか片方だけなら、このスポーツは人気も発展もしなかったでしょう。
打ちやすい方のボックスに入り、個性と最大限のパフォーマンスを発揮して、ゲームは盛り上がります。

それぞれの個性を認めてあげるのが、年長者の役目だと思っています。

長々と失礼致しました。
筆末ではございますが、ものづくり教室の発展をお祈り致します。
ありがとうございました。
Unknown (作って遊ぼう)
2022-11-15 05:59:52
趣味人(シュミット)様へ
 再度の訪問とコメントありがとうございました。自身の差別性に気づかせていただきました。ご意見のあと色々考えてみました。
 どこに間違いがあったのかです。裁ちばさみは明らかに右手用ですが、工作用はさみは握りのところに差異はなくどちら用でもないのです。右利きの人はこう使う左利きの人はこう使うという風になっているものを、私自身が勝手に「はさみはこう使うものだ」と解釈して「これは右手用」と命名していたのでした。でも右利きと左利きでは使い易さが違います。そこで左手用はさみが誕生したんでしょう。
 裁ちばさみも現在は左手用があるそうです。そうやって時代は進んでいくんですね。
 作って遊ぼう教室は「楽しい」と子ども達が言ってくれます。ものづくりに飢えている感じすらあります。もっと工作を楽しめる環境になればと微力ながら頑張っています。

 シュミット様もプラモデルづくりは工作のひとつですね。作るものは違いますが工作を志す者として応援しています。

 ありがとうございました。
Unknown (hanakonoantena20220612)
2023-01-10 11:48:02
こんにちは☺️はなこと申します。

斯くいう私も利き手は少数派の人間です。親が日々の生活に精一杯で、子育てには熱心ではなかったせいか、小学校に入学するまで鉛筆も持ったことがなく、自分が基本的に左利きなのを小学校で鉛筆を使う時になって初めて知りました。

箸や鋏や包丁はそもそも右利き用しかなかったので右手で使うものなんだと思い、違和感はあったものの何とか使えるようになっていたのですが、おそらく右脳人間なんでしょうね。言葉(文章)を綴る、表現する為に用いる鉛筆や絵筆は今でも左手でしか持てません。無理に右手で書こうとすると思考停止する感じです。文章やイメージが思い浮かびません。

左手で文字を書く時に問題になるのは運筆が左から右方向であること。だから長文を書く時は左手の指や手首への負担が大きかった。

ところが、学生時代に興味本位で英文タイプを教わったおかげで、キーボードはブラインドタッチで文字入力が出来るので、この問題は解決しました!

技術革新により、少数派の不利な点が解消されることは嬉しいです。

時代によって価値観や物事の捉え方が変化するのは、既に昔の人も「諸行無常」と言っているくらいですから分かりきったことなんですが、最近の風潮としてはインターネットを実質英語圏が支配しているせいか、互いの主張をぶつけ合う、もしくは声の大きい人、主張強めの人の意見が通る傾向になっていて、何となく世の中がギスギスしているような気がします。

多くの日本人は議論することに慣れていないから、言論のキャッチボールに苦慮しているように見えます。でも、世界の主流派に合わせないと、日本人や日本と言う国は埋没してしまうんだろうなあ…

ところでブログ主さん、私もかつて10年以上、美術館で作品鑑賞とそれにリンクした工作のワークショップの企画と実施をチームで行っていました。私も子どもの頃はティッシュの空き箱などでよく工作していましたよ☺️。ブログ主さんの真摯な思いが子ども達に伝わると良いですね。ますますのご活躍を祈っております。

長々と失礼しました😅。
Unknown (作って遊ぼう)
2023-01-10 14:22:51
@hanakonoantena20220612  はなこさんコメントありがとうございます。私も左利きですが時代がら右利きに矯正されました。おかげで「器用だね❗」と誉められることが多かったです。教師をしていましたが、黒板の左側では右手で書き右側にいくと左手で書いていました。
 鋏については皆さんの指摘を受けて普通の鋏は両用のもので右手の使い方左手での使い方があると理解するに至りました。
 左利きばんざーいと自身では思っています。得することが多かったです。

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