せっちも 徒然雑記

50代半ばの全然不惑じゃない道楽親父が、思い付いたことをただ徒然記するブログです。

還暦からのローファー考 part3… “メイド イン メイン” Rancourt&co loafers

 2回にわたって、還暦を迎えた大人が履くローファーについて、私なりの考えを書いてきました。

 ネットなどで「還暦」「ローファー」などのキーワードで検索すると、履きやすさや足の健康に特化したウォーキングシューズのようなアイテムがヒットすることが多いのですが、普遍的な定番アイテムであり、ほとんどの方が一度は足を通したことがある靴だからこそ、自分の人生を振り返り、こだわりを持って履きたいと考えて今記事を書いてきました。

 小学生高学年くらいから父親や叔父の影響で釣りに夢中になっていた私は、高校入学後に当時では珍しいルアーフィッシングをやっていた友人と出会い、海外の釣り事情に興味を持ち、情報収集のために銀座あたりの洋書を扱う書店に足繁く通うようになります。

 そこでわかったことの一つが、とてつもなく広い国土を有するアメリカは、そのほとんどがいわゆる「広大な田舎」であることから、メールオーダーが一般的に普及しており、釣り道具はもとより、アウトドア用品、服や靴、日用雑貨までもが通信販売が当たり前な環境にあり、メインハンティングシューズやトートバックなどで有名なL.L.ビーンを知ることになります。

 趣味の狩猟中、湿地帯のブッシュに隠れていた切り株を踏み、足を痛めてしまった創始者レオン.レオンウッド.ビーン氏が考案したとされるメインハンティングシューズの製造販売から始まり、その後アウトドア用品を中心にカタログ販売 メールオーダーで大きく成長することになったL.L.ビーンのカタログを取り寄せ、掲載されたアウトドアグッツや服飾、家具などの日用品に至るまで、飽きもせず眺めては夢を膨らませていました。

 当時封切られた映画「ディア ハンター」の劇中で、ロバート デ ニーロが着用していたマウンテンパーカーやワークブーツへの憧れもあり、釣り道具以上にアウトドア関連の服飾や靴に関心を持つようになっていったのです。

 メイン州に拠点を置くL.L.ビーンのカタログに掲載された商品は、いずれもちょっと田舎臭くて、洗練されたものとはいえないものばかりでしたが、高度成長期の日本全てがそうであったように、常にアメリカの影響を受けて育った私には、実用性、機能性、合理性に特化したこれらの商品群に、ある種のカッコ良さを覚え、アメリカの陽の光や風、香りさえ感じられるように思えたのです。

 高校に入学して初めての革靴として、リーガルのローファーを通学用に履いていた私は、L.L.ビーンのカタログに掲載された無骨で、でも履きやすく、なによりも丈夫そうな、茶色のオイルドレザーのローファーに魅入られてしまいます。

 私のローファーに限らず、靴全般に対する価値観は、この時期に方向性が定まってしまったものと思います。

 以前にも書きましたが、アメリカに限らず先進国と呼ばれる国々は、いずれも「物作りの国」、工業製品生産国、熟練した職工を多く生み出す環境にある国という側面があります。

 私達日本人に手作り製品に価値を見い出す傾向が強いのも、日本が元来「物作りの国」として繁栄してきた歴史があるからに他ありません。

 L.L.ビーンのカタログに掲載された手作り感のある商品群に魅せられるのも、おそらく深層心理的に共鳴できるところがあったんだと思います。

 当時、若い世代の支持を得ていた作家 片岡義男さんが、ファッション雑誌にL.L.ビーンを紹介したコラムを読んだことがありますが、細部に至るディテールに注視し、丈夫さ故に長く使用することで得られる何ものに変えられない愛着といった内容に、とてもワクワクし共感すらも覚えたものでした。

 前に紹介したラルフローレンのメダリオンローファーに強く惹かれるのも、都会的なセンスの良さの中に、L.L.ビーンに共通するアメリメイン州製靴特有の、どこか牧歌的で職工の良心のようなものが感じられるからだと思っています。

 以前にも記しましたが、ラルフローレンのローファーを探している過程で、当時のラルフローレンの自信作であったメダリオン装飾のあるローファーには、基本的なデザインは同じでも、ポロやカントリーなどのラルフローレンのブランド展開に合わせた様々なモデルが存在し、その中でも特に上位モデルは、ランコートという会社が請け負って製作され、さらには別注モデルさえも存在していたことを知りました。

 コールハーンの靴職人であったランコート氏が独立し、親子3代にわたって、メイン州での良質な靴づくりにこだわり、特にモカシン系の靴はあのオールデンと双璧を成すほどのシューズファクトリーで、ラルフローレンを始めブルックスブラザーズ、アレンエドモンズ、レッドウイングなどの数多く大手ブランドのOEMを手掛けてきたことでも知られています。

 ネットでラルフローレン別注モデルの写真を見て、その手作り感満載の質実剛健な作りと、これぞメイド イン "メイン"といった雰囲気に、どうしても手に入れて履いてみたいという衝動が抑えきれなくなってしまったのです。

 そのような経緯を経て、今ではすっかり大ファンになってしまったランコート社製のローファー達を紹介します。

Rancout & co  loafers

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  最初はいかにもランコートらしい、タンナー(製革業)で有名なホーウィン社のクロムエクセルと名付けられた上質な革を使用したビーフロールローファーです。

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 前にも書きましたが、ビーフロールタイプのローファーに苦手意識があるために、ほとんど履いたことがなかったのですが、このローファーだけは如何にもランコートらしい風貌が垣間みれることから、意を決して購入したものです。

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 オイルドレザー特有の風合は、とかく学生靴のイメージが強いビーフロールローファーでも、大人の余裕のような雰囲気を醸し出しています。

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 それにしても巻貝みたいにごっついビーフロールですw。

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 クロムエクセルと呼ばれる上質なオイルドレザーは、裏側から指で押すとアッパーの色が薄く変わるなどの特徴があり、履いた時に足の形に合わせた絶妙な色味と風合いを演出してくれます。

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 こちらは柔らかい良質なカーフレザーを使用したホースビットローファーです。

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 とにかくメイド イン メインにこだわるランコート社製の靴には、必ず「Made in Maine (U.S.A)」の刻印が入れられており、それは他州どころか他国に拠点を置く他社OEM製品も例外ではありません(笑。

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 コールハーンやラルフローレンなどと比較すると、デザイン性よりも履き心地や丈夫さを優先した靴づくりをしていることは、コールハーンのビットローファーと並べてみると良くわかります。

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 小さく控えめなビット金具にも、見た目よりも実用性といった、ランコートらしさが現れているような気がします。

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 ハンドソーンによる良質な革を使用したしっかりとした作りは、当然大量生産にはいたらず、国内ではビームスユナイテッドアローズなどのセレクトショップが別注したものがわずかに流通しているだけであることから、当然高めの値が付く傾向にありますが、その分長く使うことで何ものにも変え難い愛着を提供していきたい、なんとも職人らしい良心が感じられる靴作りには、ランコートを所有する歓びさえも覚えてしまいます。

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 タッセルローファーです。

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 本来フォーマルな装いのタッセル付きローファーですが、ランコートにかかるとここまでゴッつくハードな感じになってしまいます。

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 ビットローファーもそうですが、本来ドレッシーなはずの靴が、なぜだか踵に余計な?キッカーバックをあしらってしまい、さらに無骨な雰囲気を醸し出しちゃうところが、私的にはランコートの面白くも好きなところであります(笑。

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 後日に紹介記事を書く予定をしている靴で、レンジャーモック(撮影時に私が履いている靴です。)と呼ばれる類いのワークシューズがありますが、ドレッシーどころか、どちらかというとそれに近く、デッキシューズを始めとしたモカシンタイプの靴に良くみられる、履き口周りに配された革のレースは、タッセルローファーにも良くみられる意匠ですが、革レースを通す穴口に、あえて金属製のハドメを施し、ヘビーデューティな雰囲気に仕上げられているところが、とにかくたまらないのです。

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 レンジャーの訳をネット検索すると、最初に国境警備隊や森林警備隊と出てきますが、まさしく森林警備隊員が、熊などに備えて重いライフル銃を背負い、森林奥深くまで道なき道を入って行く過酷な仕事の後、行きつけの幼馴染達が集う、密かに想いを寄せている女性が営むダイナーに行き、ビールで一日の疲れを癒す、そんな時にほんの少しカッコつけて履いていきたくなるような靴です(笑。

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 最後は以前の記事で紹介したラルフローレン別注のメダリオン装飾の入ったペニーローファーです。

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 80年代後半から90年代にかけてラルフローレンから発売されていたメダリオン装飾が施されたモデルですが、前記事にもあるように私的にツボにハマったデザインなんです。

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 おそらくリリース初期の頃のいくつかは、ランコート社がOEMを請け負い生産され、人気商品であったことから、その後も様々なメーカーが委託を受けて「POLO」ブランドから世に出ていたことは、同じモデルに日本製も存在したことからも推測されます。

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 今回紹介のモデルは、廉価ブランド名「POLO」が付かない、ラルフローレン名義でランコート社に別注されたものです。

 本家ラルフローレン名義で世に出たローファーですから、より上質なカーフ革が使われており、履き口周りにも精細なメダリオン装飾が追加され、いかにもハンドソーンと言わんばかりの丁寧な作りと存在感は、ラルフローレンとランコート社の意気込みすら感じられます。

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 国内での流通は無かったことから、本国アメリカで買い付けられたものが、時折ネットに上がるくらいの希少価値のあるローファーで、ようやく見つけて購入できたものの、入手先の古物商が表記したサイズに間違いがあり、残念ながら私には大きすぎて履けないんです(泣。

 しかし実際に現物を手にして、手入れを施しながらその上質な作りを感嘆の想いをもって眺めるほどに、いよいよ手放すことができなくなってしまいました(笑。

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 以上、現在まで私の所有してきたランコートのローファー達でした。

 沢山ローファーを持っていても、実際の出番は1年に数回あるかどうか、中にはまるっきり履かない靴もあるんです。

 それでもその時の気分やTPOに合わせて必ず履きたい時がくる‥、いざという時に困らないように持っておきたい、そんな想いで買い集めいつの間にかに増えてしまったのです。

 普段は歩きやすさや足の健康を考えてスニーカーが多い私ですが、還暦を迎え、さらには定年を迎えた以降は、きっとこれらのローファー達に足を通す機会が増えるでしょう。

 お気に入りで大切に保管してきたこれらのローファーたちを、ピッカピカに手入れをして履いて出かける時は、いつも以上に背筋が伸び、ある種の緊張感を覚えるのですが、きっとそういうことが大切なんだと思います。

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 生きてきた時代を反映する私たち世代のアイデンティティ‥、それらに裏付けされたこだわりを如何に現代に取り入れていくか‥、これから少しでも家内や娘から恥ずかしいと思われない、「カッコいいおじいさん」と云われるようになるためのテーマの一つだと考えています。

還暦からのローファー考 part2… “転石苔むさず”…COAL•HAAN vintage loafers

 20代中頃、大阪へ出張の際に新幹線の時間前に立ち寄った東京駅大丸百貨店の紳士靴売り場で、一際存在感のある靴に目が留まりました。

 おそらく私の人生でも一番多くの時間を共にした、コールハーンのペニーローファーとの出会いの瞬間でした。

 大人びた雰囲気の中にもアメリカ製靴特有の質実剛健な作りに、すっかりぞっこんになってしまった私は、それ以降コールハーンのローファーを買い増していくことになるのです。

 今回は現在まで大切に保管し所有してきたコールハーンのローファー5足を紹介します。

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 最初に紹介するのは、80年代後期から90年代初頭にかけてリリースされた、アメリカン ペニーローファーの典型のようなモデルです。

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 このメイドインUSAのモデルには、ヒール部にキッカーバックといった意匠が施され、より一層アメリカントラディショナルな雰囲気が醸し出されています。

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 コールハーンのローファー全般にいえることですが、ハンドソーンでのモカ縫いによって生じた革の合わせ部の皺にも、職工の匠の技を感じてしまいます。

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 バーガンディといった色味から、なかなか出番がなく、似合う歳に達したら履こうと靴箱に眠らせてきましたが、いよいよ還暦を迎え、これからはどんどん履いておじさんの足元を飾ってくれるものと期待しています。

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 こちらの黒色ガラスレザーのフルサドル ペニーローファーも、同時期にアメリカで生産されたものです。

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 冒頭で紹介の最初に出会ったコールハーンのペニーローファーがまさしくこれで、オンオフ問わず無造作に使用していたことから、ついには履き潰してしまい、写真のものはオークションサイトで、ほぼ未使用の同じモデルを見つけて入手するに至りました。

 撮影時のホコリに気が付かず、お見苦しい写真ですいません。(_ _;)

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 フルサドルの意匠とガラスレザーによる光沢から、あたかもオペラパンプスのような大人の色気を醸し出しているところと、アメリカ製ローファーの堅牢な佇まいが、同居しているところがたまらなく好きなんです。

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 このモデルは古着市場でも人気があり、特に需要のある黒色は希少価値があります。

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 この時期に生産されたコールハーンのペニーローファーは、サドルに施されたアイと呼ばれる横方向の切れ込み周辺に、四方にわたって縫製が入っており、全体的にキュッと締まった印象を受けるところもお気に入りポイントなんです。

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 90年代にリリースのブラジルで生産されたフルグレイン、オイルドレザーのモデルです。

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 80年代後半にナイキの傘下に入って以降、少しずつ人件費の安い他国での生産が推進されていたのですが、「良い商品をより安く」を実現するために自社工場を持たないといったナイキの企業理念が、経費削減のためだけでなく、生産国の靴の特徴などを反映させ、それでいてコールハーンらしさを損なわない、コールハーンの企業理念であるモダンアーチザン(革新的スタイルを熟知した職人技の結晶)が、この時期のコールハーンの製品には良く表れているものと思います。

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 ブラジルで生産されたこのペニーローファーは、アメリカ製にはみられない、低いヒールに浅い履き口、ローファーというよりは、モカシンと呼んだ方がしっくりくるイメージの靴で、夏のリゾート地でリラックスした雰囲気の中、素足で履きたくなるような靴に仕上がっています。

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 このあとに紹介しますが、イタリア製のローファーとアメリカ製の中間の位置付けといったらイメージが湧くでしょうか。

 踵のキッカーバックやハーフサドルの端が丁寧に処理が施されていることで、コールハーンらしい品性も醸し出されており、特にお気に入りの一足で、おそらく一番出番が多く履いているローファーだと思います。

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 この時期にブラジルで生産されたコールハーンの靴も、そのいずれもが、一部の古着マニアの中では、いまだに人気アイテムとなっているんです。

 ちょっと意匠を変えまして、90年代に入手したホースビットローファーです。

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 ホースビットローファーといったら本家グッチが有名ですが、ハイブランドですから、とにかく高価ですし、私たち世代では当時のファッション雑誌で多く紹介されていたことから、コールハーンの方に愛着を感じる方も多いと思います。

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 90年代にイタリアで生産されたものですが、この時期のコールハーンはモデルよってその多くをイタリアのシューズファクトリーに委託生産したりしています。

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 ソールがイタリアの靴特有の、一枚革のマッケイ製法であることから、歩行蹴り出し時のソールの返りが良く、アッパーのカーフレザーと相まって、より柔らかい履き心地を実現しており、購入して以降、靴擦れなどしたことがありません。

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 本当にコールハーンなの?と思わされますが、インナーソールにスニーカーの要素を取り入れたアーチがみられ、軽く、柔らかく、疲れない履き心地を追求し、さらなる進歩を目指す姿勢こそが、まさしくコールハーンらしさなんだと思います。

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 最後も同じく90年代にイタリアで生産されたスエードのペニーローファーです。

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 スエードのローファーには兎角野暮ったいイメージを持っていたのですが、こちらのイタリアで生産されたモデルもビットローファーと同様に、ソールがグットイヤーウエルト製法ではなく、マッケイ製法が採用されており、シンプル且つスマートにまとめられ、大人の品格と風格を漂わせる逸品です。

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 本当は秋冬に履くことを想定して購入したのですが、非常に軽い履き心地とその雰囲気から、春夏に素足で履いた方が、よりこの靴の良さを引き出せるかなと感じていて、その結果なかなか出番がなく、ずっと靴箱の中で眠っていました。

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 でも還暦を迎え、南仏プロバンスの街角にいそうな、小洒落たおじさんをイメージして履いてみたいと思い(笑、靴修理店でソールの補強とメンテナンスを施しました。

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 履き心地は同じイタリア製のビットローファーよりさらに軽く、ローファーというよりスリッポン、エスパドリューに近い履き心地に感じられます。

 以上、80年代後半から90年代にかけて、生産国は違うものの、いずれもコールハーンらしい職工のこだわりが、ヒシヒシと伝わってくる5足を紹介いたしました。

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 ここ数年は、ビジネスシーンでローファーを履くことがはばかれる職種への転職を機に、内羽根オックスフォードの短靴ばかりを購入してきましたので、ぜひ、さらにスニーカーライクな履き心地といわれる、現行モデルのコールハーン製ローファーも履いてみたいと考えています。

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 いかがでしょうか?、私がコールハーンに魅せられる理由…

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 創業以来、常にモダンアーチザンの理念を追求して、伝統を維持しながらも変化を続ける靴…

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 還暦を迎えた歳だからこそ、良いものは踏襲しつつも、新しいものへの冒険心を忘れずに、さらに成長していきたい…

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 最近、70歳を悠に超えてもなお、精力的に新しいアルバムをリリースし、ワールドツアーさえも発表した、ローリング ストーンズのバンド名に由来する、ボブ・ディランの名曲「ライク ア ローリングストーン」…

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 「転石苔むさず」というイギリスの古い諺を捩った歌詞の解釈にあるように、いつまでも、気持ちの上では老いることなく、好奇心を持って挑戦していく姿勢は保っていきたいと思います。

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 ローリングストーンズ、もう次は無いだろうなぁ、もう一度あの興奮を…、ぜひ来日公演してくれないかなぁ😚

 

=PS=

 人目を避けての撮影のため、早朝に海浜公園で靴を並べているところを、散歩で通りかかった老夫婦から、声をかけられてしまいました。

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 「靴の撮影ですか?」

 「30年も前の靴なんですか?」

 「どれもピカピカですね!」

 気恥ずかしい私を察し、しばらくの間、少し離れたところから、ふたり寄り添うように、アタフタと撮影する私の様子をご覧になっていました。

 奥さまを気遣いながらのご主人の姿に、昨年亡くなった父親を重ね、

 私はどんなおじいさんになるんだろう…

 不惑?…

 きっと、この先も惑わされながら生きていくんだろうなぁ…

 それはそれで良いのかなぁ…

 ふと そんなことを考えながら、ドタバタと場所を変えたり、靴を並び替えたり、撮った写真をスマホで確認したり…、なんとも慌ただしい撮影でした。

還暦からのローファー考 POLO RALPH LAUREN… vintage penny loafers

 少し前の夏の気配が感じられるようになった頃、大学時代に所属していた体育会系クラブの友人10数名と、東京は錦糸町にて、本当に久しぶりに会食してきました。

 懐かしい思い出話から始まり、還暦を迎えたそれぞれの近況や健康のこと、その場に来れなかった友人達のことなどの話題で大いに盛り上がり、卒業してから40年近い歳月を経ても、それぞれもまた、未だ不惑 青春真っ只中にいることが判り大きな勇気を貰いました。

 良き友人の存在というものが、如何に人生を豊かに、実りのあるものに導いてくれるかということを改めて感じたのでした。

 一次会から二次会場となるお店へ移動の道すがら、夏日和であったことから、ローファーの着用率が非常に高いことが判り、次の二次会の場では、ローファー談議を中心に大いに盛り上がりました。

 アメリカントラディショナル、アメリカンカジュアルなどの影響をリアルタイムで受けてきた世代ですから、特に必須アイテムであるローファーには、強いこだわりを持つ友人が多く、平素はスニーカーを着用することが多い私も、この日ばかりはと、30年以上前のビンテージものをソールの張替えと手入れをバッチリ施して、意気揚々に履いてきていたのです。

 60歳を迎え仕事も第一線から退き、これから益々、ビジネスシーンで履くようなオックスフォードやダービーなどの靴紐を要する短靴に足を通す機会が少なくなると思いますが、それでも年に何度か冠婚葬祭以外でも、スニーカーなどでは行きづらい場所や場面があります。

 病院への通院やお見舞い、子供の学校行事や同窓会、ホテルや小洒落たお店での会食など、やはりスニーカーでは憚れる場面というものが必ずあります。

 フォーマルになり過ぎずカジュアル過ぎない、そんな場面にピッタリなのが、まさしくローファーです。

 今記事から数回にわたって、私が所有しているローファー達を紹介し、還暦を迎えたおじさんが少しでもカッコ良くあるためのローファーについて考えていきたいと思います。

 POLO RALPH LAUREN 80’s~90’s vintage penny loafers 

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 写真は数あるラルフローレンのローファーの中でも特に好きなモデルで、80年代後半から90年代初頭にかけて生産され、サドルとヒール部にブローグ装飾が施された、今ではたいへん珍しいペニーローファーです。

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 35年ほど前の20代半ばごろに、上野アメ横にある並行輸入品を扱うショップの店頭で目に止まり、一目惚れしてその場で即購入、とても大切に履いていたのですが、人生のターニングポイントともいえるある出来事があったその日に、あろうことか置き忘れてきてしまったという苦い想い出のあるローファーです。

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 どうしてもまた同じものを履きたいとの一心から、オークションサイトや個人売買サイトをずっと探し続けてきましたが、見つかってもサイズが合わない、コンディションが悪すぎるなど困難を極め、ほとんど諦め気分でした。

 いつのまにかそれは、毎日の日課になってしまい、決まったサイトを巡回しチェックをすることがルーティンワークになっていたのです。

 そして、20年近い時を経てついに入手した同モデルが、このグレインレザー仕様でマホガニーブラウンのペニーローファーです。

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 ビンテージといわれる域にあることから、未使用のものを手に入れるのはまず不可能で、これだけの良好なコンディションで、自身のサイズにピッタリのものを探し出し入手できたことは、ほんとうに奇跡に近いことだと思っています。

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 このブローグ、メダリオン装飾のあるローファーは、ラルフローレンの当時の自信作であったらしく、通常のアメリカ製に加え、メイン州にあるシューズファクトリーブランド、ランコート社に別注した上級モデルや、日本製さえも存在したのです。

 写真のグレインレザー仕様モデルも、インソールにわざわざ「BENCH MADE IN MAINE 」(手作りメイン州製)と刻印されていることから、メイン州での手工生産にこだわるランコート社製である可能性があり、私が所有しているランコート社製のローファーとソール周りの作りが酷似していることからも、その可能性は非常に高いと考えています。

 ハンドソーイングでクオリティを維持する結果の少数生産、世に出回っている絶対数の少なさを考えれば、入手までに困難を極めたことについてもなるほど合点がいきます。
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 メイン州アメリカでも数多のシューズファクトリーが集中するところで、イタリアでいうところのフィレンツェに相当する位置付けにあり、メインハンティングシューズで有名なL.L ビーンや、ローファーを初めて世に出したとされるG.H BASS、セバコなど、特にモカシン系の名品を生産するファクトリーの拠点が多いとされています。

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 このグレインレザーモデルを探す過程で、コンディションが良くサイズがピッタリのものを見つけるたびに、「今手に入れないともう無理かも」といった焦燥感に駆られ、気が付いた時には、この他にガラスレザーのモデルを色違いで3足も入手していたのです。(^ ^;
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 でもそのいずれもが、通常に履けるコンディションにまでメンテナンスを要し、その過程でさらに愛着が増し、今ではそれぞれの優劣を付けられないほどのお気に入りになってしまいました。
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 そのなかでも写真のウイスキーブラウンのモデルは、特に良好なコンディションで、革底に滑り留めと補強のためにハーフラバーを貼った以外は、オリジナル状態のソールで使用しています。

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こちらのバーガンディのモデルはアッパーに使用感があるものの、いい感じでエイジングが進み、磨きをかけるとまるでコードバンのような輝きを放ってくれます。
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 しかしソールに相当な劣化がみられたことから、靴修理店に持ち込み、オールソールでの張り替えをしています。

 マッケイ製法の靴は、オールソール交換となると、それなりの時間とお金がかかってしまいましたが、靴修理店の店主に納得するまで相談して、的確なアドバイスを頂いた結果、オリジナルの雰囲気を壊さない素晴らしい仕上がりに大変満足しています。

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 同じくブラックのモデルも、程よくエイジングが進んだアッパーが柔らかく足を包み込み、こちらもオールソールリペアによって、しっかりとした踏み込み歩行ができるようになりました。
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 エイジングの進んだ黒色のガラスレザーは、磨けば磨くほど、なんとも言えないしっとりとした輝きを放つようになることから、とにかく手入れが楽しくてたまりません。

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 このように並べて比較すると、同じモデルでも、エイジングの進み方や色の違いだけで、まるっきり別の靴のように見えてきます。

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 ローファーは微妙なサイズ合わせが必要な靴で、エイジングの進んだ靴では尚更なため、それぞれの個体に合わせて、インソールやヒールグリップを組み合わせて使用しています。

 しかし、靴だけではなく足の方も、むくみや疲れなどの要因で日々変化しますので、決まったサイズ合わせはせず、数種類のインソールを用意して、その日のコンディションに合わせた組み合わせで都度、サイズの微調整をして履いています。

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 ブローグ装飾のあるサドルはソールにまで達するフルサドル仕様になっており、よりラグジュアリーで大人の雰囲気を醸し出しています。
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 個人的嗜好ですが、ビーフロールタイプのローファーは学生靴のイメージが強く、高校を卒業して以降現在まで、購入の選択肢にありません。

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 この時代のローファーの絶妙な長さのノーズ形状や、流線型に近いシルエットデザインに、大人の色気のようなものを感じ、ラルフローレンらしいカントリー調、フォークロアな雰囲気が、さらに他のローファーとは一線を画す存在感を醸し出しています。
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 いつの時代でも普遍的なアイテムであるからこそ、今の若い世代にはない、私たち世代のこだわりと大人の色気が感じられるローファー…

 次回の記事では、さらに大人の余裕が感じられるローファーを紹介していきたいと思います。

 

ストレスフリーなスニーカー! NIKE Cortez

 前回の投稿で、アディダス カントリーに対する想いを書きましたが、同じように何足も履き潰してきたスニーカーが、今回紹介するナイキ コルテッツです。

NIKE Cortez

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 折しも、NIKEがシューズメーカーとして現在の不動の位置に至るまでの苦難を描いた映画「AIR」の封切りに合わせるように、長いインターバルを置いて、今回のコルテッツ 復刻リリースとなりました。

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 コルテッツについて、数多の解説記事がネット上に溢れていますので、改めてここで記することは避けますが、NIKEの原点となるスニーカーで、さらには日本のシューズメーカーであるオニツカ・タイガーが関係していることは、同じ日本人として誇らしい気持ちにさせてくれます。

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 私がコルテッツを選ぶ理由の一つが、安い価格設定にあり、今回は革製のものを購入しましたが、ナイロン素材のチーピーな雰囲気のコルテッツも大好きで、躊躇なく普段履きで汚れなどを気にすることなくガンガン履ける、ストレスフリーなところがその理由なんです。

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 コルテッツを紹介しているブログを閲覧してみると、履きこなして適度に汚れたくらいが味が出て良いという記事を多く見かけます。

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 コルテッツのあまりにシンプルすぎるデザインには、経年変化からくる味わいが、ある種のアクセントになって、独特の雰囲気を醸し出すのかもしれません。

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 しかし、コルテッツに限らず、意識して雑に履き汚すなんてことは、生粋の貧乏性である私には絶対にできません。🥹

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 履き皺一つとっても、大切に履いてきたことがわかるような経年変化、味わいを追求したいと思っています。w

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 結局、ストレスが溜まっちゃうじゃないか!とお叱りを戴くことになりそうですが、それでもニューバランスM1700なんかと比較すると、圧倒的にストレスフリーなんですよ。😅

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 ストレスフリーってなんぞや?…   愛着のある大好きなスニーカーに、本当のストレスフリーを求めるのは諦めようと考えるに至った、いつまでも不惑になれない還暦のせっちもでした。😂(お後が宜しいようでw

 

Do it aging! adidas Country

 ここ一年ほどの間に、古い友人二人から、「○○(せっちもの本名)はいつもカントリーを履いていたよね」と云われてしまいました。

 以前にも書きましたが、確かにアディダス カントリーは、一番に履き潰しては新調するを繰り返してきたスニーカーでして、なにがそんなに良いのかと聞かれても返答に困るくらい、変哲のないランニングシューズなんですが、白地に緑色のラインアクセントと踵にまで捲り上がったヘリンボーンパターンの飴ゴム、爪先と踵のバックスキンの切り返しなどが、なぜかとにかく好きでたまらないのです。

 初めて履いたのが大学生の頃ですから、優に40年近く、常に私の足元を飾り続けており、友人達が持つ印象は当然なのかなと思います。

 しかしこのカントリー、意外にも復刻のサイクルが長いことから、買える時に購入しておかないと、履きたい時に履けないといった、なんとも口惜しい想いも散々してきたスニーカーでもあるのです。

 6.7年前の復刻時に購入したカントリーを大切に履き続け、ソールの減りもほとんど無い良好なコンディションにあることから、今回の復刻は見合わせようと考えていましたが、アディダスサイトで欠品サイズが出始めると、妙な焦燥感に駆られはじめ、ついには「後悔先に立たず!」と身勝手な理屈で自分を納得させて購入するに至ったのでした。

adidas Country

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 我ながら意志の弱さが情けなく、呆れて何もいえませんが、配達された小包を開封して、真新しいカントリーを手にした時には、「やっぱり買って良かった!」と、心の底から本気で思えたのでした。

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 今復刻は、70年代のカントリーに近いデザインをコンセプトにリリースされ、ヒール部のトレフォイルロゴはあえて採用されていません。

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 履き口の差し色もなく、至ってオリジナルに忠実にシンプルにまとめられていますが、使用されている革の材質が、オリジナルのカンガルー革ではなく、ちょっと硬めのガラスレザーのような素材感から、ネットなどでの口コミでは、あまり良い評価は得られていませんでした。

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 しかし思い返すと、復刻の度に同じような評価が聞こえてきますが、それはフランス製のオリジナルと比較してのことであり、履き込んでエイジングが進み、風合いが出てきた頃には、左程、革の材質に左右されるような影響は無いものと考えています。

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 今回のカントリーがストック用として購入したわけではありませんので、どんどん履いて手入れも怠らず、足に馴染ませて、この世で無二のカントリーに育てて行きたいと思います。

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 レッドウイングのアイリッシュセッターや、パラブーツのシャンボードみたいに、エイジングの楽しみが得られるスニーカーって‥、もしかしたら、そんなところにもカントリーを選択する理由があるのかも知れません。

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 60歳の還暦を迎えたおじさんの足元を飾るアディダス カントリー…

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 共に歩んできた時の流れを感じさせ、若い世代にはない重みと 余裕のあるアメカジスタイルが これからのテーマかな?😌

 

 

 

 

 

 

オトコはキッシュをたべない

 前回の記事の最後の方で、でリンダ・ロンシュタットの「グレイテスト・ヒッツ・ボリューム2」の話に触れましたが、今日は少しだけ補足を…

 私が小学高学年から中学入学間もない頃は、洋楽が全盛期の時代でした。

 思春期にあった私たちは、当然、海外のどの女性アーティストが好みかを、競うように話し合ったものでした。

 当時は、圧倒的にオリビアニュートンジョン人気が占めていましたが、私はいかにも“アメリカじゃじゃ馬娘”なイメージのリンダ・ロンシュタットに、すっかり夢中になっていました。

 リンダ・ロンシュタットのファンは、友人間では少数派であったことから、みんなには内緒で、アメリカ西海岸の青い空を思い浮かべながら、こっそり聴いていた想い出があります。

 数あるアルバムの中で、特にお気に入りだったのが、「グレイテスト・ヒッツ・ボリューム2」というベスト盤でしたが、この中に収められている楽曲から、さらに洋楽の世界へ引き込まれるようになります。

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 例として、9曲目の「ダイスを転がせ(Tumbling Dice)」などは、ローリング・ストーンズの代表曲のひとつで、ミック・ジャガーから、「君はもっとロックを歌うべきだ」と贈られた曲だそうで、ストーンズ版、リンダ版に限らず、今でも私のテーマ曲?のひとつとなっています。

 さらには、当時のリンダのバックを、私が特に好きである、70年代ウエストコーストロックの金字塔「ホテル・カルフォルニア」のイーグルスのメンバーが務めていたことなど、私の青春時代の音楽には、リンダ・ロンシュタットは欠くことができない存在だったのです。

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 それからずっと時を経て、大学を卒業して働き始め、新しい環境に馴染めず、失恋も相まって、落ち込みがちだった時に出逢った本が、ブルース・フェアスタイン著、嵐山光三郎 訳の「オトコはキッシュをたべない」でした。

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 本書は、コラムというよりは、ただオトコとしての想いの丈を徒然に書き殴ったような本で、著作者が日常的にオトコとして経験したであろう理不尽な想いを、オトコ目線で吹っ飛ばしてやる、といった爽快なものです。

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 冒頭から「オトコは○○をしない」「オトコは○○をする」といったことが、延々と書き綴られているだけの本ですが、読み進む程に、「なんて些細なことで悩んでいたんだろう」「こんなことは本当のオトコが悩むべきことではない」と思えてきて、「オトコは他人がどう評価しようが、信念を貫くことこそが大切」「そのためには、オトコとしてのこだわりだって良しとするべき」「所詮オンナにはわからないし、わかられるほど底浅くない」と、ずいぶん身勝手な論調ですが、当時はずいぶん元気を貰い助けられたことを思い出します。

 その中に「本当のオトコは、リンダ・ロンシュタットのグレイテスト・ヒッツ・ボリューム2を必ず持っている」というくだりがあり、自分に重ねてひとりで大笑いしたものです。

 著作者のブルース・フェアスタインさんは、映画007シリーズの脚本家として著名な方ですが、きっとハリウッドのショービジネス界で受けたであろう、理不尽な想いを消化するために執筆したのかなと勝手に想像を掻き立てています。

 いずれにしても、本著が私に及ぼした影響は大きく、生来の保守的性分も相まって、オトコとしてのこだわり(のつもり?)が、さらに顕著化してしまい、「腕時計は、どんな時計もNATOベルトに替えるのが粋」「オーデコロンは、20代からずっとポーチュガル 一筋で、タバコと汗の匂いに相性が抜群」「ジーンズは、学生時代から赤耳(セルビッジ)」なんて、他人からしたらどうでも良い、オトコらしい おバカなこだわりを今に至るまで貫いています🤒

 以上、ふと蘇った、昔読んだ本の記憶でした。

 

 

コンサバでいこう! adidas ZX500

 最近、家内からこんな話を聞きました。

 長男長女は保守的な傾向にあり、末っ子は前衛的傾向が強い…

 誰に聞いた話なのかは知りませんが、私の周囲を見渡すと、確かにその傾向はあるかも知れないと、思い当たる節がいくつか…

 二人兄弟である私の弟とは、歳も近いこともあって幼い頃から常に、同じことに夢中になってきました。

 しかし嗜好傾向は明らかに違っていて、映画などでも、当時中学生であった弟は、「ロッキー ホラー ショー」や大林宣彦監督の「ハウス」などに夢中になっていましたが、当時の私には前衛的すぎて、何が良いのかわかりませんでした。

 それは三人姉妹の末っ子である家内にも、寺山修司の「天井桟敷」を観に行った話しや、付き合い始めた当初に勧められた映画が、「バクダット・カフェ」だったり、やはり同じようなアバンギャルドな嗜好に、理解に苦しむことが多々あります。

 当ブログで紹介したスニーカーをはじめとした各アイテムや、映画、音楽、さらには記事文章を読み返しても、随所に保守的傾向がみられ、我ながらずいぶん偏向した記事を書いていたことを痛感させられます。

 考えてみたら、それはファッション傾向に限らず、30年以上通い続けているラーメン屋さんや、トンカツ屋、蕎麦屋に至っては50年近く同じ店に通っており、ライフスタイルそのものが保守的で、でもそれには私なりの理由があって、いつ行ってもいつもどおりの味を提供していただけることに、ある種の安心と信頼があるからだと自認しています。

 保守的嗜好をコンサバティブと言い換えると、その対義語は、プログレッシブだったり、アバンギャルドになり、間違いなくこのブログが、トラッドやコンサバと呼ばれるライフスタイルの延長線上に、その嗜好傾向があり、まだまだ少ないですが、このブログの読者層が、きっと同じ嗜好にあるものと考え、期待を裏切らないようにして行かなくてはと考えるに至ったのでした。

 長々と、他愛のない話をしてしまいましたが、今回は、これぞコンサバ!というべきスニーカーを紹介しますw

 adidas ZX500

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 80年代にリリースされた、ZXシリーズのファーストモデルで、今回も買付け代行業者さんを通じて、日本ではリリースされていない配色のものをイギリスより購入しました。

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 日本のメーカーであるカワサキのバイクにインスパイアされて「ZX」と名付けられたと言われています。

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 折りしも映画「トップガン マーベリック」が話題になっていますが、前作同様、カワサキのバイクをトム・クルーズが駆るシーンは、日本人として、胸が熱くなる想いです。

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 デザインは極めてオーセンティックさが強調されていて、主張が強くないことから、若い世代の方には、物足りなく感じるかもしれません。

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 SL72やTRX、LAトレーナーなどにはみられない樹脂製のヒールカップが採用されており、80年代に台頭したニューバランス製品に影響を受けたものかなと思わされます。

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 履き心地もニューバランスようなフォールド感と、アディダス特有の軽さが共存しています。

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 長時間スニーカーを履かなくてはならない場面ではニューバランス、短時間でおしゃれに気をつけたい時はアディダスと履き分けていますが、ZX500は長時間の使用にも疲れを感じさせません。

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 一見地味な感じですが、樹脂製のアイレット(紐穴)がアクセントになって、さりげない個性をアピールしています。

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 500以降のZXシリーズは、ハイテク感が増して、主張が強くなることから、ZX500くらいが私にはしっくりきます。

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 さりげなく、足元を守りつつ飾りたい、そんなコンサバ嗜好にピッタリのZX500、

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 心地良い秋晴れの日に、リンダ・ロンシュタットの「グレイテスト・ヒッツ・ボリューム2」あたりを聴きながらの散歩に履きたい…、どこまでも保守的なせっちもです。😙