南朝の聡明なる天皇「後醍醐天皇」の

 

第8皇子「宗良親王(むねながしんのう)の「李花集」歌集

 

「君がため 世のため何か 惜しからむ

捨てて甲斐ある 命なりせば」

 

(後醍醐天皇(延元の帝)第8皇子「宗良親王」の歌)

 

 

 

 

後醍醐天皇 第8皇子「宗良親王(むねながしんのう)の

足跡を訪ねて。

長野県 下伊那郡 大鹿村の史跡を訪ねる。

 

 

 

 

宗良と書いて「むねなが」とよみます。

画醍醐天皇の吉野皇居 「吉水神社」の宮司として

25年間御守りしてきた。

今、御縁があり宗良親王に呼ばれ「大鹿村」の

史跡を訪ねています。

宗良親王は、皇太子として、各地を転戦し武将として

南朝の皇族として活躍されましたが、

歌人としてのその名前が有名です。

歌集として「新葉和歌集」が有名です。

新葉和歌集の原本は

「奈良県の吉野の南朝皇居 吉水神社」にございます。

宗良親王(むねよししんのう/むねながしんのう)は、

鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての皇族。

後醍醐天皇の皇子。母は二条為子。

一品中務卿。天台座主。南朝の征夷大将軍もしくは征東将軍。

同母兄弟に尊良親王、兄弟に護良親王(もりなが)大塔の宮、

懐良親王(かねなが)、義良親王(よしなが)(後村上天皇)など。

信濃の宮、大草の宮、幸坂の宮(庇護者となった香坂氏に由来)

と呼ばれた。

法名は尊澄法親王。二条派の代表的歌人で、南朝歌壇の中心であり、准勅撰和歌集『新葉和歌集』の撰者となった他、私歌集に『李花集』がある。

『新葉和歌集』

「李花集」の秋

いつのまに あきはきぬらむ なつころも

ころもへすして 風そみにしむ

けさよりそ うらめつらしく ふきかへす

おかの楠葉の  秋の初風

なみによる-みるめにあきは-なけれとも-まつにおとそふ-うらかせそふく

まちえつる-なみたのひまの-あきことに-こよひやそてを-ほしあひのそら

よよのあき-おもへはひさし-たなはたの-ぬるよのかすも-さそつもるらむ

たなはたに-やとかすひとや-なかるらむ-あまのかはらに-いはまくらする

たなはたは-としにまれなる-あふことに-かへてやなかき-ちきりなるらむ

そてかはす-あまのかはらの-いはまくら-なみさへけさは-たちわかれつつ

 

あはれてふ-ことをあまたに-なかむれは-つゆもくたけて-あきかせそふく

あきのつゆ-なにしらたまと-かはるらむ-なみたはくさに-おかぬものかは

たまとちる-つゆのみたれの-つかねをは-かせふきみたす-くものいとすち

なへてよに-うれへなきみの-あきならは-かこちそせまし-そてのしらつゆ

 

かせかよふ-よもきかもとの-こけのには-つゆもしつくも-わかれさりけり

おきてうき-こよひのゆめの-なこりかは-あしたのとこの-あきのしらつゆ

そよとふく-おとはすれとも-しらたまの-つゆにこたへぬ-をきのうはかせ

 

いまよりは-ものおもへとや-をきのはに-あつらへつくる-あきのはつかせ

ゆふくれは-よきてとおもふ-をきのはに-あやにくにふく-かせのおとかな

 

ほにいてて-むすはれにける-にはのをきの-すゑはのつゆを-はらふあきかせ

すみのえの-まつにたくひて-ひひくなり-とほさとをのの-をきのうはかせ

 

ものおもふ-ひとのこころそ-をきのはに-かせもふきあへぬ-あきをしりける

 

つゆならぬ-こころををきの-うはかせに-さのみくたけて-ものおもふかな

 

しめのゆき-むらさきのゆき-あきはきの-はなにしほるる-そてそいろこき

いましのふ-そてにくらへは-はきのとの-むかしのあきの-つゆはものかは

 

はなかたみ-めならふのへの-あきくさに-わすられぬらむ-たひのおもひは

 

さくはなの-ちくさにあける-かたへしも-はきのにしきを-きてかへるらむ

 

つゆにふす-あしたのはらの-はなすすき-またしきたへの-そてかとそみる

 

かりそめの-ちきりはうきを-をみなへし-くさのまくらに-なににほふらむ

 

ふちはかま-ぬしさたまらぬ-にほひかな-たれもかりねの-のへのあたりに

 

 

 

いつちへか-こころをやりて-なくさめむ-うきはなへての-あきのゆふくれ

 

 

たよりにも-あらぬくさきに-あきはたた-こころをつくる-のへのゆふくれ

 

 

いつくにか-こころとまると-なかむれは-みやもわらやも-あきのゆふくれ

 

 

ゆふくれの-くものはたても-しくるめり-あまつそらなる-あきのあはれに

 

 

つゆふかき-ゆふくれよりも-しほれけり-まかきのはなの-きりのあさあけ

 

 

ふねよはふ-をちかたひとの-こゑはして-またよはふかし-よとのかはきり

 

 

へたてゆく-わなののはらの-ゆふきりに-やとありとても-たれかとふへき

 

 

わかきつる-かたもしられす-たつきりに-をちかたひとは-やとりとるらむ

 

 

よもすから-ねをなくむしに-くらへても-われやいをねぬ-おもひそふらむ

 

 

みにしらぬ-おもひなりせは-むしのねを-あはれときかぬ-をりもあらまし

 

 

よのうさを-きかしとおもふ-くさのいほに-なほことしけき-むしのこゑかな

 

 

おいてこそ-きけはとかむれ-いにしへの-あきのよすから-むしやなくらむ

 

 

きりきりす-のはなけれはや-ねさめする-よはのまくらの-したになくらむ

 

 

あきのよは-ひとなきとこの-きりきりす-まくらのみしる-ねをやなくらむ

 

 

なれもまた-うらみやそふる-きりきりす-まくすかはらの-かせのよさむに

 

 

ゆふつくよ-さすやおかへの-あきかせに-きりはれてなく-さをしかのこゑ

 

 

やまとりの-をのへのしかも-ひとりやは-なかなかしよの-つきになくらむ

 

 

くももなき-たのものつきの-もるいほに-いとはれてのみ-しかやなくらむ

 

 

ねにたてぬ-そてさへつゆに-しほれけり-しかなくのへの-あきのたひねは

 

 

なかきよも-あかすやしかの-おのかつま-こふれとしるし-なきあかすらむ

 

 

さをしかの-つまとふこゑは-ふけにけり-こよひのつきの-そらたのめかは

 

 

おのかつま-まつとしらせて-たかさこの-をのへにたてる-さをしかのこゑ

 

 

つゆふかき-をののくさはに-かたしきて-こよひもしかの-つまやまつらむ

 

 

おのかつま-あふよしをなみ-あきののの-をはなにましり-しかやなくらむ

 

 

めにちかき-はきのしたはの-うつろふは-くもゐのかりや-なきわたるらむ

 

 

あきことに-ふるさといてて-くるかりは-みやこのつきの-つみやならへる

 

 

よふねこく-おとはかりして-しらなみの-あとなきそらに-かりやなくらむ

 

 

なくかりの-こゑきくあきも-わすれぬは-かすみていにし-うらみなりけり

 

 

ふるさとの-たよりうれしく-まちえても-とふへきひとや-なくかりのこゑ

 

 

かりたにも-しほれてそなく-こしちまて-さすらひしみを-おもひやらなむ

 

 

おもひやれ-みやこのそらも-かりなけは-ひといこしちの-あとのさひしさ

 

 

 

 

ゆふきりの-へたつるをちは-しらねとも-しきたつかたや-さはへなるらむ

 

 

みやこへと-いそくをきけは-あきをへて-くもゐにまちし-もちつきのこま

 

 

またなれぬ-こころつくしの-このまより-ほのみえそむる-あきのみかつき

 

 

ほかよりも-なほまちかねつ-よしのやま-かさなるみねを-いつるつきかけ

 

 

みよしのの-やまのあきかせ-ふくるよに-ふるさとかけて-すめるつきかな

 

 

いてぬるか-ひかりはよそに-みえなから-まつのかけなる-やまのはのつき

 

 

やまとりの-はつをのかかみ-これなれや-なかなかしよの-みねのつきかけ

 

 

あきかせに-まよふむらくも-もりかねて-つらきところや-おほそらのつき

 

 

なかめつつ-あきとやひとも-もとむなる-たかまのやまの-このまもるつき

 

 

はつせやま-をのへのかねの-おとするは-ひはらかおくに-つきかたふきぬ

 

 

わけきつる-のはらのはきの-えたなから-うつしてすれる-そてのつきかけ

 

 

さすかまた-かきりあれはや-むさしのの-くさはのすゑに-つきはいつらむ

 

 

よもすから-つきはくもらて-みやきのの-このしたつゆや-あめとふるらむ

 

 

さらぬたに-いろことになる-ふるさとの-あさちかはらに-つきそかたふく

 

 

つゆふかき-うきよのあきを-あはれみて-しかのそのにも-つきはやとりき

 

 

なくかりの-なみたなるらし-つきかけに-かすさへみゆる-にはのしらつゆ

 

 

くもりなき-たましかかはの-あきのつき-いくせのなみに-ひかりそふらむ

 

 

こころある-あすかのかはの-なみなれや-ななせのよとに-つきやとるなり

 

 

あまのかは-くものしからみ-よわからし-ひかりもりいつる-あきのよのつき

 

 

かくれぬの-したゆくみつは-すみなから-みくさそつきの-へたてなりける

 

 

さるさはの-いけのたまもも-くもらねは-つきにそうかふ-ひとのおもかけ

 

 

たにみつの-こほりにまかふ-いはまより-うちいつるなみや-あきのよのつき

 

 

するかなる-たこのうらなみ-たたぬよは-あらはやつきを-こほりともみめ

 

 

ときしあれは-あきなきなみの-はなのいろも-つきにうつろふ-うらかせそふく

 

 

みやこにや-おなしそらとも-なかむらむ-われはゆくへも-なみのうへのつき

 

 

みなとえや-ゆふしほふかく-なるままに-つきにそうかふ-うらのまつはら

 

 

わすれめや-きよみかいその-なみまくら-せきちのつきを-おもかけにして

 

 

なにはかた-うらのもくつを-かたしきて-しほひにのこる-つきをみるかな

 

 

おしてるや-なにはのあきを-みにしめて-こよひもつきを-みつのはまかせ

 

 

わたつうみの-おきつしほあひに-やとるつきの-よるかたもなき-あきのなかそら

 

 

まつかけや-ふけゆくままに-かはるらむ-つきこそめくれ-しかのからさき

 

 

あとたれし-ひよしのかみの-かけそへて-つきさへすめる-しかのからさき

 

 

すはのうみや-かみのちかひの-いかなれは-あきさへつきの-こほりしくらむ

 

 

かたそきの-ゆきあひのまより-つきもりて-かみさひまさる-よはのまつかせ

 

 

まとちかき-たけのはわけに-もるつきの-かけさたまらぬ-よはのあきかせ

 

 

やまふかみ-うきよにしのふ-かくれかは-ありとやここに-つきもすむらむ

 

 

さひしさに-なほやましはの-ゆふけふり-とはれぬつきの-かけくもるらむ

 

 

いつかたも-やまのはちかき-しはのとは-つきみるそらや-すくなかるらむ

 

 

すきのいほ-まつののきはも-かはらねは-つきにそいとと-おもひやらるる

 

 

くさのいほ-たかのあみとの-かりのよに-つきもこころを-とめしとそすむ

 

 

つゆしけき-くさのいほりも-つきかけの-みかけはたまの-うてななりけり

 

 

あきはきの-かりほののきの-つゆしけみ-はなのしつくに-つきそもりそふ

 

 

つきにあかぬ-なをやたたまし-ことしさへ-なほさらしなの-さとにすまはは

 

 

いかかせむ-つきもみやこと-ひかりそふ-きみすみのえの-あきのゆかしさ

 

 

つきにきみ-おもひいてけり-あきふかく-われをはすての-やまとなけくに

 

 

さらしなの-つきみてたにも-われはたた-みやこのあきの-そらそこひしき

 

 

なくさまぬ-こころなれはや-さらしなの-つきみるさとも-すみうかららむ

 

 

なにしおふ-をはすてやまに-てるつきも-くもゐのあきを-みしことはあらす

 

 

のちはまた-たひねやつきの-おもひいてむ-いまはみやこの-かたみなれとも

 

いるをさへ-をしまてそみる-よはのつき-やまのあなたを-みやことおもへは

 

 

せきこえぬ-ほとやおもひし-みやこひと-やまのあなたに-つきはまたしと

 

 

ものおもふ-こころをつきも-とへはこそ-をりしもそらの-かきくもるらむ

 

 

ものおもふ-ことはかはれと-あきのつき-みそちあまりの-かけはなかめつ

 

 

おほそらを-てりゆくつきし-かこたれぬ-みのひかりなき-あきとおもへは

 

 

にはにみし-かけはあさちに-うつもれて-のきのいたまそ-つきはくもらぬ

 

 

ときしもあれ-みにしむつきの-ひかりかな-おなしくもゐに-かせやふくらむ

 

 

ひとりぬる-みはならはしの-あきかせに-たまくらさむき-つきのかけかな

 

 

なかめつる-うきみのかけは-おいもせて-つきそありあけの-そらにかたふく

 

 

おもひいつる-こそのふつきの-あきのつき-またくもれとて-ぬるるそてかな

 

 

うきなから-あきのなかはの-つきかけそ-なかきわかれの-かたみとはみる

 

 

なきひとの-わかれをあすと-おもはすは-こよひのつきは-したはれそせし

 

 

なかむれは-うきよのなかの-おもひても-ありけるものを-やまのはのつき

 

 

もろともに-みそちあまりは-すくしきぬ-われなへたてそ-むらくものつき

 

 

わかよはひ-ともにかたふく-つきなれは-みをかくすへき-やまのはもなし

 

 

なかむるに-よはひはたけぬ-しかはあれと-なほいつまてか-ありあけのつき

 

 

しなのなる-あさのさころも-よしうたし-やつれにけりと-つきもこそみれ

 

 

よそにのみ-ききししなのの-あさきぬは-このさとにうつ-ものにそありける

 

 

ささわけし-あさのさころも-こよひさへ-ぬきかへかてら-つきにうつなり

 

 

あきかせの-ふきとふきぬる-さとことに-なへてきぬたの-おとそひまなき

 

 

 

 

わかうたぬ-きぬたのおとの-ひひきいて-たれかよさむに-ねられさるらむ

 

 

さともなき-のはらにかせの-たくへきて-おほつかなくも-うつころもかな

 

 

みやこには-かせのつてにも-まれなりし-きぬたのおとを-まくらにそきく

 

 

かせわたる-たのものすゑに-きりはれて-いなはのつゆに-つきそうつろふ

 

 

ふけはとて-いなはのそよく-おともなし-かせよりしけき-つゆのおもさに

 

 

をやまたの-いなはのつゆの-そてのうへに-おくとはなけき-もりあかすかな

 

 

けさみれは-もみちしてけり-たつたやま-きのふのくもや-しくれなるらむ

 

 

くさかくれ-のなかのもりの-うすもみち-またはしめたる-あきのいろかな

 

 

ききしより-なほつゆふかし-うるのやま-くれなゐくくる-つたのしたみち

 

 

うつのやま-あきゆくひとの-そてなから-しくれてそむる-つたのしたみち

 

 

こころさし-ふかきやまちの-しくれかな-そむるもみちも-われのみそみる

 

 

あききりの-たつやにしきの-ぬきをうすみ-もみちみたれて-やまかせそふく

 

 

すゑのつゆ-もとのしつくの-あらそひて-おくれさきたち-そむるもみちは

 

 

しくれゆく-よものこすゑを-みわたせは-ちさとにしける-にしきなりけり

 

 

おもふにも-なほいろあさき-もみちかな-そなたのやまは-いかかしくるる

 

 

このあきの-なみたをそへて-しくれにし-やまはいかなる-もみちとかしる

 

 

そのやまと-きくになみたも-しくるるは-そてをもみちの-いろとみよとや

 

 

ここまても-ふかはふきこて-もみちはを-さそひすてける-やまかせそうき

 

もみちはに-なみたをそへて-みるいろは-たをりしよりも-ふかきとをしれ

 

いたつらに-もみちのにしき-きてみれは-いへちならては-かひなかりけり

 

かせわたる-しつかかきねに-はふくすの-くるしやなにの-うらみなるらむ

 

よのうきめ-みえぬやまちの-くすのかせ-いかにふけはか-まつうらむらむ

 

いくちよも-むすひかさねよ-あきのつゆ-やまちのきくの-ほしあへぬまて

 

おいせすは-なほとりそへむ-きくのはな-ちよもとおもふ-ひとのかさしに

 

あさなあさな-うつろふきくに-おくつゆも-はなゆゑにこそ-いろかはりけれ

 

なにをよに-あきはてぬとて-のへのくさ-いまはかきりの-いろとみすらむ

 

 

かせはやみ-よをいまさらに-くすのはの-うらみやすらむ-あきはてぬめ

 

うらみても-なきてものへの-きりきりす-いはむかたなき-あきのくれかな

 

ひとはまた-けふはかりとや-なかむらむ-うきみはつきぬ-あきのおもひを

 

なからへむ-いのちとみをも-たのまねは-かへてもあきを-えこそをしまね

 

みをあきと-おもふにいとと-よそならぬ-けふのわかれの-をしくもあるかな

 

かきりそと-おもはてすきし-ゆふへたに-たたやはあきの-そらはなかめし

 

 

けふといへは-いりあひのかねに-このはふり-あきそはつせの-やまおろしのかせ

 

                                 宗良(むねなが)親王

4達良美、毛利 虎之助、他2人