ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『はみだし刑事情熱系』1ー#13

2021-11-28 00:33:16 | 刑事ドラマ'90年代


「あなたが私の父親なの?」

いきなり広域特別捜査隊を訪ねて来た、中学生の美少女にそう問われて、大いにうろたえる我らが主人公=高見兵吾(柴田恭兵)!

もちろん、上司であり元妻でもある根岸玲子(風吹ジュン)とチョメチョメしてデキた、やはり中学生の娘=みゆき(前田 愛)とは全くの別人です。

「……ああ、そうなんだ」

なっ、なにぃーっ!? ただでさえ、自分が父親であることを未だみゆきに言えないでいるのに、同じ年頃の隠し子がもう1人いただとーっ!? 高見兵吾おーっ!?



☆第13話『殺人鬼!母の秘密』(1997.1.22.OA/脚本=今井詔ニ/演出=阿部雄一)

その陽子(大村彩子)という少女を連れて来た母親の比呂子(沖直未)に、兵吾は申し訳なさそうに言います。

「陽子ちゃん、恨んでるだろうな。父親らしいこと、何もして来なかったから……」

なにぃーっ!? やっぱり、玲子と毎晩チョメチョメして子作りに励むかたわら、比呂子とも同時期にチョメチョメして子作りしたのか高見兵吾おーっ!?



しかも比呂子は、11年前にモロ師岡(もろ・もろおか、と読みます)が実の兄と2人で起こした強盗殺人事件に巻き込まれた被害者だった!

その時、モロ師岡と兄師岡は河口湖のペンションへ逃げ込み、立て籠もって泊り客たちに乱暴狼藉を働いたんだけど、そのペンションのオーナーが合法所持してた猟銃で兄師岡をぶっ殺し、泊り客たちが一致団結してモロ師岡をとっ捕まえ、警察に突き出した。比呂子は、その時そこにいた泊り客の1人なのでした。



で、昨夜、野上さんという主婦が「出た! モロ師岡が出たわ! 気をつけて!」という電話を比呂子に掛けて来たのを最後に、消息を絶ってしまった。

そう、野上さんもあの時ペンションにいた泊り客の1人。もしかしたらモロ師岡がどういうワケか刑務所から野に放たれ、復讐に現れたのかも知れず、不安になった比呂子は当時その事件を担当した兵吾を訪ねて来たのでした。

そして案の定、野上さんが他殺死体となって発見され、件のペンションも放火されてオーナー夫婦が焼死しちゃいます。なんてヤツだモロ師岡! きっとモロ師岡は比呂子の命も狙って来るに違いない! だってモロ師岡だから!



しかし我らが主人公=高見兵吾も、モロ師岡に負けず劣らずのチョメチョメ野郎。広域捜査隊きってのイケメンでフェミニストでクールガイの西崎(風間トオル)が、クールに言い放ちます。

「あなた、最低ですね。事件の関係者とそういう事になるなんて……」

そういう事とはつまり、チョメチョメしたという事です。なにせ子供が生まれてますから間違いなくチョメチョメしてる。刑事が事件関係者とチョメチョメ。こっそりチョメチョメ。激しくチョメチョメ。



元妻で上司の玲子は、眼も合わさず兵吾に言い放ちます。

「あなたが何をしようと他人だから関係ないけど。この事件が終わったら、ちゃんと責任取りなさいよ」

そして当然、誰よりも兵吾を許せないのは、10年以上も放ったらかしにされて来た陽子です。



「なんで急に現れて……なんでお母さんがあなたなんか頼るのよ!」

ただでさえ母子家庭で偏見の眼で見られ、陽子は学校でも肩身の狭い思いをしてるのでした。ほんと最低だな高見兵吾おーっ!!

だけどただ1人、ベテランの杉さんこと杉浦刑事(平泉 成)だけは兵吾を擁護します。

「俺は高見を信じてるよ。高見はそんな事するヤツじゃない。本当にそんな子供がいたら、みゆきちゃんの顔をマトモに見られない筈だ」

そんな杉さんを演じる平泉成さんも、ついこないだまでは今回のモロさんみたいな凶悪犯ばかり演じておられました。

本来、杉さん役は井川比佐志さんだったけど撮影中の負傷により降板を余儀なくされ、急きょ当時ヒマしてた平泉さんが代役で呼ばれたんだそうです。それが一世一代の当たり役となり、現在も第一線でご活躍なのは皆さんご存じの通り。人生、どこでどうなるか分かりません。



「誰?」

「あなたこそ誰よ」

そう、人生どこでどうなるか分からない。とにかくモロ師岡の魔の手から護るべく陽子にくっついてた兵吾は、今いちばん会いたくない最愛の娘=みゆきとバッタリ出くわしちゃうのでした。

「わたしは兵吾くんの親友よ」

「わたしは……娘よ」

「ええっ?」

兵吾も慌てて言います。

「そ、そうなんだ。久しぶりに会って……」

みゆきは兵吾が自分の父親だとは知らず、本気で親友だと思ってるから、彼に自分と同じ年頃の娘がいるのを知らされてなかった事が、少なからずショックな様子です。

「そうなんだ……お邪魔してごめんなさい。さよなら」

「えっ? おいちょ待てよ、みゆきちゃん!」

取り乱す兵吾に、陽子が追い討ちをかけます。

「中学生なんかカノジョにしてたんだ。サイテー!」

「えっ? おいちょ待てよ、陽子ちゃん!」

ホント一体なにやってんだ、高見兵吾おーっ!?



で、あえなく陽子がモロ師岡に拉致されてしまい、兵吾はますます取り乱します。やっぱ本当に比呂子とチョメチョメして作った娘だったのか、高見兵吾おーっ!?

だけどモロ師岡の目的は復讐であり、真の狙いは比呂子ですから、人質の陽子をすぐに殺すことは有り得ません。玲子の指揮により広域捜査隊は危険なオトリ作戦に踏み切り、モロ師岡に呼び出された比呂子を徹底マークすることにより、ついにその居場所を突き止めます。



もちろん、モロ師岡ですから復讐を果たすまでは決して諦めません。まだ幼い女の子にナイフを突きつけ、あくまで悪あがきを続けるド外道な男、その名はモロ師岡!



「子供しか相手に出来ねえのか? そういう汚えとこは兄貴そっくりだな!」

「なんだとぉーっ!?」

いよいよナイフを振り上げるモロ師岡を見て、耐えきれなくなった比呂子が、ここで遂に真実を明かします。

「やめてーっ! その子は、あなたの子供なのよ!」

「!?」



思わぬカミングアウトに陽子もモロ師岡も息を呑み、兵吾は今回で一番うろたえます。そう、兵吾は、陽子にこの事実を知られない為に、これまで自分が父親だと言い張って来たのでした。

「な、なに言ってんだ! やめろ!」

しかし、愛する娘の命には替えられず、比呂子はあの11年前のペンションでモロ師岡にレイプされ、そして陽子が生まれた事実をぶちまけます。

「お願い、信じて! その子は、あなたと私の間に出来た子供です!」

「俺の子? ひゃっはっはっ、こいつはいいや! じゃあ、ペンションでお前をやっちまった時の、あの1回でか!?」

てめえーっ、モロ師岡あーっ!!

もちろん、広域捜査隊の見事な連携プレーによりモロ師岡は逮捕され、陽子も無事に救出されるんだけど、たったいま知ってしまった事実はあまりに重い十字架です。

「今のは、嘘だからな? あいつを油断させる為に、お母さんは嘘を言ったんだ!」

兵吾の必死のフォローも空しく、陽子はガラスの破片を自分の喉元に押し当てます。



「来ないで! 来たら、死ぬわよ!」

「なに言ってるんだ、やめなさい!」

「汚いわ! 大人なんて汚い! 嘘ばっかりついて! 私なんか生まれて来なきゃ良かったのよ! なんで産んだのよ!」

「バカなこと言うな! 生まれて来なければ良かった命なんて1つも無いんだ!」

「でも私は!」

「オレは、キミがお腹にいると判った時、お母さんに手術を勧めた」

「そうよ! 産まなきゃ良かったのよ!」

「お母さん、その時オレに何て言ったと思う? キミのことを好きになったって。誰が父親かは関係ない、お腹のこの子が愛おしい、この子を愛してしまったって、そう言ったんだ!」

「…………」

「オレは忘れない。あの時のお母さんの笑顔を。お母さん、とってもいい顔して、サイコーの顔して言ったんだ。この子とずっと一緒に生きて行きたいって!」

「そんなの……そんな話……」

「ホントのこと言うと、その頃お母さん色々あって、死のうと思ってた。自殺しようと思ってたんだ。でも、キミがお腹にいると判った時、生きて行こうって決心したんだ。キミがいるから生きて行けるって!」

「…………」

「だからキミのことを、お母さん自分の太陽だと思って、太陽の子、陽子って名付けたんだ」

「…………」

「刑事やってると、イヤな事がいっぱいある。イヤな事件もいっぱい見る。でもそんな時オレ、いつもお母さんの顔を思い出すんだ。キミを産みたいと言った、あの時の、お母さんの笑顔を……」

「…………」

「その度に……その度にオレは、人間が好きになる。捨てたもんじゃないぞって、オレは力が湧いて来る。キミのお母さんは、お母さんはそういう人なんだ!」

「……ねえ、教えて。お母さん、私を産んでから一度も後悔したこと無かった? 教えて」

「無いわ。あなたを産んで、この10年間生きて来て、一度も、一度も後悔したこと無い。陽子と一緒に生きてることが、お母さんすごく嬉しかった。お願い、陽子……お母さんの幸せ、奪わないで」

「お母さん……」



陽子が比呂子の胸で泣きじゃくり、なんとか最悪の事態は免れました。背負った十字架はあまりに重いけど、これだけお母さんに愛されてるなら、きっと大丈夫でしょう。

今回ずっと曇ってた玲子の表情も、やっと明るくなりました。

「ホントはアレだろ? 少しは心配したんだろ? あの子がオレの子じゃないかって」

「はあ? なんで私が他人のあなたの心配をしなきゃならないの?」

「いや、他人ってさ。そういう言い方はさ」

「他人は他人でしょ? 言っときますけどね、みゆきとあなたも他人なんですから。そのこと、お忘れなく」

「…………他人か」

とは言いつつ、事件に巻き込まれた被害者の為にここまで親身になる、高見兵吾という男をきっと玲子は見直したに違いありません。



いや〜、しかし。実にハードなストーリーです。陽子のこれからの人生を想うと一件落着とはとても言えません。ただ1つだけ不幸中の幸いだったのは、陽子のルックスが実の父親に全く似ずに済んだ事ですw

今のご時世、人の顔や名前を笑いのネタにするのは御法度かも知れないけど、コメディアン出身のモロさんならきっと笑って許して下さる事でしょう。えっ? それも職業差別に当たるって? なんちゅー窮屈な世の中! そりゃあテレビ番組がどんどんつまんなくなるワケです。

しかしモロさん、お若いですよね。そして比呂子役の沖直未さん、前回レビューの『はぐれ刑事純情派』ご出演時は硬かった演技が、約6年を経てずっと自然になられてます。やっぱり、どんな職業でも場数は踏むもんですよね。

陽子役の大村彩子さんは当時12歳か13歳。あの頃ジュニアアイドルがちょっとしたブームで、みゆき役の前田愛さんと、以前レビューした第2話ゲストの浜丘麻矢さん、そして野村佑香さんと4人で「チャイドル四天王」と呼ばれ『Pretty Chat』というユニットを結成、CDデビューも果たされてます。

刑事ドラマは他に『はぐれ刑事純情派』第14シリーズをはじめ『おみやさん』『帰ってきた時効警察』『警視庁捜査一課9係』『臨場』『その男、副署長』『LADY/最後の犯罪プロファイル』『相棒』『刑事7人』『科捜研の女』『警視庁・捜査一課長』等々、テレ朝系の番組を中心に多数ゲスト出演、現在に至るまで第一線で活躍されてます。


 


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