『日本国記』 「杵築大社」と「熊野神社」 限りなく真実に近いアナザーストーリー 【65A】 ひじかたすいげつ
つづく
出雲国の一宮「熊野神社」の御祭神は「イザナギの真名子」である「カブロギ熊野大神櫛御気野命」である。
前にも述べたように出雲の「熊野神社」は熊野大社とは関係ない。この「熊野神社」は出雲国の一宮であることからもわかるように出雲にとって最も重要な神社であった。
後にヤマトによって「杵築大社」が建てられるが、社家である北島家千家家はヤマトの人である。つまり「杵築大社」はヤマトによって管理されている神社である。「天皇」そのものが出雲とヤマトの合体の証であるから、いまとなっては出雲もヤマトも一心同体ではあるが。
それに対して、「熊野神社」は出雲の神社である。祀られる神は「スサノヲ」である。前にも述べたように、出雲側の「スサノヲ」は「出雲の王」である「大名持」であり、「大国主」を含む代々の出雲の王「オオナムチ」を祀る東出雲の向・富家の神社である。
「イザナギの真名子」とは、「イザナギ(カブロギ)」である。「クナトノカミ」の真の子であり、「熊野(イズモ)の大神」である「櫛御気野命」いう意味である。「櫛」は「奇」。「櫛稲田姫」の「櫛」とおなじで「ほかにはない」という意味である。
つまり、固有名詞ではなく「出雲のクナトノカミの子孫である神」という意味である。
だから「一宮」である。代々の出雲の王を祀る神社であった。そのために、「国譲り」のあとから「スサノヲ」にされたのであった。
「出雲大社(杵築大社)」の社紋は「竜鱗枠(二重亀甲紋)に剣花菱」であった。「熊野神社」の社紋は「竜鱗枠(亀甲紋)に大」である。しかし本当の社紋は「大」ではなかった。
「出雲」は龍と象であった。サイノカミの主神である大山(大神山)太陽神クナトノ神を祀るとともに、三瓶山(幸姫山)であるサイヒメノ神を祀る。そして、鼻高彦(象神)でもあるガネーシャと龍神(蛇神)も祀る。先祖のいたクナト国では象もワニもコブラもいたという。出雲の神社には象と龍が必ずいる。しかし、「竜鱗枠紋」は「亀甲紋」とも呼ばれる。龍が亀にされてしまった。
「杵築大社(出雲大社)」の社紋はヤマトとの合体を示す「剣花菱(けんはなびし)」が加えられているが、それは「熊野神社」の「剣(矛)」とヤマトの「唐花(からはな)」であった。
つまり、出雲国の一宮「熊野神社」は「出雲単独の神社」であった。そして、「杵築大社」はその紋にヤマトの「唐花」を加え、「二重亀甲」は「熊野の次(二番目)」の意味ではないかと思われる。そのことを隠すための「大」ではなかったのか。
「杵築大社」の火切神事は「熊野神社」から「火」をもらう。そのときに「熊野神社」の宮司からなかなか「火」をもらえず、しきたりである口上を聞かされた後やっと「火」をもらえるという。
つづく
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