阪神大震災の死者数が女性の方が千人多くて、その理由の一つとして、高齢女性が木造家屋に住んでたことが挙げられてたけど、千人の差を高齢男女の人口比だけに矮小化する人がたくさんいた。私は数字が言われるということは、人口比の寄与分はあるだろうけど、人口比を加味しても統計学的に有意な差が出ているんだろうぐらいにしか思っていなかったけど、矮小化する人があまりに多いから、その人たちが間違ってることを確信したいがために、当時の男女の人口比と死者の人口比を5歳刻みで比較したところ、人口比と激しく乖離してないと思えるのは80-84歳の1.6倍(人口の男女比)と1.9倍(死者の男女比)ぐらいだった。75歳-79歳にいたっては人口比が1.67倍に対し、死者の男女比は2.37倍。男女の人口比だけに帰結させるには厳しすぎる。男女の人口比は兵庫県のものを見たけど、全国のものとほとんど差はなかった。

 

 男女の人口比を言ってる人は、構造的性差別(女性が貧困で脆い木造住宅住み)を言ってる人を嘘つき呼ばわりしたり、バカにしたりしていたけど、実際の死者数を見るとそんな態度にはならないと思うから、データを見ずにそういう態度を取っているのが滑稽だなと思った。矮小化したい人はまず矮小化したいという願望があるために、他の選択肢を探るということをしない。これに関してはまず、女性の方が高齢者が多いということ自体は事実で、ほとんどの人が知っている事実だから、わざわざ調べたりしないんだろうと思うけど、思い込みはやはり怖い。

 

 性被害が矮小化されるのは日常茶飯事だけど、こういうことでも矮小化されるんだなと思ったのと、その矮小化される過程を見られたのは貴重。しかも性被害と違って、アンチフェミニストではない人とか、女性も多く加わってたのが意外だった。無意識の加担というのはこういうことなのかも。

 

 社会調査の教授がよく、Say it with data(データとともに語れ)と言っていたけど、高齢者の男女比まで出して語ってる人はほとんどいなかったし、いても死者の男女比とセットで出してる人はいなかった。私はこの女性の方が高齢者が多いからという主張を勝手に雰囲気論と呼んでいる。