ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

ストレスによらない「鬱」と自己実現欲求

2023年05月15日 | R100Trad (1990) クロ介


鳥のさえずり忙しい5月の空

乾いた大陸の風が

この極東の島国だにも

一瞬ではあるが北欧の夏の情景をもたらす

実を結んだ草木は

絶え間なく吹き付けるその風に楽しげにその影を揺らす

梅雨が始まるまでのこの刹那

いちばん好きな季節かもしれぬ



勤めに出ていたころは

おおいに自律神経の不調に悩まされていたが

いわく、ストレスのせいだ、と

しかし、なーんにもしとらん今日この頃のはずなのに

ちっとも何かしようという気力が湧かず

「鬱」のような気分がしてモヤモヤするのだ



Siriに「ストレスがなくても鬱の症状って出ますか?」と問うたら

いつものような溌溂とした声ですぐさま

「こちらがみつかりました!」と見せてくれたのは

どれも鬱の原因はストレスだ、というものばかりだった

けれど鬱の原因が内因的である可能性は本当にないのだろうか



人間本来のストレスとは

多分、直接的に生存を脅かすようなものだろう

中でも食欲はダイレクトにそこに関係している

とはいえ現代において普通の社会人が

食欲を阻害されるなど、医師による食事制限位なもので

(それだって簡単に回避できるが)

ありとあらゆる食物が巷に溢れかえっているのを見れば

食欲に関しては今やストレスフリーだろう

ただし、金があれば

でもってその金だって2時間も働けば十分だ

じゃァ、あとは何だ?



心理学者のマズロー先生が説いた有名な五大欲求というものがある

生理的欲求

安全の欲求

社会的欲求

承認欲求

そして自己実現欲求

生存そのものに関わる欲求と

生存の質に関わる欲求の2段構えに見える

食べたいとか眠りたいという欲求より

認められたいとかこう成りたい、という欲求の方がタチが悪い

なぜならそれは人によって質が異なっているからだ

「○○ちゃんのおかあさん」と呼ばれている姿を見て

同世代の人は社会的な存在感を感じる人がいても

「私は母親になりたかった訳じゃない」と本人は思っているかもしれない

他人から見れば部長は十分な地位でも

当の部長は社長でなければ無意味だと思っているかもしれない

ひとからスーツ姿が凛々しいと云われても、ピンクのワンピを望んでいる人もいる



阿呆なことを云うけれど

ボクは子供の頃から放浪者になりたかった

もちろん子供の発想だ

レジスタントや革命家に憧れ

ヒッピーやルンペンに痺れた

社会的なモノには目もくれず

他人の承認なんてどうでもよかった気がする

60(歳)目前で会社が危うくなった時だって

今かよ?と感じながら半面ではやっとドロップアウトできるか?とも思っていた

ひねくれているように聞こえるかもしれないが

結果的に見事、自由人になった

このために我慢してここまで働いてきたといっても過言ではない

欲求の頂点

自己実現を果たした訳だ

ネコのように生きる、暮らす日々

やる気が湧いてこないのは「鬱」のせいではなく

そもそもやる気などハナから無かったのだ

晴れた空を眺め

乾いた風に吹かれながら

意味もなく「ハハハハ」と笑うしあわせ



気温15℃は、走るには寒いと

去年の晩秋に御嶽へ行って思い知ったが

このところの暖かさから

標高1000m辺りの気温を想像できず

来てみて「サッブー」とぼやきながら

横目で道路脇の気温計に「15℃」の表示を見つけ苦笑するのだ

ペラペラのパーカーの下はなんと半袖Tシャツ

クロ介のハイパー風防が無ければ

凍え死んでいたやも知れぬ



可能な限り国道を外して県道・農道・林道をつないで走る

県道10号線は久しぶりの登り側になった

バンクした時に路面が近いと感じる程の勾配

ずんずん上って途端に凍える寒さだ

津具・売木の町をブルブル震えながら通過

それでも天気だけは良いのがせめてもの救いで

国道153号線の気持ち良さは寒さをしのぐものだった



平谷の道の駅を通り過ぎ

治部坂へ続く峠を登り始めるところに

高峰への入口がある

前を行くトライアンフが道を譲ってくれた手前

勢いをつけてバビューンと先行するが

入口はすぐそこ

トライアンフがそこをバビューンだ



あーそうですか

冬季通行止めは時期的に終わっているはずなので

道路崩落による通行止めなのだろう

いや、調べてから来いよ、なんて突っ込みは無用

もちろん調べてきてるのよ

では、なぜ?

いや、だって自分の目で見てみなけりゃわからんでしょ

ちなみに平谷の道の駅の裏手から延びる登山道からは山頂へ行かれるようだが

登る気なんかもちろんない

とりあえず道の駅へ戻る



こんなに天気が良ければさぞかし南アルプスの眺めが良かろうと思っただけで

もともとそこまで高峰へ上りたかった訳ではないし

ここまで相当楽しい走りだったから本当にどっちでもよい

トイレを済ませて尿意から解放されたアタマで

帰りのルートについて思いを巡らす

県道にそれなくても153号線は空いていたので

そのまま伊勢神まで戻って

あとは大多賀へまわって加茂の農道をつなぐことにした



もう寒いなんて云うのもここまでだろう

そろそろ梅雨の気配が天気図から見えてきてるね

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