【失明寸前】両目に野球ボールが直撃した話

はじめに

おそらく世界でも数人でしょう。

筆者は過去に野球ボールが両目を直撃した経験があります。
1回で両目直撃ではありません。左右の目を別々に直撃しました。


1回目(中学時代):自打球で左目を直撃→外傷性隅角解離・虹彩離断で手術(確かこんな症状の記憶です)

2回目(社会人1年目):ライナー打球を右目に直撃→右眼窩壁骨折、鼻中隔湾曲、慢性副鼻腔炎で手術


「鼻や顔面に直撃してついでに目にも当たった」という程度ではなく、「目に直撃」です。

なぜか2回ともど真ん中に目に食い込む形でボールが直撃しました。(過激な書き方ですみません笑)

※過激な内容そうですが、ご安心ください。この記事では事故のリアルな写真な無く、文字とイメージ画像だけで状況を振り返っています。

想像しただけで嫌という方はこの記事はスルーしてください。


幸い軟球であったこと、当たりどころ?がましだったのか失明はまぬがれましたが、

この事故の経緯や治療などの経験、教訓をシェアすることで誰かの役に立てればと思い、記事にしました。


直撃1回目(中学時代):自打球で左目を直撃

あまりいい思い出ではありませんが、今でも鮮明に覚えているためできるだけ覚えている範囲で「当時の状況」、「治療期間」、「現在の状況」について書いていきたいと思います。

|当時の状況

当時私は中学校の軟式野球部に所属していました。

あれは、春先の土曜の打撃練習でした。

ピッチングマシーンから放たれたボールを一人20球ずつくらい打つ打撃練習をしていました。

ピッチングマシーンなのでほとんどの球はストライクゾーンに来ます。

当時あまり考えず打撃練習をしていた、”見逃す”という概念は薄く、とにかくタイミング合わせて来た球をスイングしていました。
今考えると、このように何も考えす来た球に対してスイングするということがこの事故の1つの要因だったかもしれません


私のターンで1球目、2球目、3球目、数えながらいい感じに打っていました。

その時、監督から「もう少し、ミートポイントを前にして打ってみて」と言われました。

確かにそれまでのバッティングではミートポイントが後ろになっており、差し込まれるような打球が多かったため、
ポイントを前にしようと意識しました。

つまり、早めに振り出そうと意識しました。

そして4球目、ピッチングマシーンから放たれたボールに対して、早めにバットを振り始めました。

あれ、ちょっとインコース高めのボール気味の球かな?


そう思った瞬間でした。



急に視界が真っ暗になってその場に倒れ込みました。


始めは本当に何が起きたか分かりませんでした。

この時おそらく、自分の打った打球が左目にめり込む形で直撃していたのだと思います。
スイングしていた流れでボールが目に向かってきたので、おそらくボールを避けることもできなかったのです。


そしてしばらくして視界が真っ暗な中にキーンという感じで黄色い光の線が何本か浮かんでいたような記憶があります。

この感覚は上手く伝えられませんがこの絵のようなイメージです。

そして目も少し痛かったような記憶もあります。


しかし、その瞬間は何が起きたか分からず、ボールが目に直撃したということだけが分かり、あまり痛みは意識していなかったような記憶があります。


あまり鮮明ではありませんが、耳の記憶でその倒れた時に「大丈夫か?」「大丈夫ですか?」と監督や同僚、後輩が駆け寄ってきてくれていたことを覚えています。

そして、自分で少し上体を起きあげてから、ある後輩が「目は見えますか?」
ということを聞いてきたので私は目を開けてみようと試みました。


しかし、開けようと思っているが、目を開けているのかどうかもわかりませんでした。

たぶん目は腫れてて上手く開けられなかったのでしょう。

逆の右目は問題なく開けられていたので、一度大丈夫な右目は閉じながら左目だけ開けて
目が見えるか確かめてみました。


しかし、視界は真っ白でなにも見えませんでした。

頑張って見渡しても何も見えません。
何が何だかわからないまま後輩がこう言いました「んー目は閉じといてください。」

少し悟りました。-もう失明したかー


もちろん初めての経験で不安しかありませんでした。

とにかく目をつぶってタオルで出てる血を抑えて、監督が呼んでくれた救急車を待ちました。


もう失明か?そのことしか考えてなかったような記憶があります。
中学生でそれはきつかったです。とにかく何も考えられなかったので何度か左目だけ開けて
目が見えないか試しながら救急車を待っていました。


救急車に乗せられ、近くの病院に行きました。

休日だったので緊急病棟で、簡単な検査と、何かの点滴を受け寝て待っていました。

寝てしばらくすると左目はまだ白い景色しか見えませんでしたが、何か明りや影があることは見分けがつくようになっていました。


そして、またしばらく待っていると何となく見舞いに来ていた家族が見えるようになってきました。

この時すごく嬉しかったことを覚えています!

とにかく失明はまぬがれたか? いや一時的には見えても網膜剥離とか何かがあってもしものことがあるかもしれない。

一瞬でまた不安が勝ちました。

そして、それからまた担当医に見てもらい、「腫れや血が収まったまた月曜に詳しく検査しましょう」と言われました。

この時すでに夕方くらいになっていたでしょうか。
午前の練習から何も食べてなかったので、すごくお腹が空いて家族におにぎりを買ってきてもらいました。

そしておにぎりを食べた記憶でこの日は終了しました。

|治療の時期

目は何となく見えてましたが、相変わらず充血で真っ赤になっていた左目。

なんか熱っぽかったりもしたので月曜は学校を休んで病院に行きました。

病院に行ってからは眼圧を測ったり、なんか専門の機械で網膜を見たり顔のレントゲンを取ったりしました。

そしてその後に、見てもらった結果を家族とともに医者から聞きました。


ボールが目に直撃したことにより、目の虹彩やら何かが損傷していてうんぬんかんぬん、
医者が何を言っているか途中から分からなくなりました。

そして、医者の話を聞いていた途中から目の前の視界が急に回り出しました。

あれっ?これはやばい、でもどうすればいいか分からない、ぐるぐる視界が回る、、


初めての経験でした。気づいた時には「大丈夫か?!」と言われて起こされていました。


失神をしていたのです。

急に失明しそうになるし、医者から何か複雑なことを言われ続けるし
ここにきて初めて尽くしで、中学生の私には脳が処理しきれなかったのでしょう。

それから、特に手術はせず、目薬と飲み薬を飲み続けることになりました。
(まずは眼圧と血を引かせるための治療?のような感じでした。)

※眼圧とは:「目の中の圧力」、つまり「目の硬さ」圧力が強くなりすぎると目の神経を圧迫して緑内障などで失明の危険がある。今回、ボールが目に直撃したことで目が緊張状態となり眼圧がなかなか下がりませんでした。


そして数週間、病院に通い続け、血が引いたところで再び精密検査を受けました。
(医者いわく、目から充血が引かないと網膜剥離の判断などの目の奥の検査が十分にできないとのことでした)

※網膜剥離:目の裏側にある膜のこと。この膜が何かの理由ではがれると目の視野が狭くなったり、失明する恐れがある。今回、ボールが目に直撃したことで網膜に何かの異常がないか検査する必要がありました。




そして、また何度か精密検査で網膜や視野の検査を実施しました。

結果、網膜剥離の可能性はないということが分かりました!

本当に目が見えて、特に大きな症状も無くなって良かったです。


最終的には、目は普通に見えるようになりましたが、乱視、虹彩の外傷、虹彩の収縮が少し遅いという後遺症?的なものが残りました。
(失明してないからこれでも十分です!)

※乱視とは:目のピント調節が何らかの原因で上手くできず、ものが2重に見えたりすること。事故の影響により普段の生活では大丈夫ですが、視力検査をすると小さいCの文字が2重に見えることがあります。

※虹彩の外傷とは:下の絵の通りです。

※虹彩の収縮とは:光が目に当たったとき、まぶしくないように自動で虹彩が閉じることです。これが事故により収縮が遅くなり、光が強い場所では少しまぶしく感じるようになりました。ただし、数ヶ月間にわたり虹彩収縮用の目薬をしたことで今現在ではだいぶましになっています!

|現在

そして、2,3ヶ月後には野球部に復帰しました。

久しぶりに打撃をするのはかなり怖かったですが、復帰するためにはいつか打撃しないといけないと思い、打撃練習もするようになりました。

それからだんだん感覚を取り戻し、事故から4ヶ月後くらいには試合に復帰することもできました。

ただこの時、少しづつ視力が悪くなってきたかなという印象がありました。



また、この話には続きがあります。

事故から4年後くらいの高校受験が終了して大学に入学するまでの数か月の間、

先ほどお話しした「虹彩の外傷」について手術することを決めました。
図の部分について、糸で縫い合わせて空いた部分を埋めるという手術です。
(目でもそんな機用に手術できるんだな。と感心していました)

これは整形に当たるらしく、少し手術費もかかりますが、
せっかくの期間なので完全に直してやろうと思い、手術を受けることにしました。


この手術は目の部分麻酔をして虹彩を縫い合わせる手術です。

目の部分麻酔なので脳は麻酔効いてません。


??と思った方、つまりどういうことかというと、

自分の目で自分の目が縫い合わされるのを見ながら手術を受けるのです。


これは手術を受ける前にすごい怖さがありました。

この手術については別の記事で説明したいと思います。

そして手術も終了し、大学でも野球サークルを続け野球を続けるのでした。


直撃2回目(社会人1年目):ライナー打球を右目に直撃

やってきました。社会人。

また野球ボールが目に直撃するとは知らず、会社主催の野球大会に出場します。

|当時の状況

社会人1年目での大会であったため、仲良く一緒に研修していた同期と参加しました。

大会と言ってもレクレーション的な感じで初心者も、ルールを知らない人も、男性も女性も参加するような楽しい雰囲気の野球大会でした。

入社した会社は社員も多く、何十チームと総当たりで1チーム3試合くらい実施し、
合計の得失点で優勝を決めるようなルールでした。


野球経験者としてチームを引っ張っていこうと筆者は謎の張り切りを見せ、
試合中でも初心者のチームメイトにボールの投げ方や野球のルールを一所懸命教えていました。
今考えると、このように試合中でも試合内容に十分集中してなかったのが、この事故の1つの要因だったかもしれません


あるイニングでした。

私たちのチームは攻撃中でみんなベンチで試合を見ていました。


謎の張り切りを見せていた私は、このイニングも初心者にバットのスイングを教えていました。

ベンチから少し前に立ち、チームメイトにスイングの形を教える私。


その時でした。


バッターボックス付近から「危ないっ!」



次の瞬間、どうした?と思った私は、ホームベース側に振り返りました。


振り返った瞬間でした。


急に視界が真っ暗になってその場に倒れ込みました。(どこかで読んだ文脈ですね笑)


始めは本当に何が起きたか分かりませんでした
→倒れ込んだ私は、即座に何が起きたか悟りました。


ーボールが目に直撃した。「またか」というのがこの時の初めの思いでした。

それも今度は逆の右目。


倒れ込んでから「大丈夫??!」と駆け寄る同期や先輩方、

やばいと思って即座に右目だけ開けてみると前と同じように視界が真っ白。

後で聞いたのですが、この時は味方打者が打った三塁ファールエリアに飛んだライナー性の打球が
たまたま振り返った私の右目に直撃したとのことでした。


しかし、この時は少し影も見えたので少しだけ安心しました。
(前と同じでたぶん失明は大丈夫かな?と勝手に判断)


この時の痛みも少しだけ痛む程度でした。
ただ血は流れ、大きく目も腫れたので目をタオルで抑えながら救急車を待ちました。

なにせ2度目のため、周りから見たら私は落ち着いていたようには映っていたと思います。


この日も休日であったため、緊急病棟に搬送。この時は中学校とは別の県にいたので専門医もいない病院に搬送されました。

専門医がいなかったため、簡単な検査と血を引かせる薬だけをもらいこの日は同期の家へ。

今でも感謝ですが、この時私は実家を離れて一人で住んでいたため、心配してくれた同期が、近くの実家に泊めてくれました。本当にありがとうございました。

2回目の目の直撃でしたが、目は腫れて少し見にくいため、やはり気分は落ち込みました。

その日に同期の親が美味しそうな手料理をごちそうしてくれましたが、5口ぐらいしか食べれず、何度も吐きそうになりトイレに駆け込んでいました。

|治療の時期

その翌日、会社を休み病院に行って精密検査を受けました。

この時も眼圧の検査や網膜の検査を受け、血が引くまで目薬と飲み薬を処方されました。


それから1,2週間後、例によって、網膜や顔のレントゲンなどの精密検査を受けました。

「さぁこれから地道に薬飲んで検査して直していくか」と思った矢先、


医者から一言「鼻の骨が粉々になっていますね」

えっ、?


医者はこう続けました「鼻筋はあまり損傷無いですが、目の奥側にある眼底と呼ばれる骨が粉々になっていますね。少し様子見て手術方法は検討しますが、いったんボルトを入れないといけない可能性もあります」


お、これは違う。今度は骨までやられたか。
自分ではあまり痛みもないのでまさか骨折してるとは思いませんでしたが、レントゲンでは粉砕骨折しているということでした。

眼底の骨は目の位置を固定している骨であるため、ボルトなどで固定しないと目の位置が落ちる可能性があるとのことでした。


事故から2週間くらい経過し、もうこのころには一応仕事も復帰し、目はまだ充血が残っていたものの一応見えるようにはなっていました。

あとは粉砕された眼底骨を治療するため大きい病院に移り、手術の準備をすることにしました。

担当医が言うには、鼻にボルトを入れるかどうかは手術で切ってから見てみないと分からないということでした。

当時医者から言われていた手術方は主に3パターン
①ボルトを入れて固定、骨ができてきたら再度ボルトを抜く手術
②シリコンを入れて固定、シリコンは骨が固まったら自然に溶けるのでそれを待っておく
③プラスチックみたいなものを入れて固定、骨が固まってきたら鼻の中から手で取る


そして手術の日、この日は生まれて初めて全身麻酔をしての手術。
(手術の前後の詳しい経験については別途記事を起こそうと思います)

口に麻酔を当てられてから「1,2,3秒」くらい医者が数えたら即座に意識が無くなりました。


目覚めるとベットの上。

手術は成功したようでした。そして幸いなことに手術はパターン③
(プラスチックみたいなものを入れて固定、骨ができてきたら鼻の中から手で取る)

ボルトのパターンで2回手術することが無くて良かったです。

手術後、1週間くらい病院で安静にしてプラスチックを取って無事退院できました!

最終的には、鼻の骨もでき、目は普通に見えるようになりましたが、虹彩の収縮が少し遅いという後遺症?的なものが残りました。

今回の右目については、左目より虹彩の収縮が遅く、今でも光が当たると右目の方が黒目が少し大きくなってまぶしく感じます。

|現在

そして、2週間後くらいには仕事にも復帰できました。

翌年には、また同じ会社の野球大会にも出場できました。
(すみません、懲りずに野球は続けています笑)

ただこれまでと違い、相手の攻撃中もボールから目を離さず、安全に注意して野球をしています!

教訓

だらだら思い出しながら書いた記事のため、長文になりました。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

この記事を書きながら、なんだか目が痛くなってきたような気がしますのでここら辺で絞めさせていただきます。

最後に、これらの経験からの教訓を皆様に共有させていただきたいと思います!
(しくじり先生的な感じで読んでいたでければ幸いです)


「何も考えずこなすだけの練習はやめて、1球1球考えて練習しましょう」
 すごく当たり前のことになっていますが、自分への教訓として書いています。
 中学生時代、”何も考えず言われた通りスイング”することが左目へのボール直撃を引き起こしましたが、
それだけでなく自身の技術向上においても、考えて練習することは大切なことなのであえて教訓として書かせていただきました。
 

「試合中はボールから目を離さないようにしましょう」
 これもすごく当たり前ですが、安全面でもボールから常に目を離さない事はとても大切ですし、野球のプレーとしても目を離さず、隙があれば次の塁へ進むなどの勝利に向けても大切なので教訓として書かせていただきました。

以上、世界でおそらく数人しかいない経験をした筆者の体験談と教訓でした。

今一度、野球する際に皆様も意識していただければ幸いです。

ご覧いただき、ありがとうございました。

コメント

↓ポチッと応援お願いします


にほんブログ村 野球ブログ 野球論へ