やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

愛は愛から生まれます

2021年05月26日 | 人生について

昨日、2021年5月24日の朝日新聞を見て、私は大変感動した。

記事には、大分市に住んでいる大呂(おおろ)家族について概ねこう書かれていた。

 

父、母、兄、双子の妹という5人家族。

その双子の妹の一人が100万人に1人の難病「先天性角化不全症」を抱えていて、

3歳で自ら血を作り出せなくなり、その後も様々な病気が合併症として現れ、

終末期医療として最後を穏やかに過ごすか、両親それぞれの片肺を移植するかという

決断を迫られた。

「その子の運命として、終末期医療を受け入れるべきではないか」という周囲の意見もあり、

移植で助かっても長く生きられないかもしれず、麻痺が残り、本人が辛い思いをするのではないか、と

家族で眠れない日々を過ごし、何度も何度も考えた。

 

”命の価値ってなんだろう…”

 

そんな時、ベッドに横になって、多くの管を通された状態の妹さんが、

呼吸をするだけで苦しいはずなのに、麻痺している小さな右手の指を動かそうと頑張っていた。

それを見た母親は

「この子は生きようとしている」

と思い、移植の決意をする。

 

特に素晴らしいのは大呂家の長男、大呂遼平君である。

彼は小学一年生の時、家族の中だけで彼だけが妹さんと血液の型が一致しているという理由で、

若干6歳か7歳で、骨髄移植を決意したのだ。

 

その当時をこう振り返る。

「こわくて泣きそうになりました。

 今では妹と仲良く公園に行ったり、ご飯を食べて元気に過ごしています。

 移植をしていなかったら、妹の命は繋がっていなかったかもしれません。」

 

そして、それだけにとどまらず、

小学生新聞でヘアドネーション(小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで頭髪を失った子どものために、寄付された髪の毛でウィッグを作り無償で提供する活動)の記事を読み、

「病気で困っている人に出来る事をしたい」

男児でありながら、小学4年生から二年間、髪を伸ばし続け、

小学6年生の時、髪を切って寄付をしたそう。

 

髪を伸ばし続けた2年間の間、女の子みたいと馬鹿にされ、変な目で見られたこともあったとの事。

彼は

「人と違う事は短所に見えるかもしれないけれど、長所にもなる。

 つらい思いをした人は、人に優しくれるんじゃないかな」と一言。

 

妹さんは指で胸を指しながら、

「こっち(右)はパパ、こっち(左)はママがいるよ」

と新聞記者にコメント。

妹さんの中には兄の骨髄と、両親の肺がある。

 

まさに家族が助け合い、支え合い、励まし合って生きている、

すてきな家族だな、と心が洗われるような気持ちになった。

新聞に掲載されていた家族写真は、皆やさしい笑顔を浮かべていた。

 

かのアンデルセンが自伝で、「私の人生は一編の美しい童話であった」とありますが、

それについてアンパンマンの作者やなせたかしさんは

「アンデルセンの人生が童話のようだったのではなく、

 アンデルセン自身が、童話のように人生を生きたから、童話のような人生になった」と語っていました。

 

大呂家は、選択によっては不幸な、悲劇の物語となってしまう可能性もあったかもしれませんが、

やなせさん流に言うと、

大呂家が美しい、童話のような、きれいな気持ちで、正しい行動、選択をしたから、

美しい童話のような人生となっているのではないか、と推測します。

 

いのちの価値とは何か?

自分は生きる価値があるのか?

 

この命題は多くの人が抱え、以前、重度の障がい者施設で大量殺人をした犯人は

重度の障がい者は生きる価値が無いというような暴言を主張していました。

 

私は、いのちとは、利害損得や生産性や、外見や才能や履歴書で測れるものでは無いと思います。

そういう人間が思っているよりも、尊くて、素晴らしくて、

大切な存在だと思います。

誰一人として、生きる価値が無い人は無いと信じます。

 

やなせたかしさんは次のような詩を残しています。

 

「もし

 この世に

 愛がなければ

 生きられない

 ほんの小さな

 花でさえも

 愛をたよりに

 生きているのに」

 

重度の障害を持った詩人、おぞねとしこさんの詩にこのような詩があります。

 

「星は夜空を飾ります

 海は生命を育てます

 夢は未来を築きます

 愛は愛から生まれます」

 

大呂家族を知って、改めてこう思います。

 

”愛は愛から生まれます”

 

詳しい情報、写真等を見たい方は、

大呂遼平と検索して頂ければ、色々と出てきます。

大呂家族、とても素敵な家族でした。ありがとうございます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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