つくつくぼうしが聞こえた夏の終わり。

昼下がりのアイス珈琲を楽しんでいた。

時間があったことも手伝い、ふいに思い立った私は自身のブログを始めから読んでみた。

普段はそんなことしない。

だって私はそこまで暇じゃないから。


どれどれ、ふーん。

な、なにこれ…。


自分で驚いてしまった。

「ホゲた」「釣れない」をかき集めた薄っぺらい内容。

知性の欠片もないインプレ。

過去の成功体験にしがみつく馬鹿のひとつ覚え釣行記。

これは一体誰に向けたものだろう?

何のために存在するのだろう?

悪寒が走る。

読者を楽しませるどころか私の備忘録としても成立していない。


私のブログでは誰も幸せにならない。


そんな恐ろしい事実に気づいてしまい、私はすこぶる傷ついてしまった。

こんなものを生産してきたのか…。

全身の力が抜ける。

コツコツ頑張ってきたこの1年半を思い、少し涙ぐんでしまった或る夏の午後。

その日から私はブログが書けなくなった。


最後の更新は8月末。

これが「失われた3ヶ月」の正体である。

(現在11月末)



3ヶ月は傷ついた心を癒すのに充分だった。

一時はボロボロになったものの、Twitterという名の薬草やオヌマンのシーバス塾などの毒消し草を見つけては食べ、そんなこんなを繰り返すうち私のHPは満タンに戻ったようだ。

【いのちだいじに】→【ガンガンいこうぜ】

よし、もう大丈夫。



さて。
そうこうしてる間に今年の河川シーバス釣りが終わってしまった。

明暗卒業を目指すも留年

今年をひと言で総括すればこうなる。

残念な一年だった。

夕方16時~17時から橋桁に陣取り、そのまま夜半まで橋脚明暗を撃ち続けるのは4年目アングラーとして正しい姿なのだろうか…?


ただ、夏を過ぎてからの後半戦、個人的には幾らかの収穫もあり「まあいいか」と久々に納得してオフシーズンを迎えることができた。

何にせよ今年も楽しく過ごすことができ、兎に角ありがたく思っている。


その中から記憶に残る話をひとつ。



10月下旬の大潮。
今年一楽しみにしているイベントがあった。
半年前から入念に計画してきた遠征だ。
もちろん仕事はお休み、クライアントからの電話にも絶対出ないよう心に決めていた。

前日の中潮、AM3時に目が覚めてしまう。
遠征が楽しみ過ぎて興奮してるんだなぁ。
はは。よし、いっちょ行くか。
本番前の軽い肩慣らしのつもりでホーム河川に出向いてみる。
新しいルアーも試しておきたかったし。
到着早々、ニューコモモを投げてみた。

うん、よく飛ぶじゃないの!
これはいい。
さて肝心の動きはどうだろう。

「からからからから」

ん?
遠くで音がしたような…。
はて何の音だろう?
巻くのを一旦止めて聞き耳を立てる。

…なにも聞こえない。

橋の上を古い自転車でも通ったかな。
線路で夜間工事やってるのかもね。
まあ、いいや。
気を取り直してリトリーブ再開。

「からからからから」

リールからだ!

えっ…?
えええええ!

変な機械音の発信源は私だった。
私の19セルテートからだった。

イヤイヤイヤ!!
ないないない!!

いや、あの…今?
明日から遠征なのに?
予備リール持ってないのに?

いろんな思いが込み上げて泣きそうになる。
今年の手帳買った時から目星つけた大潮。
仕事休むために関係各所に頭下げた大潮。
前日にリール壊れますか?
ウンコ、ウンコ、ウンコ、ウンコ、ウンコ…
この世はウンコや。
神様にありったけの罵詈雑言を浴びせながら、半泣きでリールを照らす。
見た感じは異常なさそうだが。

どうしよう…?
解決方法がわからない。
この事態をどう乗り切ればいいかわからない。

錯乱気味の私は焦る。
とりあえずロケットベイト95で遠投。
早巻き、しゃくり上げ、ストップ&ゴー。
こんな時は逆に負荷をかけてやれば呆気なく直ったりするものだ。
昔は調子悪くなったTV叩いてたでしょ?
その後は念入りにドラグをいじくってみる。
専用オイルなんて持ってないので、車にあったクレ5-56を注してみる。

「ガラガラガラガラ」

ひどくなった。



※修理に出したところ、ギア不良とのことで無償対応してくれました。ダイワさんありがとうございます。