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死刑確定囚・野比のび太 – 第二十一話・夫婦間の亀裂とのび太の影響

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のび太の逆恨みと夫婦の亀裂

のび太の勤務態度は、日に日に悪化していた。

最初こそ、武が倉庫内での軽作業を割り振り、少しずつ仕事に慣れさせようとしていたが、のび太は全く適応しようとしていなかったのだ。

体力がないのはもちろんのこと、引きこもり生活の長さからか、コミュニケーション能力も乏しい。

作業指示を受けても曖昧な返事しかせず、やがて、現場の作業員たちから厳しい言葉が飛ぶようになった。

「野比、動けよ!荷物が溜まってるんだよ!」

「お前、それでも働いてるつもりか?」

叱責の声にのび太はただ下を向き、やる気のない様子で作業を続ける。

しかし、その態度がさらに現場の反感を買うことになり、次第に孤立してゆく。

一方で、毎日の重労働や叱責により、のび太の心の中では、武への複雑な感情が膨らみ続けていた。

「僕には僕のペースがあるんだ。何でそのペースを尊重してくれないんだ」

「ジャイアンは、なんでこんなところで働かせるんだろう?」

「ジャイアンが僕にこんなつらい仕事をさせるのは、嫌がらせをしたいからに違いない」

「それと、僕をここで働かせることで自分が社長になったことと、静香ちゃんと結婚して幸せな家庭を築いていることを見せつけたいんだ」

現実を正しく見ることができないのび太は、無茶苦茶な屁理屈で武を逆恨みするようになっていった。

その思い込みは日に日に強くなり、のび太は武だけでなく、静香に対しても薄気味悪い視線を送るようになる。

静香が子供たちを連れて会社に顔を出すたび、のび太はじっと彼女を見つめた。

その目には、憧れとも嫉妬ともつかない感情が混ざり合っており、静香は次第にその視線に不安を覚え始めるようになる。

「ねえ、武。なんであんな人を雇ったの?」

夕食の席で、静香が思い切って切り出した。

「のび太か?俺たちの幼馴染じゃないか。助けてやるべきだと思ってさ」

一日の勤務を終えた武は、少し疲れた表情を浮かべながら答えた。

「あの人、現場の評判最悪だよ?それと……私のこといつも変な目で見てくるの。じっと見てきてなんだか怖い」

静香の声には、明らかな警戒心が滲んでいた。

「気にしすぎだろ。のび太だって、まだ慣れてないんだよ」

「違うの。あの目は普通じゃない。何かやりそうで……怖いのよ、本当に」

静香の真剣な訴えに、武も一瞬黙り込んだ。

だが、彼は肩をすくめてこう答えた。

「お前、あいつを悪く見すぎだ。長い間引きこもってたから、ぎこちないだけだろ」

静香は納得がいかない様子で言い返す。

「でも、何かあったらどうするの?私や子供たちに危害を加えるようなことがあったら、どう責任を取るつもり!?」

その言葉に武は少し声を荒げる。

「のび太はそんなことしないよ!あいつは優しい奴なんだ!お前だって知ってるだろう!」

だが、静香の不安が拭い去られることはなかった。

そして、日がたつにつれて武とのび太を巡る議論は、夫婦の間に小さな亀裂を生み出していった。

静香は、のび太の存在が子供たちの安全に影を落とすのではないかと心配し、武はその不安を過剰反応だと一蹴しようとする。

「俺は、のび太を救いたいんだ。それだけだよ」

「それで、私や葉音や優士が危険にさらされるのは、どうでもいいの!?」

静香の言葉に、武は思わず言い返すことができなかった。

彼の心にも、のび太を雇ったことへの小さな不安が芽生え始めていたのだ。

現場での苦情は、彼の耳にも入ってもいたこともある。

しかし、その時の武はまだ、この選択が後に彼らの生活にどんな影響を与えるのか、想像もできていなかった。

続く

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