詩 寝台列車が行く

寝台列車が行く

破綻しそうで破綻しない詩人を乗せて

大儲けし損ねた株式相場師を乗せて

破門された神父と坊さんを乗せて

賄賂を貰った議員を乗せて

寝台列車が行く

寝台列車は砂漠を抜けて

銀色の大地へ辿り着く

ジャングルからジャングルへ

北の乾いた都へ辿り着く

寝台列車が行く

食堂車でラーメンとステーキを食べる

本醸造の酒を呑む

サロンカーで聖書を読み

展望車でミニスカートを見る

寝台列車が行く

銀色の大地は幻想を見る

星々と雪の区別は付かない

白熊と羆は踊り

赤狐と銀狐は恋をする

寝台列車が行く

ジャングルに雨が降る

猿達は騒ぐ

虫達が鳴き

食虫植物の仕掛けに落ちる

寝台列車が行く

南の湿った都から

北の乾いた都へ

乗客は「負け組」だったのか?

僕はなんと云う傍観者なのだろうか?