Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #13 ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアム

Vernaccia Ecomuseum ヴェルナッチャディオリスターノミュージアム入り口

 

こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

 Taru Lab Wine Shop  ←こちら

 

いかがお過ごしですか?

今年の北海道は大雪が続いています。美しい雪景色を眺めつつ、現実は雪かきに追われる北国生活。

そんな中、コロナ感染もまた広がっており、北海道でも再び蔓延防止措置対策の要請が出ています。Taru Lab の小樽実店舗も再び時短営業に逆戻りです。

良くも悪くも時間ができたので、ワインのペアリングを考えたり、ブログを書くには絶好のチャンスかとも思い、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの資料などを再度じっくり目を通していたところでした。

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのテーマ、まだまだ続いています!

このブログのテーマで、ほぼシリーズ化してきたヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ。今回は、以前にも少し触れた、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムについて書いてみます。

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ¥エコミュージアムのロゴ

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムのロゴ

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノって何?という方は、今までのブログ- Taru Lab - Letters from the Cellarをご覧いただけるとわかりやすいかと思います。

リンクはこちらから↓

Letter #03 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ(1) 

Letter #08 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ(2) 

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノはイタリア、サルデーニャ島のオリスターノ界隈、正確に言うとティルソ川に広がる平野に位置する17地域だけで生産される、長い歴史のある個性的で魅力的なワインです。(ちなみに、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOCは1971年にサルデーニャで一番最初にDOC認定を受けたワインでもあります。)

 

vernaccia di Oristano Zone ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの生産地

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの生産地エリア

 

イタリア地中海に浮かぶサルデーニャ島の西海岸の都市、オリスターノはTaru Labのオーナー、マノロの出身地。マノロも若い頃からこのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインに慣れ親しんで育ってきました。また地元のワインというだけではなく、サルデーニャの土着ブドウ品種としてもワイン醸造の視点からも大変希少だということもあり、マノロの中では特に思い入れのあるワインでもあります。

 

Taru Lab でも、 輸入当初からファミリア・オロから、少量生産で至極のいろいろな種類のヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインを定番商品として扱っており、たくさんの方にご紹介させていただいてきました。嬉しいことに最近では少しずつヴェルナッチャファンの方も増えてきているように感じます。

 

Vernaccia di Oristano Flor 1 ヴェルナッチャのフロール酵母1
Vernaccia di Oristano Flor2ヴェルナッチャのフロール酵母2
Vernaccia di Oristano Flor3 フロール産膜酵母
Vernaccia di Oristano Flor4 フロール産膜酵母
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ、樽の中のフロール酵母

長い歴史のある、古代ブドウ品種ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ

ヴェルナッチャという名の付くブドウは、イタリアでもいくつか存在するのですが、このヴェルナッチャ・ディ・オリスターノはサルデーニャ島にだけ存在する土着ブドウ品種で、何と3000年もの歴史があります。

 

また古代からの長い歴史のある貴重なブドウ品種というだけではなく、このブドウから作られるワインは世界の醸造学の宝とも呼ばれる、サルデーニャ島独特の珍しい醸造法で作られる、とても希少で個性的、味わい深い高貴なワインなのです。

 

Verunaccia di Oristano grapes ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ

Verunaccia di Oristano grapes ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウの木

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ

 

イタリアワインの時代の中で衰退を辿るブドウとワイン

ブドウ品種としても大変珍しく、素晴らしいワインとしても専門家やワイン愛好家からは賞賛されているこの知る人ぞ知る、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノなのですが、残念なことに、昔と比べ、ブドウの生産もワインの生産量もどんどん減っていてしまい、現在では生産者もサルデーニャ島で7社のみとなってしまい、今や衰退の一途を辿っているのが懸念されます。

 

Vernaccia di Oristano ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが保存されていた昔の容器

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが保存されていた昔の容器

立ち上がった7社の生産者たち

そこで、近年になってから現存する7社の生産者たちが一丸となり希少で絶滅の危機にも直面しているサルデーニャの土着ブドウ品種、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノとそのワインを救うための活動が数々繰り広げられるようになり、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムもその一環として立ち上げられました。

 

夢を育むヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアム

正式名称は Ecomuseo del Vernaccia di Oristano Associazione Culturale

「夢を育むヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアム」という副題がついています。

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムの看板

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムの看板

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの保護と普及の活動がベースとなるこのミュージアムでは、ブドウ品種の栽培やワインの醸造法に関する紹介はもちろん、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウやワインに関連する全て、歴史や文化、文学やアート、その土地の伝統、環境など、ありとあらゆる情報を、土地の公共機関やあらゆる分野の産業、そこに関連する全ての人と共有することを目的としています。

 

また、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノやその土地に関する、各分野でのリサーチや研究などを推進し、サステナブルな視野で、この土地の観光やホスピタリティーなどに応用していくというさらなる高い役割を果たしたいと考えています。

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを通じた夢、未来につながる教育的、文化的、科学的調査人基づいた活動ができることをゴールとしています。

 

ファミリア・オロのダヴィデのミュージアムでの功績

Taru Labでもすっかりおなじみのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ生産者、ファミリア・オロのオーナーでもあり醸造家でもあるダヴィデ・オロがこのミュージアムの立ち上げにもリーダー的存在で大きく関わり、開館後は館長としても就任しています。

 

以前は大学でもヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの研究をしていたこともあるダヴィデのまとめる資料やコンセプトはとても専門的で正確、かつ未来の環境や教育への貢献をも見据えたプランニングも素晴らしいところです。

 

Taru Labでもこのミュージアムから共有させてもらえる資料で、さらに知識を深めながら、ワインやブドウ以外の社会貢献への意義なども学ばせてもらう良い機会となっています。

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムの新聞掲載

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOC50周年記念についての新聞記事

 

遺跡で発見されたブドウの種から分かったサルデーニャの歴史

前回のブログではヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの世界でも珍しい醸造法についてお伝えしました。

 

今回はエコミュージアムでも紹介されている、ブドウの種から分かった歴史についてご紹介します。 近年になって、オリスターノのカブラスという遺跡で炭化したブドウの種、1500粒ほどがパレオ時代の冷蔵庫と言われている発掘された井戸の底から発見されました。

 

遺跡で発掘されたヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウの種 Vernaccia di Oristano

遺跡で発掘されたヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウの種

 

その後、サルデーニャの首都、カリアリ市にある植物考古学者のグループがその種を解析したところ、一種類はヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ、もう一種はマルバジアというグレープの種ということが判明。

 

以前は、サルデーニャ島ではブドウ栽培は西暦800年くらいにフェニキア人が持ち込んだと考えられていたのですが、今回の研究結果からこのブドウの種が3000年前の青銅器時代サルデーニャでは中期ヌラーゲ時代)には存在し、そのことからすでにサルデーニャ人の手でブドウ栽培が始まっていたことが証明されました。また当時、野生品種のブドウを育てていたものが、土着になったのではという研究結果も報告されました。

 

大切な儀式とともにあった高貴なワイン

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの語源は紀元前2世紀にサルデーニャに入ってきたローマ人によってヴェルナックルムと呼ばれるようになったラテン語に由来しているとも言われています。

 

その後、何世紀もの間、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの生産地では各家庭に このワインが常備され、高貴なワインとして大切なセレモニーなどにも使われてきました。  サンタジュスタ(聖人)の涙からできたワインとも言われ、人々の生活に密着した、大切な儀式などに使われてくることで、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノは次第に歴史と伝統のあるワインとなっていきました。

 

Vernaccia di Oristano ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインと館内の様子

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインと館内の様子

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノをインターナショナルなワインに!

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノエコミュージアムではヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを、サルデーニャ島の外の人にも知ってもらい、その価値をもっとインターナショナルなレベルで共有していきたいと考えています。

 

その活動は、少しずつ注目を集めるようになり、最近ではサルデーニャだけではなくイタリア、海外のの新聞やテレビ局からの取材も増えているようです。

 

Taru Labも日本から初めてのこのエコミュージアムの会員となりましたが、、ここ日本でもこのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウとワイン、そこにまつわるサルデーニャの文化の素晴らしさを伝えていければと思っています!

 

 

Vernaccia di Oristano エコミュージアムのキャラクターと会員証

エコミュージアムのキャラクターと会員証

 

まずはこのワインの美味しさを皆さんと共有し、たくさんの人に飲んでもらえることで、生産者たちが良いワインを作り、供給していける場が広がっていけるようにと、試飲などでご紹介を続けています。

 

今はコロナ禍でまだ実現できずにいますが、今後はヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの生産者の紹介やその背景などもお伝えできるような、企画展や勉強会なども少しずつ計画していますので、どうぞお楽しみに!

 

では、今日はこの辺で。

まだまだ寒さは続きそうですが、 どうぞお元気にお過ごしください。

 

↓↓↓↓↓↓Taru Lab のホームページ!

是非ご覧になってみてください。

tarulab.co.jp

 

↓↓↓このブログランキングに参加しています。

イタリア好き、サルデーニャ島好き、ワイン好きのみなさま、

応援よろしくお願いします!

にほんブログ村 酒ブログ ワインへ
にほんブログ村

 

↓↓↓こちらもポチッと、Taru Lab応援お願いします!


ワインランキング

 

...

Letters from the Cellar #13

 

For those who know Manolo, you are well aware of his passion for a wine that it is inseparably tied to his cultural background.
A wine produced from a grape with 3000 years of history through a unique winemaking technique that makes it so special, with its extraordinarily complex aroma and taste. 

The saccharomyces cerevisiae flor yeast, capable of surviving high concentration of alcohol, at the end of the alcoholic fermentation goes up the surface of the wine. It then forms a biofilm that protect the liquid, aged in partially unfilled barrels, from excessive oxidation.

A gem of world oenology, Vernaccia di Oristano.
A wine that has deep roots in its land, its culture, its traditions and its people.
For too long forgotten and relegated to a local dimension instead of shining as an excellence and an ambassador of Sardinia to the world.
Within the area of the Tirso River Valley, the Vernaccia di Oristano grape is grown across 17 communes in which, by law, the wine by the same name can be produced.

This link between Vernaccia di Oristano and its place of origin was one of the drivers for the creation of the Ecomuseo del Vernaccia di Oristano, a cultural association based in Tramatza, we are proud members of. 
It has the aims to promote, safeguard, share and help understand a wine with a millennial history.
The Ecomuseo, whose current president is Davide Orro from Famiglia Orro, was created as a platform for dialogue, collaboration, local development through the key roles of the seven remaining producers of Vernaccia di Oristano, different level of government, local associations, quality hospitality operators and the broader community.
A place where time stops and you are catapulted in the rich history of this wine.
The pandemic, that is still affecting our lives, has slowed down the possibilities and the potential of this association, that in such a short time of existence was capable of bringing together key stakeholders of the region.
Congratulations to who contributed to the creation of what will become a cornerstone for the local development of the Valle del Tirso region.

 

Yours sincerely,

Taru Lab