2021年2月19日金曜日

現代音楽の魅力とは

    最近、武満徹の「小さな空」を歌うために合唱版のスコアを元にピアノ伴奏を編曲しましたが、参考として動画サイトに上がっている武満徹関連の様々な音楽やドキュメンタリー番組を視聴していました。その過程で、いわゆる現代音楽(Contemporary Music)についての興味が再燃したので、このフィールドについて今思うところを書いてみたいと思います。

 昔NHKの番組で、世界最高のピアニストの一人として名高いマウリツィオ・ポリーニの特集が放送されていました。ちょうど私がピアノを再度ちゃんと弾こうと思っていた時期で、ポリーニと言えばショパン練習曲集の圧倒的な演奏で良く知っていたこともあり、大変興味を持ってその番組を観ていました。彼は日本でのリサイタルのプログラムとしてベートーベンとシュトックハウゼンの曲を選んでいました。ベートーベンはともかく、シュトックハウゼンという作曲家のことは全然知りませんでした。ポリーニはシュトックハウゼンの音楽についてその魅力を説明するためにピアノで実演をするのですが、、、その演奏は衝撃的でした。完全なる不協和音。それまでに聴いた古典的なクラシック音楽とはまるで違う音、というよりもはや雑音にしか聴こえませんでした。そしてポリーニは、「この和音にどれだけの意味があるか、皆さんわかりますか。音の一つ一つの結びつきの強さがわかりますか。美しい…」と絶賛したのです。
 ショパンの練習曲であれだけ完璧で美しい音楽を創るポリーニをして、それだけの賛辞を言わしめるシュトックハウゼンの音楽、現代音楽の魅力とは一体何なのか。改めて動画サイトなどで作品群に触れてみておりますが、未だ理解できないままでいます。
↑シュトックハウゼンのピアノ曲のスコア、一部抜粋

 現代音楽というカテゴリーに属するような音楽として個人的に触れた経験は、ピアノ曲なら例えばドビュッシー、合唱曲ならプーランクが代表格と言えそうです(時代的には少し前で、近代音楽に相当するのかもしれません)。バッハやモーツァルトといった古典的なクラシック音楽とは全く異なる響きの音ですが、それでも美しいと思えるし大変に魅力的です。一方で、調性や形式を完全に破壊した音楽、シュトックハウゼンや武満徹の一部の作品、ジョン・ケージ、メシアン、ノーノといった現代音楽作曲家の前衛的な作品群は、その魅力を理解するために必要なものを自分の中に見出すことができません。ピアノ曲で例えるなら、極論ですが猫が鍵盤の上を歩いたときのような、小さい子供がふざけて鍵盤を叩きつけたときのような、大変失礼ながらそういった音と区別をつけることが難しい。古典的なクラシック音楽の理論に反旗を翻し、「音楽とは何か」という哲学的な問いに対する答えを自由に追求する過程の産物とでも考えれば良いのでしょうか。

 現代音楽の魅力とは一体何なのか。音楽活動の再開に際し、改めて勉強していきたいと思っています。

上記ポリーニの番組の動画: https://youtu.be/JDmjvCvrO80
シュトックハウゼンのピアノ曲集: https://youtu.be/58bSOpfzSPg

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