笠置シヅ子と特急へいわの走っていた時代 | 模工少年の心

ほぼ毎日観ていたNHKの朝ドラ「ブギウギ」が終わりました。

このドラマの放送前から笠置シヅ子さんの歌は好きだったので、ステージでの趣里さんのうたとパフォーマンスには大いに楽しませていただきました。

「ラッパと娘」「東京ブギウギ」「買い物ブギ」「ヘイヘイブギ」など主なヒット曲はほぼ網羅されていましたが、自分なりに、あと2曲歌って欲しかった曲があります。

 

一つは、ホームランブギ。

野球好きかどうかは置いておいて、青空の下スポーツ観戦の楽しみをこれほど的確に伝えてくれる曲は他にないと思います。

 

そして、もう1曲は「情熱娘」です。

 

藤浦洸作詞のこの曲は、1949年(昭和24年)に発表、松竹映画「脱線情熱娘」の主題歌にもなっています。

 

この映画を観たことはないのですが、ストーリー展開を読むと、笠置さんが一途に自分の恋心にしたがって恋愛を成就しようと自由気ままに生きる娘(とし子)役を演じられていて興味深いのです。

 

また、この歌の歌詞の3番では、「♪恋は機関車 特急娘」と歌われています。

 

1949年は、戦争で廃止されていた特急列車が走り出した年でもあるのです。(9月15日改正)

 

その名は「特急へいわ」。

東京、大阪間を9時間で結んでいました。

「デジタル版 国鉄特急編成史 機関車・客車篇 編集 佐藤正樹(弘済出版社 平成11年3月20日発行)によれば、大阪〜浜松間 C59、浜松〜東京間 EF57またはEF55が牽引、スシ47、マイテ39が特急の証明であるかのように連結されていたそうです。

 

戦争からの復旧を急ぐ槌音とそれを動かす人達の自由闊達さには、この時代、数年間の特別な空気感が感じられます。

 

笠置シヅ子、服部良一のブギの時代が終わり、海外直輸入のマンボやロカビリーなどが流行るとともに、演歌が隆盛になっていく、というその後の芸能界の展開を知るにつけ、残念に思うところがあります。

 

私が好きなのは、音符に乗せて素直に歌う歌ですが、以後、コブシを効かせる演歌に押されていくことになったからです。